2009年12月アーカイブ

御用納めとなり,2009 年も残すところ二日となってしまった。先頃,今年を象徴する漢字は「新」ということが清水の舞台から公にされたが,それぞれ皆,各々の今年の一文字があるかと思う。私の場合,不況でまったくつまらない今日この頃,「暇」であった。また死ぬほど顧客に虐められ,トラブルで火を噴く現場の喧噪に包まれたい,という思いも無いわけではない。

妻にせっつかれてやっと年賀状を作った。娘の描いた虎の画をスキャンして,Mac OS,Adobe Photoshop で加工し,Illustrator で文字周りをぺぺっとレイアウトして 30 分で完了。とりあえず 50 枚印刷。

公開したばかりの OldSlav について,奥村先生のサイト TeX フォーラムにおいて,観点鋭くかつ学術性にも配慮した指摘をいただいた。自分の用途に足りるレベルで作ったものを公開しているに過ぎないのだけれど,ハイレベルな反応をもらうとなんともうれしくてたまらなくなる。教会スラヴ語日付様式の典拠,韓国語 inputenc との共存など,重い課題が多くて,システマチックにその指摘に対応するのは難しいところがあり,いま手元にある文献や試験環境でできる範囲で設計を見直し,訂正して,今日公開した。SlavTeX オリジナル CP866 コード入力での互換性は inputenc との絡みで今回犠牲にした。だいたい今や誰も使わないエンコードに拘っても意味がない。ダウンロード頁から oldslav-1.1.{tar.gz, zip} を落としてお使いください。

明日は我が家の大掃除。ここのところ仕事から帰宅したあと OldSlav の改造に夢中になってしまい,妻から家事を手伝わないと責めまくられている。

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アンナ・アフマートワの詩集『ヴェーチェル(夕べ)』を工藤正廣訳(未知谷刊)で読む。ロシア詩のスタンザ毎に短歌として訳した珍しい翻訳である。工藤先生も健在だなあ,という思いがこの書を手にしたそもそもの理由である。

アンナ・アフマートワは 20 世紀ソヴィエトの女流詩人。彼女の詩は,至る所に死の匂いが染み付いている。己の死後の現実の感触を透視し聞きとろうとする心の闇がある。「あまりにも生を望みしそのわれの冷たき屍手おくひとなし」(p. 115)。スターリンの大粛正で夫(第一級の詩人ニコライ・グミリョフ)が銃殺され,わが子がシベリヤ送りとなったこの天才にあって,死の日常性が事物に取り憑いてさりげなく漂うのは,文学的衒いでもなんでもないのである。

夢おそく不眠の窓にまた白くご機嫌ようと白きカーテン(p. 15)
氷結し狭き運河の流れずにおゝ新しきこともなき地よ(p. 49)
太陽の記憶こころに弱まれば闇のこの夜にまさに冬来る(p. 50)
日没に針葉の森消えゆくを見つつ聞きおりきみに似し声(p. 110)
酩酊の葡萄匂える遠景にわれ惜むなしきみ虚無の声(p. 164)
 
夕べ―ヴェーチェル
アンナ・アフマートワ
工藤正廣・短歌訳
未知谷

困った客---婆さん俳人

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とある知人 M は文芸書の出版社に勤めていて自費出版の編集を担当している。この版元は自費出版でもきちんと校正作業をするそうで,良心的である。いま担当している老女の俳人著者がまるで嫁いびりでもするかのように彼女を責め,これまでなんの問題もなかった編集作業の仕方にまでケチをつける。そのイビリ電話が毎日 30〜40 分にも及んで,M は心が壊れそうだという。俳句詠みだからといって,十七文字のごとく凝縮された表現で不満をぶつけるのではないらしい。逆に,ドストエフスキイ小説の登場人物のように何頁分もの言葉を一気にしゃべって疲れを知らない人だと見受けられる。「俳句は結構上手いんだけど」と M。ゲラ刷りを見て字体,紙の色,インクの色が気に入らないと言い,自分で作ったワープロ出力を送って来て,この通りにしろ,などと出版素人丸出しの要求を突きつけて来る。「だからあなたは雑だっていうのよ」だと。行間のアキ,文字色に拘りがあるのであればはじめにそのように要求仕様を提示すべきであるし,紙の色はゲラの段階では粗悪に決まっている。

出版という業界はなぜか知らぬが,私などからみると見積・契約が極めていい加減である。著者から自費出版の話があると,カネが決まらないうちに仕事をしはじめてしまう。担当者はカネを握らされておらず原価管理をせず,ひたすらよい本を出すことに注力するため,そんな手順にはおかまいなしのようである(だから作業手順の原価低減努力がまるでなされない)。著者のほうも,文化人気取りなのか,カネの話で「私の傑作句集を出すロマンが穢される」とでもいうのか,見積・契約を曖昧にしたまま仕事を依頼してしまうようである。もとより自費出版で本を出すなんてのは著者一世一代の決断なのだから,カネは十分に準備しているものなのだろうけれど,この手順の逆転は,ごく一般の企業のサラリーマンである私には信じられない。

M 担当のこの婆さんについても,やっぱりいつもの客と同様,カネの話は抜きにして原稿を送って寄越し,口絵にする写真の由来の自慢話をくどくどとはじめたようである。つまり,まずは作業がはじまったらしい。ところが初稿のゲラが出た段階になって,この俳人婆さん,「お見積もりはどうなっているのかしら」と来た。見積を送る。この時点で業者側は最悪の事態に直面したも同然だと私なら考える。案の定,婆さんからは —「これ高過ぎじゃないの? 他の本屋よりも全然高くて,夜も眠れないじゃないの!」。

ここで婆さんが「高いので止めにした」と決断すると,出版社としては見積・契約もせずに勝手に仕事をしたということになり,それまでの作業はパー,かかった外注経費も取り損ねるはめになる。これは商法上の常識である。いくら婆さん自身も,この常識を意識せず仕事を「させた」ことに問題があるとはいえ,責任は業者が取るべく世の中はできている。私は主任になりたてのころ,見積の延長で勝手に仕事を進めてしまい,協力会社に作業をさせ,結局案件を受注できず数千万の赤字を出し,責任を取らさせられた経験がある。設計は見積のレベルを越える仕事=「作業」であるし,見積合意・契約が成立しないうちには「作業」を絶対にしない・させないがそれ以来,鉄則になっている。

