2010年6月Archives

W 杯はまだまだ続く

日本は残念ながらパラグアイに敗れました。PK 戦での敗退なので,なんとも気持ちの整理のつかない,後味の悪い結末であった。PK じゃしようがない。玉田が入ってからなにかいやな予感がした。2006 年色が。それでも,ノーシードでのグループリーグ突破は,考えれば考えるほど,凄い。無失点で勝利したカメルーン戦,優勝候補を 1 失点で抑えたオランダ戦,前向きにぶっちぎったデンマーク戦。遥か格上を抑えての大健闘。国民の血を滾らせてくれてありがとうの一言である。

2014 ブラジル W 杯に向けた日本の次のチャレンジがはじまる。少しずつ成長を見せてくれることを楽しみにしたい。とはいえ,これからオリンピック予選かと思うと,期待の一方で,暗い気分にも襲われる。それくらい若い世代が置き去りにされているように私には思われる。安定したチーム力を持続させるには,高さと強さを持つディフェンダー,守備意識の高いプレーヤーを育てないといけない,ということがよくわかった大会ではないだろうか。闘いの基本は守備なのである。このためにも,長谷部選手が試合後のインタビューでいみじくも語ったとおり,J リーグを盛り上げなくちゃ。

日本代表の大会はこれで終わった。けれども,まだ残った 8 強のゲームがある。アルゼンチン VS ドイツ,ブラジル VS オランダ... こうした,世界一級の技能と精神力の闘いこそが W 杯の醍醐味である。私はアルゼンチンが優勝すると思っている。でも,ドイツの凄まじい精神力も頼もしい。これまで何度も予想を裏切ってくれたオランダは今度こそやってくれるかも。ああ,まだまだ楽しみが続く!

第 53 回神奈川県合唱祭

土曜日,第 53 回神奈川県合唱祭に行って来た。場所は横浜桜木町にある神奈川県立音楽堂。娘の所属する高校合唱部が出演した。中学・高校部門から大学,社会人部門まで,ほぼまる一日,演目があった。

娘は朝から出かけた。新川崎駅から桜木町駅への行き方を教えてやった。でも,横浜駅で根岸線に乗り換えて関内,桜木町と二駅目だと勘違いしてしまい,私はウソを娘にインプットしてしまった。案の定,方向音痴の娘は目的とする駅ではなく「二番目」が頭にあったらしい。幸いにも桜木町行きの電車に乗り合わせたので乗り過ごしせずにすんだようである。まったく,自分で判断をしつつ行動しろというのだ。

娘は 3 回くらい舞台に立つという話だったが,私と妻は最後のメイン演目,この日のトリに合わせて音楽堂に入った。曲目は,ジョスカン・デ・プレ作曲 "Gloria" と,ウィテカー作曲 "Hope, Faith, Life, Love" だった。線のきっちり出た,混声四部らしい,よい演奏だった。

桜木町は二年ぶりくらいか。紅葉坂沿いに横浜らしい瀟洒な洋食レストランやマンションが立ち並んでいる。県立音楽堂はクイケン兄弟によるバッハ『音楽の捧げもの』演奏会以来である。この音楽堂は,建物正面の安手の駐車場さえなければ,クラシックの旧き良き殿堂の風格がある。名だたる演奏家がここでコンサートを開いている。娘はこの県立音楽堂のほかミューザ川崎コンサートホールの舞台にも立った。神奈川県の最高のコンサートホールで演奏したわけである。客席からしか眺めることのできない私には,娘が貴重な経験をさせてもらっているということがありがたい。娘はまったく頓着がないのだが。合唱祭のあと,みなとみらいのランドマークタワー辺りに足を運び,横浜駅地下街で三人で中華料理を食って帰宅した。

