早坂隆著『世界の日本人ジョーク集』を読んだ。早坂はこれまで世界のジョーク集を何点か上梓している。どれも世界を渡り歩くうちに収集したジョークを、ルポライターらしい正義感に則った眼差しで、世界の現実と対置して紹介した好著である。私はすべて読んできた。今回は日本人ネタのジョーク集。
世界では日本人はジョークを解さない国民として確たるイメージができあがっているのが、この本でよくわかる。ビートたけしの出演するお笑いバラエティ番組が単なる下劣として失笑された様子が紹介されていて、日本人はジョークを解さないだけでなく、笑いのレベルも低いと受け取られているようである。
ジョークは国民性をネタにしたものが多い。日本人のイメージは、なによりハイテク、勤勉、集団指向、まね上手、無表情、何を考えているのか知れぬ神秘的心性、マンガ王国、とパターン化しているし、目のつけどころがことさら新しいわけではない。でもアメリカ人やロシア人、中国人などの独善、非道、不条理、愚かさを主とした取り上げられ方と比べると、ジョークにおける日本人は平和で好意的な印象が先行しているといってもよい。現在進行形の日本の国民性はそこから大きく離れつつあることを私自身ひしひしと感じることの多い今日このごろなので、逆に、いよいよ将来が不安になってしまう。
それはそれとして、抱腹絶倒させてくれるこの本から、いくつか引用させていただく。
「●青いキリン
ある酔狂な大富豪が言った。
『もしも青いキリンを私に見せてくれたら、莫大な賞金を出そう』
それを聞いたそれぞれの国の人たちはこんな行動をとった。
イギリス人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、徹底的に議論を重ねた。
ドイツ人は、そんな生物が本当にいるのかどうか、図書館へ行って文献を調べた。
アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して探し回った。
日本人は、品種改良の研究を昼夜を問わず重ねて、青いキリンを作った。
中国人は青いペンキを買いに行った。」
「●早く飛び込め!
ある豪華客船が航海の最中に沈みだした。船長は乗客たちに速やかに船から脱出して海に飛び込むように、指示しなければならなかった。
船長は、それぞれの外国人乗客にこう言った。
アメリカ人には「飛び込めばあなたは英雄ですよ」
イギリス人には「飛び込めばあなたは紳士です」
ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則となっています」
イタリア人には「飛び込むと女性にもてますよ」
フランス人には「飛び込まないでください」
日本人には「みんな飛び込んでますよ」
「●電球ジョーク その四
問い・切れてしまった電球を新しいものに取り替えるのに何人必要だろうか?
答え・ニューヨーク市民の場合……五人。一人が電球を盗んできて、一人がそれをねじ込み、三人が周囲で落書きをしている。
ロンドンの市民の場合……三人。一人がねじ込み、二人がそれにケチをつける。
北朝鮮人の場合……そもそも電気が止まっている。
禅僧の場合……二人。ねじ込むのが一人。ねじ込まないのが一人。」
「●軍隊比較
世界最強の軍隊とは?
アメリカ人の将軍
ドイツ人の参謀
日本人の兵
では世界最弱の軍隊とは?
中国人の将軍
日本人の参謀
イタリア人の兵」
これ以外のとびきり楽しいジョークは、是非本書を買って読み、そして盛大に笑ってください。早坂のジョーク集にはほかに『世界の紛争地ジョーク集』、『世界ビジネスジョーク集』、『世界反米ジョーク集』がある。いずれも、中公新書クラレからの刊行である。
それにしても日本軍のイメージが、兵卒は世界最強だけどトップがまるでダメだというのは強烈である。勝算なしと戦力分析で認識していたにもかかわらず、アメリカとの開戦に踏み切り、多くの優秀な若者を死に追いやり、日本が焦土となる結果に導いた当時の戦争指導者(とアメリカ)のことを、世界中が笑っているのである。A級戦犯かどうかはどうでもよくて、さっさとこういうのを意志をもって追い出して、わだかまりなく戦没者や戦争で亡くなった人たちの魂に祈りを捧げたいと思うのは私だけだろうか。「私の心の問題」か。いや、「それが私の心」か。


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