さて M は困った。デザイナーにも装丁を依頼済みである。これで婆さんに止められると今までの仕事が水の泡になる。上司の M への評価も変わるかも知れない。カネを握る会社の上役が作った見積根拠文書を婆さんにまずは送ったそうである。私は第三者なのであまり立ち入ったことはわからず気の利いたことが言えない。それでも自分の経験から少し助言した —「見積合意抜きで仕事をしたのは出版社側の非。でもじつは婆さんにとって,どうでもよいネタでウサ晴らしにただ君を責めたいだけなんだろうから,それを逆手にとって嫁いびり婆さんを少しいじってやれば? 自分から見積についてクレームを言っているわけだから,その婆さんにこう言うべきだね。『その見積根拠に対して,ご了承いただくかまたの機会とお考えになるか,ハッキリ決めていただかないうちは本作りを進められません。ついては,ご判断がついた段階でご連絡ください。それまでは仕事を止めてお待ち申し上げます』。老人は我儘でセッカチだ。時間がなにより大切で,自分の本が出る日程が延びるかも知れない,となったらただごとではない。『夜も眠れないというお話でしたし,勝手には進められません』とイヤ味のひとつも言っていい。そうしておくと,相手がババを握るのだから,見積だけに話題を集中でき,それ以外の論点をシャットアウトする根拠になる。余計なイビリをされる前に話を打ち切ることができると思うよ。『申し上げました通り,お決めいただかないうちは本のお話はできません。それでは』って言えばいい。何日かしたらこちらから先手を打って,『見積の件,どうなりましたか,早くしていただかないとデザイナーを手放さないといけなくなります。ご希望の日程で出版するのも難しくなります』ってやんわり脅すんだ。とにかくいい本を出すための正論はズバズバ言えばいい。そうすることで優位に立つことができると思うよ。理由もなく文句をたれる者には,右手が痛い,左足がお前の所為で痛む,と言われる前に,目的のためには心臓をまず治さないといけない,と論点を先に限定するんだ。そうすると相手が次に何を言って来るにせよ,あらかじめ往なし方,返し方を考えておくことができる」。

しかし,その後の数日,婆さんからなんの音沙汰もないらしい。「仕事が雑」などと相手の人間性を否定しながら,見積について「夜も眠れない」と文句を言いながら,その根拠を提示されたのに内容についてウンともスンとも応答を返さないヤツ。実際に,私が仕事で付き合う上でもっとも許せないタイプの人間のようである,このババアは。どうも俳人,歌人,詩人,小説家という奴らは自意識過剰で,本屋の担当者なんて歯牙にもかけない「文化人様」らしい。本というものが編集者,組版担当,印刷業者,製本業者,デザイナー,仲介業者など多くの人々の協同で成り立っているということをまったく考えず,自分ひとりで本が出来上がるとでも思っている。私にもここでメラメラと怒りが湧いて来た。不謹慎ながら,『罪と罰』の主人公・ラスコーリニコフに斧で叩き殺された悪徳金貸し婆さん・アリョーナを想像した。そうそう,これからはこの婆さんをアリョーナと呼ぼうじゃないか。

お年寄りをぞんざいに扱うなど許せない行為だけれども,社会人としてあるべき姿から逸脱し,他人を軽んずる者に対しては,相手が誰であろうと仕事の上で社会人としての正論であざ嗤ってやる,仕事の見返りを十分にふんだくってやる,というのが私の秘かな主義である。イヤな客との付き合いにおいて,そうでもして楽しまないと,「弱き業者」根性に荒んで心が病んでしまうのだ。実際に病んでしまった担当者を私は山ほど見て来た。M にも,プロなんだからいい本を出す(いい作品かどうかは知らん)とともに,社会人として徹底的に蔑んでやればよい,とけしかけた。「見積説明に対して反応がないなら,こっちから電話して,ガンガン,フォローすりゃいいじゃねえか」と私は言うのだが,M はどうにも電話がしづらいらしい。

OldSlav 教会スラヴ語聖書環境

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OldSlav 1.1 を開発したところであるが,1 点致命的なバグを見つけた。OldSlav は \< という気息記号アクセント命令を定義している。ところが,ptetex UTF-8 対応のためにこれを \DeclareTextAccent で登録したため,グローバルに \< を書き換えてしまい,通常このコントロール・シーケンスに割り当てられている \inhibitglue を上書きしてしまっていたのだった。訂正版(同じアーカイブ名なんだけど)をアップしたので差し替えていただけると幸いである。oldchurchslavonic 環境外では \inhibitglue\< で機能するようになるはずである。

ところで,教会スラヴ語訳聖書を眺めていて,その組み方を LaTeX の環境命令として実現するマクロがあると便利だと思った。聖書の組み方は次のようなものである。章の第一節・第一文字をインデントなしでドロッピングする,つまり,文頭の一文字だけを大きな文字で飾り組みする(古い文献によくあるマナーである)。二節目以降はインデントして教会スラヴ語様式で節番号を表示し,本文を続ける。その実際の教会スラヴ語聖書での姿をここに掲載したので,関心のある方は確かめてみてほしい。

ocsbiblija 環境マクロを作成してみた。ドロッピングは第一文字を \LARGE にし,\lower 命令で文字を下にずらすことによりレイアウトする。改段落のつどカウンタを回して,それが 2 以上の場合,自動的に教会スラヴ語の節番号を先頭に出力する。これは \everypar を再定義して実現する。第一節の 1 行目をインデントしないよう,\setbox0=\lastbox でインデントのボックスを取り除く。 一方,2 行目だけはドロッピング文字とのバランスを考慮し,所定サイズの字下げを付け,3 行目以降はインデントしないよう,\parshape 命令で調整する。設計はこのようなものである。以下にそのコードを示す。
 

% ocsbiblija 環境の定義
% - \begin{ocsbiblija}[<d|other>]{第一文字}本文 \end{ocsbiblija}
% - オプション d なら第一文字をドロッピング(デフォルト),それ以外はそのまま
% - 第一文字はグルーピングが必要
\makeatletter
% ocsbiblija 環境の設定パラメータ初期値
\newdimen\ocsbibindent \ocsbibindent=0.65em\relax% 節番号前のインデント
\newdimen\ocsbibskip \ocsbibskip=0.3em\relax% 節番号と本文のアキ
\newdimen\ocsdropsize \ocsdropsize=0.45em\relax% 開始文字の下げ寸法
\newdimen\ocshangsize \ocshangsize=1.65em\relax% 第一節 2 行目のインデント
\def\ocsbiblija{\@ifnextchar[\@ocsbiblija{\@ocsbiblija[d]}}%
\def\@ocsbiblija[#1]#2{% #1 最初の文字; #2 ドロッピング対象文字;
  % 第一段落の定義
  \dimen0=\linewidth \advance\dimen0 by-\ocshangsize
  \if#1d% dropping の場合 2 行目だけを \oocshangsize 分インデント
    \parshape 3 0pt \linewidth \ocshangsize \dimen0 0pt \linewidth
  \else% そうでない場合インデントしない
    \parshape 1 0pt \linewidth
  \fi%
  \leavevmode\setbox0=\lastbox% \parindent>0でもインデントを除去
  \if#1d\lower\ocsdropsize\hbox{\LARGE#2}\else#2\fi% dropping
  % 第二段落以降の定義
  \@tempcnta=1\relax
  \everypar{%
    \advance\@tempcnta by1\relax
    \ifnum\@tempcnta<1\relax% 第一節は節番号を振らない
    \else% 第二節以降は教会スラヴ語様式で節番号を振る
      \makebox[1em][c]{\slnum(\the\@tempcnta).}%
      \hskip\ocsbibskip\relax
    \fi%
  }%
  \parindent=\ocsbibindent\relax% 第二節目以降は \ocsbibindent 分インデント
}%
\def\endocsbiblija{\par}%
\makeatother

\begin{ocsbiblija}[オプション]\end{ocsbiblija} の間に本文を記述する。オプションに d 以外を指定すると,ドロッピングせずノーマルサイズで第一文字を組む。各種アキ,インデント幅,字下げ量はパラメータ初期値にあるコントロール・シーケンスを再設定すれば調整できる。本文の第一文字はグルーピングしなければならない。節毎に空行を入れて本文を記述してゆくと,第二節以降,自動的に節番号が教会スラヴ語様式で段落冒頭に出力される。