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2010gasshosai3.png桜木町駅前で妻が『モモコ』なる風俗嬢求人雑誌を手渡された。「まだアタシ,こういうの配られるくらい若く見えるんだワ」とまんざらでもなさそうであった。趣味の世界なので 60 歳の風俗嬢も探せばいるはずである。「不況なんて関係ない♥」と『モモコ』表紙にある。このご時世,就職先が見つからず風俗嬢やパーツモデルになる女子大新卒女性も多いらしい。ピアノでバッハを弾くヘルス嬢なんてのも珍しくないのかも知れない。私もちょっと拝見。『モモコ』では「日給 35,000 円以上・超楽チン・手だけで高収入」などといった求人触れ込みがパターン化していて面白い。とくに「脱がない舐めない触らせない」という三原則がしばしば目について,大笑いした。うちの娘も,どうにも仕事の行先を見出せずこの手の道を歩む,ということを想像してみる。笑えないことがわかる。そして,そういう仕事も仕事なのだと,改めて考えてみる。小沢昭一的こころ。私は風俗業そのものには何の先入観もないつもりである一方,なによりヤクザやアジアン・マフィヤに食い物にされる極道であることにこそ,業界の悪を見る。いま大騒ぎの角界の野球賭博問題が,賭博行為そのものよりもヤクザとの関係をこそ問題視されるべき,と考えるのと同じである。ところで,妻は柴藤ももえ作の掌編マンガ『フーゾク小悪魔道』〜「素股」編(2)を見て大笑いしていた。「素股」って何だって? ここでその意味を書くのはやめておきます。

すばらすぃ

日本がなんとベスト 16 に残りました。本大会前になされた数々の失礼なコメントを蹴散らして,いまや日本サッカー史上最強の代表チームとまで呼ばれるようになった。本田選手,遠藤選手のフリーキックはアンビリーバボーでした。絵に描いたような美しいゴールでした。世の中の評判も掌を返したかのようである。岡田監督は一転,日本サッカー界の英雄になった。ここがダメ,あそこが最低とばかりに貶されていた日本チームの特徴が,いまや反転したかのごとき趨勢である。これにスイッチを入れたのは,カメルーン戦のあの本田選手のゴールと無失点を果たしたことがすべてである,といってよいだろう。

我が家では,早めに就寝して 3 時ごろ起き出して,息子,娘,私の三人でテレビ観戦した。妻は独りグーグー寝ていたが,観戦時のおつまみにピザを買い置いてくれた。未明に,ビールを呑みながら,「ヨォーシ」とか,「ヤッター」とか,「エー」とか,「スゲェー」とか,「ナニィー」とか,大声を出して,いい気分であった。まずなによりも,檜舞台の大一番で闘う日本のナショナルチームを,こうして飲み食いしながら家族で応援できる機会に恵まれたことに,改めて感謝した。

はじめのうちは押し込まれたが,ルーズボールを丹念に拾って攻撃に転じるうちに,ポゼッションでは劣りながらも,日本はデンマークを陥れるようになった。GK, DF, ボランチの守備が心憎かった。大会直前のテストマッチでこの布陣を敷きはじめたときは,「なんでこの期に及んでこれまでなおざりにして来た守備的攻撃ポリシーをドタバタ試すのか,もはや遅すぎる」と私は岡田監督に頭に来たのだが,こんな短期間でそれなりの形を確立してしまうのだからやはり日本代表選手の質はただならぬものがあるとホント感心した。

試合を観たあと,酔いを醒まし寝不足を押して出勤。私と同じような社員がほとんどであった。会社では職務の手前,興奮状態は秘められたものであって,「やったねぇ」—「そうですねぇ」だけでこの W 杯関連の会話はそれっきりとなっていたんだけど,皆,休み時間には号外に目を通して勝利の余韻を反芻しているようだった。

