マシュー・パール著『ダンテ・クラブ』を読んだ.歴史上の人物が登場するミステリーは,ある意味でへんな色眼鏡を誂えてくれて「大きなお世話」でもあるけれど,お遊びということで.
戦争の狂気,人種差別,悲惨な現実における文学の意味,古典の神秘的魅力,などなどの物語のモチーフは,別段出色というわけでもないけれど,型にはまったものを嫌わない私みたいな読者には,それゆえにたまらない面白さなのだ.ミステリーのなかで「なべての望みを捨てよ」というダンテの詩句がいわくありげに引用されるだけで十分なのである.ダンテ・ミステリーなんて,それだけで想像力を掻き立てられる.また『神曲』が読みたくなってしまった.
でも十九世紀の後半になってやっとダンテが根付いたアメリカって,人文的観点では後進国だったのだな,ということを感じてしまう.
この作者,エドガー・ポーを題材にしたミステリも書いているとか.そちらも楽しみ.
新潮社 (2007/04)
新潮社 (2007/04)



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