このマクロをプリアンブルに記述し,upLaTeX で組んだ画像を以下に示す。LaTeX 原稿: ocsbiblija.tex と PDF: ocsbiblija.pdf も掲載しておく。multicol.sty で二段組みにし,段組み線を入れると,まさに教会スラヴ語聖書らしくなった。
 

ocsbiblija.jpg

このマクロを OldSlav にも入れようかと思ったが,その他の教会スラヴ語マナーを含めもう少し総合的なマクロ集ができた段階にすることにした。

今回,\parshape\everypar,インデントの仕組み等々の解説で Victor Eijkhout の著書『TeX by Topic』がとても役に立った。LaTeX マクロを自作したい方は必携の文献である。
 

X'max パーティ

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今日は家族でクリスマス・パーティ。妻の作ったホウレンソウのクリーム・スープが旨かった。ケーキを食べながらプレゼント交換した。自分ではまず絶対買わないような気の利いたアイテムを貰う。私は子供たちに CD と本を与えた。上の息子のために,セロニアス・モンクの名盤 "Thelonious Himself"(1957)を選んだ。渋すぎたかも。娘にはジョージ・ウィンストンの "Winter Into Spring"。

できたてホヤホヤの教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav を使ったメッセージをラベルシールに印刷し,プレゼントのパッケージに貼付けた。教会スラヴ語で「2009 年クリスマス,XXXへ,父より」というもの。ウケた。
 

oldslavxmas.jpg
 

セロニアス・ヒムセルフ+1
セロニアス・モンク
ユニバーサル ミュージック クラシック (2007-09-19)

新宿でロシア料理をいただく

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息子の誕生日,クリスマス,ということで,今日は家族でロシア料理を食した。子供たちにはこれまでこんな贅沢はさせなかった。たまにはコース料理も食べさせてやろうということに。場所は,新宿西口にあるロシア料理店「スンガリー」。サーモンのブリヌイも,ボルシチも,シャシリクも旨かった。ロシア紅茶といっしょに出てきた薔薇瓣・木苺・チェリーのジャムはなかなかのものだった。ロシア製のジャムを味わうと,ジャム観が変わるはずである。日本製がただの子供のおやつに思われてくる。Балтика 3 番,6 番(それぞれラガー,スタウト)ビールは,甘ったるくてちょっと嗜好に合わなかった。アルメニアのコニャック «Арарат» を品書に見いだし,食指が動いたが今日は止めにした。

先日,爆笑問題が話題の学者の研究内容を紹介する NHK テレビ番組『ニッポンの教養』で,ロシア文学者亀山郁夫と爆笑問題がロシア料理店でドストエフスキイについて語り合うものがあった。妻によれば,今日行った店は,そのロケーションになった店の支店だったようである。

亀山先生といえば,私にとってフレーブニコフの専門家というイメージがかつては強かった。でも,いまやドストエフスキイの現代性を論じて,最近メディアでつとにお名前を目にするようになった。番組で私がもっとも感銘を受けたのは,インターネット時代の孤独な人間が PC の前に座ったときに捕われる「全能感」の問題提起である。亀山先生の言葉に私はどきりとした。人間は誰しも世界の片隅しか支配できない。ところが,インターネットで様々な情報を居ながらに得,匿名で偉そうな書き込みをしているうちに,なにか世界を手中にしたかのような幻想に捕われる。これを,ひとごとだと思ってはいけない。ロシア文学に全霊をかけて取り組んだ人は一種独特の文明批評に富んでいる,と改めて納得した。情報を知性ではなく魂で受けとめようとするのである。

聞き役の爆笑問題も,亀山先生を相手に堂々と会話を成り立たせているところ,また,タルコフスキイの『惑星ソラリス』が描いた未来世界のエコロジーについて語るところ,ただ者ではない。最近,高学歴お笑い芸人が話題になっているけれども,そういう「ただの優等生」とは決定的に違う風格を,太田は備えている。

* * *

Utf82TeX-0912 を公開した。以前からあった -h オプション(^^16進形式変換)に変換対象としてキリル文字・ギリシア文字を追加した。ptetex3 がこの形式だと欧文で処理するという話に触発されたのである(昨日の記事に書いた Perl コード十数行で十分なのだけど)。あと,問題を訂正した。

今日帰宅して,昨夜公開した OldSlav のドキュメントを眺めていたら,ロシア語の т がぼろぼろ脱落していて慌てた。литературалиераура となっていてマヌケなんである。OldSlav のとんでもないバグだとまずは考えた。今回 \russiantext 命令を結構いじっている。しかし,旧バージョンに戻して組版しても再現する。ドキュメント旧版を確認するときちんと出力されている。頭が煮詰まって来た。

なんで小文字の т だけが抜けるのか。うまく出ている原稿とダメな原稿を落ち着いてよく比べてようやく原因が判った。ダメ版ではいつものサボリ根性から T2A のキリル文字を簡単にマークアップするために \def\cyrt{\fontencoding{T2A}\selectfont} というマクロを書いていた。バカみたいなバグである。\cyrt は T2A 小文字の т の出力命令と同じ名前であって,これをつぶしていたわけである。フォント切替えなのでエラーとならず,見過ごしてしまった。

教訓は,サボルな,ではなくて,マクロの名前はよく考えよ。特定の文字の問題はマクロ名の重複を疑え。よく見るとほかにもいただけない瑕疵があり,類似見直しをした。ドキュメントを訂正して差し替えた。

* * *

奥村先生の TeX サイトで土村さんの ptetex3 の後継,ptexlive が出ていることを今ごろ知った。もう着いて行けてません。それなら OldSlav の改造は ptexlive でやったほうが皆のためだったかも知れない。まあ,そのうち時間が取れれば ptexlive 対応にも取り組みたいと思う。

また,ptetex3,ptexlive とも — ptexenc ライブラリによる入力では —,環境変数 PTEX_IN_FILTER として原稿ファイルの出口ルーチンを登録できるということも知るところとなった。ptexenc では互換性を重視して JISX-0208 に定義されているキリル文字,ギリシア文字を和文として扱う仕様になっており,ロシア語・ギリシア語の UTF-8 テキストを欧文として処理したいユーザーには少し物足りないところは否めない。旧 pTeX でロシア文字を JIS コードで入力していた人にはまったく影響がないのでそういう選択をしたということのようである。それでも,文字を ^^十六進形式にすれば,欧文として扱うとのことを土村さんから教えていただいた。そしてその変換を行うフィルタを PTEX_IN_FILTER に登録すればよい,という話であった。

Utf82TeX を改造して試したら,たしかにばっちりロシア語が出た。でも ^^十六進形式にするのは,大げさなプログラムは不要で,次のような Perl コードですんでしまう。

#!/usr/bin/perl
# -*- coding: utf-8; mode: cperl; -*-
# Cyrillic and Greek to ^^HEX format
binmode(STDOUT,":utf8");
while (<STDIN>) {
    utf8::decode($_);
    foreach my $chr (split(//, $_)) {
        if ((($chr ge "\x{0400}") && ($chr le "\x{04ff}")) || # Cyrillic
            (($chr ge "\x{0370}") && ($chr le "\x{03ff}")) || # Greek
            (($chr ge "\x{1f00}") && ($chr le "\x{1fff}"))) { # Greek Ext
            utf8::encode($chr); # UTF-8 encode
            foreach my $bchr (split(//, $chr)) {
                print(sprintf("^^%x", ord($bchr)));
            }
        } else {
            print($chr);
        }
    }
}

※ 2010.7.31 付記
上記フィルタには,もともと binmod(STDIN, ":utf8"); があったが,utf8::decode 関数をその入力に対して発行すると,latin1 のみからなるテキスト断片では「二重デコード」されてテキストが壊れるという問題があることが判明した。奥村先生の TeX Forum で鋭い方のご指摘があったので,問題訂正をした。

UTF-8 で書いた TeX ファイルをこれ(myfilter.pl とでもしておこう)で前処理すれば,キリル文字とギリシア文字(拡張領域含む)だけが ^^十六進形式に変換される。ただし,PTEX_IN_FILTER を通すと,あらゆるマクロファイルをこれに掛けるためか,LaTeX コンパイルが眼に見えて遅くなる。面倒でも,次のようなスクリプト(u8platex とでもしておこう)を書いてドライブしたほうが高速である。u8platex hoge とすると hoge.pdf までができる。もちろん,これは UNIX, Mac OS X 用である。

#!/bin/sh
# u8platex command
BN=`basename $1 .tex`
myfilter.pl < $BN.tex > $BN.utf
eplatex --kanji=utf8 $BN.utf && dvipdfmx $BN.dvi && rm -f $BN.utf

OldSlav-1.1 公開

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教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav ver. 1.1 を公開した。UTF-8 サポートと文字追加・入れ替えを反映した。私は Mac OS X upLaTeX,FreeBSD ptetex3-euc 環境で試験したが,Windows SJIS 環境でも問題ないと思う。ドキュメントも訂正してある。oldslav-1.1.tar.gz,もしくは oldslav-1.1.zip をダウンロードしてお使いください。

英文か露文のドキュメントの要望も受けている。時間がとれれば,英文マニュアルを書かないといけない。

OldSlav フォントの作成

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1900 年刊行の教会スラヴ語聖書を眺めていて,SlavTeX フォントにない文字付略号符(буквенное титло)を見つけた。ч の文字にハットを冠したもので,私の見たことのないものだった。これは教会スラヴ語教科書にもない。教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav の Unicode 対応をするなかで,どうしてもこの略号符を出力できるようにしたいと思った。

マクロで重ね打ちするなどの手段を考えたが,やはりフォントを作ることにした。SlavTeX フォントはもともと METAFONT で作成されており,フォントソースが添付されている。これを流用して буквенное титло ч を作ってみた。また,従来の SlavTeX フォントでは,ハイフネーションの文字はハイフン(-)だったわけだが,この聖書ではアンダースコア(_)が使用されていた。こちらのほうがそれらしいと思ったものだが,SlavTeX フォントにはアンダースコアがない。ついでにこいつも追加することにした。

私にとって METAFONT への取り組みは Izhitsa 教会スラヴ語パッケージの日本語対応以来である。METAFONT はタイポグラフィによほど関心のない限りなかなかとっつきにくいものがある。それでも,クヌース教授による『METAFONT ブック』を参照しながら,既存のソースを流用してなんとか作成することができた。

METAFONT フォント作成のメモを簡単にしるしておく。 .mf ファイルに描画命令を記述する。今回 exslav10.mf として別フォントとして生成することにした。適当なエリアで文字を割当て,フォントを生成しておき,仮想フォントで目的とするエリアにマッピングすればよい。参考までに今回作成した .mf のうち, буквенное титло ч の描画部分だけをあげておく。

% буквенное титло ч
beginchar(100,9u#,small#,0);
  % titlo hat function (slav.mac)
  hat(1,0);
  % titlo character
  r:=22/10u; s:=7/2u;
  % right vertical line
  z.u=(s+r+1/8u,small+6u);
  z.d=(s+r,small+2u);
  z.m=(s+r,small+10/3u);
  pickup penrazor scaled 4/5u;
  pp:=flex(z.u,z.m,z.d);
  draw pp;
  labels(u,m,d);
  % curve from left upper to right vertical line
  z2.2=(s+r+1/10u, small+21/5u);
  z2.1l=(s,small+6u);
  penpos2.1(4/5u,0);
  penpos2.2(3/10u,90);
  penstroke z2.1e{down}..tension 0.75..{right}z2.2e;
  penlabels(2.1,2.2);
endchar;

exslav10.mf ができたら,mf ユーティリティで処理し,gftodvi ユーティリティでゲラ刷り DVI ファイル(下図)を作成する。これを確認しながら,METAFONT の記述を修正しつつ,満足のゆくものができるまで文字のデザインを調整する。クヌース教授は,smoke モードで生成した DVI を紙に印刷して壁に貼り,後ろに下がって眺めるとよい,と勧めておられる。tex testfont を実行するとフォントチャートが得られる。それとともに tfm 及び pk フォントのファイルが生成される。
 

mfgera.jpg

これでできたフォントは tfm と pk である。tfm は LaTeX で組版するときに必要となる。しかしながら,pk フォントは,紙に印刷すると暖かみのあるものだと私は思うけれども,いわゆるビットマップフォントであり,PDF などに埋め込むにはあまり推奨されない。そこで mftracet1binary の両プログラムを用いて PostScript Type1 アウトラインフォントに変換した。DVIWARE にフォントを拾ってもらうための map ファイルも作成する必要がある。

以上の一連の流れのコマンドラインを以下に示す。私は Mac OS X で行ったが,FreeBSD, Linux, Windows でも手順はそれほど変わらないと思う。

% mf exslav10
% gftodvi exslav10.2602gf
% tex testfont
...
Name of the font to test = exslav10
...
*\table
 
*\end
...
% mftrace --magnification=4000 --encoding=tex256.enc exslav10
% t1binary exslav10.pfa exslav10.pfb
% cat > oldslavex.map
exslav10 exslav10 <exslav10.pfb
(control-D)
%

さて,exslav10.tfmexslav10.pfboldslavex.map までできたけれども,これだけでは OldSlav の組版でフォントが使用できるわけではない。OldSlav の仮想フォントのしかるべきエリアに,作成したフォントをマッピングしなければならない。既存の OldSlav 仮想フォント・ソース fslavrm.vplexslav10.vpl の当該文字定義を反映する。この定義の元ネタ vpl ファイルを tftopl ユティリティで生成し,MAPFONT 命令で exslav10 のエントリを追加するとともに,буквенное титло ч の文字定義を fslavrm の空きエリア 6 番に,アンダースコアをハイフンの位置 45 番に(ハイフンの代わりとして使うので)MAP 命令でマッピングする。定義が終われば,vf と tfm を vptovf ユティリティで生成する。仮想フォントの作成は面倒だが,以前 OldSlav 用 vf を作成したとき,メモを残しておいたのが役に立った。いまこうして書きしるすのも,自分のためである。

以上できた tfm, vf, map, pfb ファイルを TDS に従った場所にコピーし,mktexlsrupdmap-sys --enable Map=oldslavex.map を実行する。これでやっと追加フォントが使用できるようになった。

% tftopl exslav10.tfm exslav10.vpl
% emacs fslavrm.vpl exslav10.vpl &
(ターゲットの fslavrm.vpl を編集し,exslav10.vpl 定義を反映する)
% vptovf -verbose fslavrm.vpl
% su -m
# setenv TEXDIR /usr/local/teTeX/share/texmf-local
# cp fslavrm.vf $TEXDIR/fonts/vf/oldslav/
# cp fslavrm.tfm exslav10.tfm $TEXDIR/fonts/tfm/oldslav/
# cp exslav10.pfb $TEXDIR/fonts/type1/oldslav/
# cp oldslavex.map $TEXDIR/fonts/map/dvips/oldslav/
# mktexlsr
# updmap-sys --enable Map=oldslavex.map
# exit

OldSlav に буквенное титло ч アクセント命令(\ttlh)を追加して,早速組んでみた。実際の文献でも文字付略号符は虫眼鏡でみないと判別できないくらいのシロモノだけど,まあできた,できた。ハイフネーションも聖書のマナーを再現できて満足。今回の成果を含めなるべくはやく UTF-8 対応版パッケージを整理して公開したいと思う。
 

ocstitlo.jpg
 

OldSlav UTF-8 その後

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教会スラヴ語聖書を手に入れてから,このところ教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav の UTF-8 対応に血道をあげている。先日はまだアクセント付加文字をグルーピングすると不具合が発生する状況だったが,今日その課題が解決した。

この OldSlav utf8 モードは土村さんの pLaTeX UTF-8 対応では使用できない。土村さんの ptetex はキリル文字を JISX-0208 に化かしてしまうので,もとよりロシア語も欧文として取り扱うことができず,日本語フォントにあるキリル文字が組まれてしまう。utf8 モードで教会スラヴ語を組みたい場合,ttk さんの upLaTeX か,もしくは pdfLaTeX(これは欧文純正なので日本語混在組版は CJK パッケージを使う)の環境が必要である。角藤先生配布のパッケージにも upLaTeX が含まれているので Windows ユーザにも使えるはずである(試験はしていない)。

教会スラヴ語聖書を眺めていて,SlavTeX フォントにはない略号符(титло という。単語の綴りの一部を省略することを示す記号。頻出する語でよく用いられた)を見つけた。それは ч の文字 титло。UTF-8 対応パッケージを公開したら,次は METAFONT でこのアクセント文字を自作して,SlavTeX フォントに組み入れようかと考えている。

※ 12/24 追記: OldSlav UTF-8 その後のその後

ptetex3 では UTF-8 キリル文字が欧文として使用できない,ということについて作者である土村さんから指摘があった。原稿に書いたキリル文字,ギリシア文字はそのままでは欧文として扱われないのは,互換性維持というポリシーでそうせざるを得なかった,欧文としてキリル文字・ギリシア文字を取り扱いたければ ^^十六進形式にすればよい,とのことだった。この場を借りて訂正しておく。

Utf82TeX-0912 で -h オプションを指定すればキリル文字・ギリシア文字を^^十六進形式に変換するようにしたので,utf82tex -h 原稿.tex > 原稿.utf; platex --kanji=utf8 原稿.utf とでもすれば,ptetex3 でもキリル文字・ギリシア文字がきちんと欧文として処理される。OldSlav に関しても inhibitslavactive, utf8, ptetex 3 オプションを併記すれば,ptetex3 でも UTF-8 で組めるようにした。

この休日,教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav の UTF-8 対応作業をしていた。久しぶりの LaTeX マクロへの取り組みだったので,現状の作りを思い出すのに苦労した。とりあえず,SlavTeX オリジナル記法と互換性を確保しつつ,Unicode 古スラブ文字を直截原稿に記述できる拡張まで漕ぎ着けた。いまのところ,Babel スタイルのみの対応である。また,アクティブアクセントモード(アクセント命令を \ なしで記述できるモード)の試験のみ。いまのところ問題はなさそうである。

OldSlav UTF-8 対応の方式設計の基本は,使用する UTF-8 キリル文字の第一オクテット X"D0",X"D1",X"D2" をアクティブ(catcode 13)に設定し,第二オクテットを引数として取る命令として定義する点である。第二オクテットになりうる文字コード 128--191 の分類コードを通常文字(catcode 11)に変更する。第二オクテットで文字を特定でき,それに応じて教会スラヴ語の文字に置き換えてゆく。Dominique Unruh 氏によるめっちゃトリッキーな Unicode パッケージ utf8x.def との共存で苦労した。これと併用できないと,他の言語,例えば古典ギリシア語の直截入力と混在できないことを意味する。ゆえに utf8x.def 共存は OldSlav にとってぜひとも解決の必要な課題だったのである。このため,OldSlav 環境を抜けるとき,utf8x.def がローディングされている場合,キリル文字第二オクテット文字の分類コードを 13 に設定しなおす必要があった。

そのうち,ドキュメントを含めパッケージを整理して公開する予定である。IR 版(本パッケージはこの先ずっとβ版だろうけど,それ以下ということ)を置いておくので,すでに OldSlav をお使いでかつ興味のある方のみ,次の二つのファイルをダウンロードして既存ファイルに上書きして試してほしい。ocscommon.def, oldchurchslavonic.ldf

SlavTeX オリジナル記法が使い方の基本である。さらに ѧ і ї ѣ є ѡ ѿ などの古スラヴ文字を使うことができる。いまのところアクセント引数のグルーピングにバグがある('{ѣ} などとするとうまく動作しない。 と書く必要がある。ただし,教会スラヴ語では複数文字をグルーピングすることにより引数を指定する局面はないはずである)。原稿例(ギリシア語,ロシア語混在試験)とその出力は以下のとおり。教会スラヴ語テキストはヨハネ福音書の冒頭である。uplatex が必要である。原稿では inputenc.styutf8x オプション付が指定されているが,これはロシア語,古典ギリシア語の直截入力のためであり,OldSlav だけならこれがなくても UTF-8 入力が可能である。
 

% -*- coding: utf-8; -*-
% OldSlav UTF-8 対応試験 
\documentclass[b5paper,uplatex,papersize]{jsarticle}
\usepackage[T1,T2A]{fontenc}
\usepackage[utf8x]{inputenc}% ロシア語・ギリシア語向け。OldSlav は不要
\usepackage[polutonikogreek,oldchurchslavonic,russian]{babel}
\languageattribute{oldchurchslavonic}{utf8}% OldSlav UTF-8
\pagestyle{empty}
\kcatcode`б=15\relax% Cyrillic U+0400--U+04FF
\kcatcode`ς=15\relax% Greek U+0370--U+03FF
\kcatcode`Ἄ=15\relax% Greek Extended U+1F00--U+1FFF
\parindent=0pt\relax
\begin{document}
\selectlanguage{oldchurchslavonic}
\parbox[t]{100mm}{%
Въ нач'алѣ б`ѣ сл'ово, \и сл'ово б`ѣ къ б_гу, \и б_гъ б`ѣ сл'ово.
С'ей б`ѣ ^искон`и къ б_гу:
вс^ѧ т'ѣмъ б'ыша, \и без\ъ нег`ѡ ничт'оже б'ысть, "єже б'ысть.
Въ т'омъ жив'отъ б`ѣ, \и жив'отъ б`ѣ св'ѣтъ челов'ѣкѡмъ:
\и св'ѣтъ во тм`ѣ св'ѣтитсѧ, \и тм`а <єг`ѡ не <ѡб\ъ'ѧтъ.
Б'ысть челов'ѣкъ п'осланъ ѿ б_га, "имя <єм`у <іѡ'аннъ:
с'ей прї'иде во свид'ѣтелство, да свид'ѣтелствуетъ 
<ѡ св'ѣтѣ, да вс`и в'ѣру "имутъ <єм`у.
Не б`ѣ т'ой св'ѣтъ, но да свид'ѣтелствуетъ <ѡ св'етѣ:
б`ѣ св'ѣтъ "истинный, "иже просвѣщ'аетъ вс'ѧкаго челов'ѣка 
гряд'ущаго въ м'іръ:
въ м'ірѣ б`ѣ, \и м'іръ т'ѣмъ б'ысть, \и м'іръ <єг`ѡ не позн`а:
}%
 
\vspace{2em}
\selectlanguage{polutonikogreek}
\parbox[t]{100mm}{%
Ἄνδρα μοι ἔννεπε, Μοῦσα, πολύτροπον, ὃς μάλα πολλὰ\\
πλάγχθη, ἐπεὶ Τροίης ἱερόν πτολίεθρον ἔπερσε.\\
πολλῶν δ'' ἀνθρώπων ἴδεν ἄστεα καὶ νόον ἔγνω,\\
πολλὰ δ'' ὅ γ᾽ἐν πόντῳ πάθεν ἄλγεα ὃν κατὰ θῡμόν,\\
ἀρνύμενος ἥν τε ψῡχὴν καὶ νόστον ἑταίρων.\\
ἀλλ'' οὐδ'' ὧς ἑτάρους ἐρρύσατο, ἱέμενός περ;\\
}%
 
\vspace{2em}
\selectlanguage{russian}
\selectruencoding{T2A}%
\parbox[t]{100mm}{%
Прежде всего откроем тайну которую 
Мастер не пожелал открыть Иванушке.
Возлюбленную его звали Маргаритою Николаевной.
Все, что Мастер говорил о ней, 
было сущей правдой.
Он описал свою возлюбленную верно.
Она была красива и умна.
}%
\end{document}
 
ocsutf8test.jpg

小沢さん中国に行く

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民主党の小沢さんがいま中国を訪問している。今夜のニュースで見た。中国に行っても選挙のことしか話をしないこのひと,ホント筋金入りですね。彼など,普天間問題なんて外務省の茶番だと鼻で嗤っているに違いない。

それでも,小沢さんが米国をさしおいて中国に行くところ,さすがである。中国も胡錦濤国家主席じきじきに会見とは相当の入れ込みようである。バカ右翼が騒いでいるよ。小沢さん,中国首脳と悪巧みでもして来て,もっと反中バカ右翼を騒がせて,楽しませてくれ!

橋下知事の仰天発言

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毎日 jp の報道によれば,橋下大阪府知事が,普天間飛行場の移設問題に絡んで,関西空港への米軍受入れを拒否しないと発言して波紋を呼んでいる。毎日 jp は実現性は薄いと論じている(そんなに沖縄に悲劇の県というイメージを押し付けたいのか?)。また毎日 jp は根拠のないことを堂々と書くものである。この橋下知事の発想はじつに面白い。「米軍は出て行け」と叫ぶ沖縄県民と悩む民主党政権との双方の要望(「県外移設」)に応える案として,関西空港という選択肢は極めて斬新,かつ理に適っている。関西空港は普天間が抱える騒音の問題も,離着陸の危険性もない。こういう案をブレークスルーというのではないだろうか。

米軍基地が大阪にできると危ないのではって? それを日本国民はこれまで沖縄県民に押し付けて来たではないか。心配しなくても,冷戦が終わったいま,そもそも沖縄米軍基地の意味はゼロであり,「危ない」なんて事態はまず起こりそうもない。沖縄米軍基地はいまや日米同盟の単なる象徴でしかないのだから,大赤字で困っている関西空港の安定的収入源として考えてもバチはあたらない。経済効果を関西の人に納得させられれば,みんながハッピーになる。困るのは自民党と,「この問題でアメリカが怒りまくっている」として民主党政権を虐めたい対米従属根性に毒されたマスコミだけになる(毎日 jp の論調はそこに発していると思う)。

羽田ハブ空港化問題で文句ばかり言っていた千葉県知事なんかと比べると,橋下さんはずっと頭がいい,と私などは考えてしまう。成田空港は騒音問題があるので,仮に森田さんがやりたいと思っても成田移設は無理でしょうけど。じつは橋下さん発言で,大赤字の空港を抱える知事たちは,先を越されたと内心地団駄を踏んでいるんではないか,と私は思ってしまう。

面談・いまどきの進路指導

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今日,妻が中学三年になる娘を連れて,学校先生との面談に行って来た。高校受験を間近に控え,進路がテーマとなるはずであった。「頑張ってね」と言われたそうである。予想通り!

学校の先生はたいへんである。最近いじめの問題への対処やら体罰の厳禁やらで先生の行動には制約があまりに多い。私のような中年世代以上は,言うことを聞かない子供に対し,先生がその権威と良識に照らして,鉄拳を振るって大人しくさせるのを,当然のようにとは言わないまでも,致し方ないと思っているはずである。私も,中学時代,先生に何度殴られたことか。英和辞書を忘れたくらいで廊下に立たされ,あるいはグラウンド5周などと命じられたものである。でも,当時頭にこそ来たがなんの禍根も残さなかったし,いまもあれは問題だったとも思われない。が,最近はモンスター・ペアレントなどという言葉も定着しているとおり,先生は世間からの反動を極度に怖れ,体罰はおろか,生徒の心を傷つけるいかなる言動も慎むようになっている。子供たちをサービス顧客として扱う気持ちがどこかにあるようである。鬱病になり辞職する先生が増えているそうである。不憫極まりない。時代が変わったのである(ただし,高校の運動部だけは別のようである。息子はヘタクソなプレーをして,顧問の先生に何度も殴られている。軍隊式指導により上下関係の尊重が徹底している。教育はそれでよいのである)。

このような当たり障りのない教育のおかげで,受験指導も「本人の自己責任」の風潮が強い。先生は「頑張ってね」としか言わない。私の中学生のころは,進路希望について高望みしている場合,「お前の成績でそのレベルの高校なんて行けるわけないやろ,アホ! ココにしとかんかい!」とハッキリ言われたものである。でもそのキツい言動は,職員会議でひとりひとりの成績を職員達が議論し,進路の妥当性を見極めたうえでなされたものだったのである。私たちの世代は人数も多く,私の中学校は 40 人のクラスが 1 学年に 10 クラスあった。それでもひとりひとりやってくれたのである。娘の学校は,少子化の影響でたった 3 クラスしかないが,このようなひとりひとりの進路希望の妥当性を会議でギリギリやってくれているのだろうか? 否,「頑張ってね」には,そのような差し迫った判断と責任感のかけらも感じられない。なにも先生の「提言」に「責任」を追及しようなどとは,「おせっかいはやめてくれ」などとは,私は考えもしない。ただ,教育者として「判断」してほしいのである! どうして生徒の行く末についてここまで他人事になってしまったのか。残念でならない。

Ozon から本が届いた。«Библія, сирѣчь книги Священнаго Писанія Ветхаго и Новаго Завѣта на церковнославянскомъ языкѣ съ параллельными мѣстами, СПб.: Синод. типогр., 1900»— 教会スラヴ語訳旧約・新約聖書,Сѷнодальнаѧ Тѷпографїѧ シノダーリナヤ・ティポグラーフィヤ(ロシア宗務院印刷所)による 1900 年刊行本の復刻版(Российское Библейское Общество, М. 2005. ロシア聖書協会,モスクワ,2005 年刊)である。教会スラヴ語関連の学術文献目録の筆頭にしるされるべき権威ある版である。長らく探し回ってやっとの思いで手に入れた古書。768.6 ルーブリ,日本円にして 約 2,400 円也。

正教会の八端十字架がカバーに押されている。クラシックな教会スラヴ語文字による二段組み。総 1,660 頁のノンブルはすべて教会スラヴ語の数様式で振られている(アラビア数字のない教会スラヴ語文献では,例えば 2009 を "oldchurchslavonic numeric style 2009" と表現する。ローマ数字で 2009 を "MMIX" と表現するのと同様である)。惚れ惚れしてしまう美しい版である。洋書は紙質に対しておよそ拘りがないけれども,本書には,日本の辞書で用いられるような薄く,かつ勁い上製紙が用いられている。装丁も皮クロスで立派である。聖書だけは別格らしい。私の所有している現代ロシア語訳新約聖書,ギリシア語コイネー原典新約聖書も,同じ上製紙が使われていた。

教会スラヴ語訳聖書カバー・扉・ヨハネ黙示録冒頭

教会スラヴ語訳旧約・新約聖書は,本国ロシアの Ozon でも本当にめったに売りに出ないので,私は今回の掘り出し物が嬉しくて堪らない。入手してすぐ,奥村先生著『改訂第4版 LaTeX2e 美文書作成入門』の多言語の章において Babel 組版例にあげられている『ヨハネ福音書』の冒頭(J 章, p. 357)に相当する本文を,この教会スラヴ語訳聖書からの引用により,拙作教会スラヴ語 LaTeX パッケージ OldSlav で組んでみた。実際は節番号が教会スラヴ語様式でしるされ,引照(聖書中の語句のクロスリファレンス)が付加されているが,これらは省略した。

ヨハネ福音書冒頭LaTeX組版
ヨハネ福音書 1.1--1.10 教会スラヴ語訳 LaTeX 組版
ヨハネ福音書冒頭(書籍の該当部分)
ヨハネ福音書 1.1--1.7 教会スラヴ語訳 書籍の該当部分(節番号付)

LaTeX 原稿は以下のとおり。これは OldSlav SlavTeX オリジナル記法でコーディングしているので,このままではコンパイルできず,拙作 Utf82TeX で変換する必要がある。ulatex evangelie_ioanna.tex でコンパイル,PDF 生成を行った。いちおう,LaTeX ファイル: evangelie_ioanna.tex組版結果 pdf: evangelie_ioanna.pdf もリンクしておく。

% -*- coding: utf-8; -*-
% ヨハネ福音書より 1.1--1.10
% ЕѴА'НГЕЛїЕ Ѿ ІѠА'ННА.
%                2009 (c) isao yasuda, All Rights Reserved.
\documentclass[11pt,b5paper]{jsarticle}
\usepackage[dvips]{color}
\usepackage[T2A,T1]{fontenc}
\usepackage[oldchurchslavonic]{babel}
\pagestyle{empty}
\renewcommand{\baselinestretch}{0,8}
\begin{document}
\selectlanguage{oldchurchslavonic}%
\parindent=0pt\relax%
%<utf82tex_s>
\begin{minipage}[t]{70mm}%
  \hfil{\color{red}^ЕV'АНГЕЛIЕ Q ^IW'АННА.}\hfil\par
  \vspace{0.5em}%
  Въ нач'алэ б`э сл'ово, ^и сл'ово б`э къ б_гу, ^и б_гъ б`э сл'ово.
  С'ей б`э ^искон`и къ б_гу:
  вс^я т'эмъ б'ыша, ^и без\ъ нег`w ничт'оже б'ысть, "eже б'ысть.
  Въ т'омъ жив'отъ б`э, ^и жив'отъ б`э св'этъ челов'экwмъ:
  ^и св'этъ во тм`э св'этится, ^и тм`а >eг`w не >wб\ъ'ятъ.
  Б'ысть челов'экъ п'осланъ q б_га, "имя >eм`у ^iw'аннъ:
  с'ей прi'иде во свид'этелство, да свид'этелствуетъ ^w св'этэ, 
  да вс`и в'эру "имутъ >eм`у.
  Не б`э т'ой св'этъ, но да свид'этелствуетъ ^w св'етэ:
  б`э св'этъ "истинный, "иже просвэщ'аетъ вс'якаго челов'эка 
  гряд'ущаго въ м'iръ:
  въ м'iрэ б`э, ^и м'iръ т'эмъ б'ысть, ^и м'iръ >eг`w не позн`а:
%</utf82tex_s>
\end{minipage}
\end{document}

郵政民営化法案凍結

|

臨時国会で郵政株式売却凍結の法案が可決された。郵政民営化が国政によって否定されたわけである。

郵政民営化は,ゆうちょの莫大な資産を,海外投資家含め,自由に運用できる道筋を開いたことで,まかり間違えば日本国民の資産運用の富が海外の資本家に収奪される構造をも生み出しかねない政策ともいえた。でも,この最悪のシナリオを除けば,私は郵政民営化に基本的には賛成だったので,今回の法案には賛成しかねる部分がある。郵政民営化反対意見の主な根拠は,営業利益の望めないような過疎化傾向の地方から郵便局が消え,地域格差が助長される,という点にある。でも,それは地方自治体の解決すべき課題であって,指摘されるような事態は,かつて国鉄が分割・民営化されたとき,赤字ローカル線が廃止された構造とまったく同じである。国鉄の民営化がサービスの向上に測り知れない原動力となったことは,いまや誰しも認めるはずである。基本的に国家事業の民営化は国民にとってプラスに働くと私は信じている。「あったかい郵便局が村から消えるのは許されない」— 何をセンチメンタルなこと言っているのか。ならば地方自治体に「あったかい郵便局」に代わる何かを運営させればよいのだ。国鉄民営化後,廃止された赤字ローカル線に代わって,バス路線ができたように。

昔の国鉄の酷さ,職員の傲慢を知る人は中年以上の世代になってしまった。国労・動労(労働団結権の認められなかった国鉄職員の非合法労働組合 —「労働者」なんだから当然という理屈でできた組織)の遵法闘争によって朝の通勤ダイヤがむちゃくちゃになり,怒った通勤サラリーマンが駅で暴動を起こし,駅舎や車両を破壊する事件があった,なんていまの若者には信じられないと思う。これは,国家権力をカサに着た公務員が自己中心的な左翼闘争をやるとロクなことがないという歴史のひとコマである。世知辛い世の中の風にモロに晒されている国民からボコされて終わり,という喜劇である。ことほど左様に常日頃から国鉄職員にガマンならなかった人が多かったわけだ。

私も国鉄の時代に国鉄職員に対して虫酸が走る思いをした多くの一般人のうちのひとりである。私は学生時代,国鉄の累積赤字が大問題になり郵政事業と同様に民営化問題が大騒ぎだったころ,帰省のため札幌駅「みどりの窓口」で切符を予約したことがある。学生割引について中年担当駅員に問い合わせたところ,その駅員の曰く,「いまこの赤字まみれの国鉄にアンタ,割引をしろってか?」。「このゲス公務員野郎,民営化された暁には覚えてやがれ」と私は怒り心頭に発したものである。もうそれ以降,国鉄主体で帰省することをやめ,安価な小樽ー敦賀フェリー航路を使うようになった。このオヤジ,その後,清算事業団を経てどういう運命を辿ったのか,私は少し興味がある。私の記憶のなかにいる国鉄職員は「サービスを受ける奴らはゴマンといるのにサービスを提供するオレはひとりしかいないのだから文句言うな」テキ傲慢が抜けない。彼らの業務目的の中心には顧客ではなく親方日の丸・組織と自己保身がある。そのくせ,一般企業のサラリーマンがとても望めない高い退職金,高い年金を貰える身分にある。まあ,こんなことを言ういまの私には,世の経済情勢の直撃を食らうしがないサラリーマンのやっかみもある。

現在の JR 職員にこのようなかつての国鉄公務員のガサツに出会うことは絶対にないと断言できる(いまつとに騒がれている,JR 西日本の隠蔽工作は,国鉄体質旧態依然の幹部職員のなせるわざだと私は思っている。だからギリギリ虐めてやればよいのだ)。郵便局員が,この社会人らしからぬオヤジのようなガサツを発揮しているのを,私は経験したことはない。けれども,小泉政権下で民営化が決まったあと,郵便事業のサービスがかつてないほど改善したのは,ゆうパックなど数え上げればきりがないくらいである。郵政を民営化し,クロネコヤマトや民間生保・銀行・金融機関と同じ条件でしのぎを削らせたほうが,サービスの質が上がって国民にとってよいに決まっている。私は社会保険庁すら民営化すべきだと思っているくらいである。

pdfpages.sty

| | コメント(2)

PTA 会報の LaTeX 文書作成において A4 2 ページを 2 UP で A3 見開きの版面に結合する必要があり,これまで Adobe Acrobat 7.0 で 2 UP 印刷を行うことで対処していた。この場合,A4 文書の余白を適度に切り落とさないと Acrobat が自動で余白を取るため,もとの文書が若干縮小される問題があり,事前に余白調整を手作業で実施していた。

今日,久しぶりに TeX Q & A を見ていたら,pdfpages パッケージの話題が出ていて,その存在を思い出した。このスタイルファイルによって,上記の面倒な調整なしに一発で A3 結合ができるようになった。

pdfpages.sty は外部 PDF ファイルを LaTeX 文書に挿入する命令を提供する。ただし,pLaTeX2e では動作せず,pdfLaTeX での利用が前提なので少々残念ではある。しかし,今回,pLaTeX2e から生成した PDF を再配置・結合するだけの目的であるので,この制約で困ることはまったくなかった。このパッケージの主要な用途は n UP か面付けであって,他の日本語 LaTeX ユーザもおそらく困らないはずである。

A4 縦 2 ページ(portrait)文書 a4.pdf を A3 横 1 ページ(landscape)に合成し,次のページに A3 横 1 ページの別文書 a3.pdf を同じ版面で結合する例を示す。

pdfpages 処理イメージ: tgif + Illustrator にて作成
A4 縦 2p と A3 横 1p を A3 横 2p に合成する
% pdfpage.sty サンプル(pdflatex で処理すること)
\documentclass{article}
\usepackage[paper=a3paper,landscape=true]{geometry}%
%\usepackage[draft]{pdfpages}% 確認用
\usepackage[final]{pdfpages}% 本番用
\begin{document}
% A4 2 頁を A3 見開き 1 枚にマージ
\includepdf[nup=2x1,pages={1-2}]{a4.pdf}%
% A3 はそのまま次の頁にマージ
\includepdf{a3.pdf}%
\end{document}

\usepackage[オプション]{pdfpages} をプリアンブルに記述する。オプションで draft を指定すると,挿入する PDF のページ枠だけを出力する。確認用である。デフォルトは final(PDF そのものを挿入する)である。\includepdf 命令が外部 PDF ファイル挿入のコントロール・シーケンスである。a4.pdf ファイルを指定する行は,横 2 x 縦 1 の 2 UP でレイアウトする指示(nup オプション)である。pages オプションをきちんと指定しないと 1 ページ目しか処理されない。

例では geometry.sty も読込むように指定している。これは,pdfLaTeX の article.cls ドキュメントクラスには A3 用紙の版面が定義されておらず,A3 出力が独力では難しく,geometry パッケージの機能を使うことにしたからである(pLaTeX2e・奥村先生の jsarticle.cls は a3paper をサポートしている)。

pdfpages パッケージはこのほかに,ページ縮小や,レイアウトマージン調整,版面の回転など様々な機能を備えている。詳細はパッケージのマニュアルを参照されたい。

D. Smirnov から YouTube に彼のピアノ作品 Piano Sonata No. 4 "String Destiny"(2000)の演奏動画がアップされたという連絡をもらった。早速,視聴。彼の愛嬢,この作品を献呈された人でもある Alissa Firsova がピアノを弾いている。彼女はなんと 14 歳のとき,この作品を初演し,CD も出したそうである。

本作品は,現代音楽とはいえ古典的な趣きがあり,スクリャービンを思い起こす人もいるかと思う。極めてシンプルなモチーフ・構成である。現代人の孤独な心境を髣髴とさせる端正な音響。「運命の鎖」というタイトルが付いているが,むしろ極く短い時間のあいだの人間の魂の緊迫した姿,という印象を私は受ける。

The Sonata No. 4 has some classical taste. It may remind ones of Skrjabin. The motif and construction are simple. The taciturn acoustics recall me recollections of modern solitude. I feel a figure of density of a modern human's mind in his short moment, though the work is titled "String of Destiny".

Posted by NewMusicXX.

また同じメールで,Smirnov 本人の管理する YouTube Dmitri Smirnov's Channel を教わった。こちらでは,彼の音楽のみならず,作曲家の友人であり Smirnov 作品 CD の録音もしているチェリスト Anatole Liebermann 演奏によるバッハの無伴奏チェロ組曲(Smirnov の自宅で気ままに撮影したホーム演奏会のビデオのようである),Elena Firsova(Smirnov のご夫人)作曲の弦楽四重奏曲なども視聴することができる。興味のあるかたはぜひどうぞ。

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ISAO YASUDA。システムエンジニア。神奈川県在住。昭和 30 年代を懐かしむオヤジ。ロシアに興味があります。
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