日本中が祝祭気分だったようである。これが南アフリカではなく,日本と時差のない国で起こった事件であったならば,試合終了後,皆でどんちゃん騒ぎとなり,コンドームが飛ぶように売れ,ホテルは満員御礼になったに違いないと,私はアクビをしながら事務所の自席でアホな想像をした。祝祭とはそういうものでなくちゃ。次はパイアグラ ... いや,パラグアイとのベストエイトを賭けたノックアウトマッチ。この試合は 22 時キックオフだそうである。でも,ウィークデーなので,会社員はどんちゃん騒ぎに直行するわけにはやっぱりいかないはずである。

あー眠。日本チームの皆様,楽しいひとときを下さいまして,ありがとうございました。また,よろしくお願いします。

韓国さすが/参院選スタート/右翼

韓国が決勝トーナメント進出を決めた。素晴らしい。厳しいグループにあってよくぞ果たした。日本も続いてほしい。

* * *

参院選がスタートした。今夜,日本が予選突破したら,民主党が勝利するだろう。逆に日本がデンマークに敗れ,前評判どおり予選敗退となったら,やっぱり民主党が勝利するだろう。

民主党・菅直人首相は,いま持ち出すと選挙に不利だと思われる消費増税を,敢えて争点にした。いいんじゃないんでしょうか。その前に民間にできることからさっさと公務員を撤退させてくれないものでしょうか。税収が少なくなって政策実行が難しい,あるいは借金を返さなくちゃ,というならば,まず一般企業と同じように無駄な構成員をリストラして組織をスリムにするところから始めるべきである。

* * *

いま読んでいる本は右翼についてのものである。鈴木邦男『右翼は言論の敵か』(ちくま新書,2009 年)。私は「左翼」も「右翼」も嫌いである。パッパラパーと真面目の混淆が好きなのだ。でも,自分の胸に手を当ててよく考えてみると「心情右翼」だと自己認識している。日本は天皇陛下がいなければ,ただのアジアの小国だと私は思っているからである。中国の軍事力は確かに脅威で,米国をうまく使うなり自分で守るなりすべきだと思っている。一方で,中国も,韓国も日本以上の文明国だと思ってもいるのである。

ところで,考えてみれば「左翼」も,「右翼」も,いまやどこにもいないような気がしている。「ネット右翼」というコトバが定着しているけれども,ほんとうにその実体があるのかということにすら首を傾げてしまう。PC の前でホザくだけの「右翼」なんて名辞矛盾ではなかろうか。私はいま「右翼」とカッコ付きで記しているが,「ネット右翼」なんてさらにカッコを付けて「「右翼」」と呼びたい気がする。やっぱり本当に殺されるのではないかと思うくらいのスゴミがないと「右翼」とは呼びたくありません。いずれにせよ,いまは右も,左も,皆お行儀がよくなった。ヨイことである。昔は殴り合い,殺し合いをやったのに。その血走った人たちが学校を卒業したらバリバリの企業人になってしまったというのだから,金の力,世の中の圧力というものの凄さに呆れるというものである。

まあ,もとより私にとっては「左翼」も,「右翼」も,クソ真面目な学生が仕事を覚える前にそのクソ真面目さだけで「信念」に突っ走っている,ただそれだけのハタ迷惑な存在でしかなかった。親や世の中に寄生しているだけなのに,手を動かして仕事をし子供を育ててから偉そうなことを言ったらどうかね,と思う。仕事と子育ては,日常的継続の過酷さを正視し,地を這うようにそれに平静な顔つきで耐えることを強要する。それに晒されずにクソ真面目野郎が語る「信念」なぞ,嗤うべきである。そんな「信念」は薄っぺらで,無責任で,すぐに忘れられるだろう。だから「左翼」も「右翼」も,学校を卒業したら,この「信念」は「思い出」になってしまったのである。そんなヤツらを私は絶対「信用」しない。私のこのような考えはいまも昔もまったく変わらない。鈴木邦男のこの熱血右翼伝を読んでも,やはり変わらない。奇しくも本書は「左翼」も,「右翼」も,日常的継続の世界に対する視野の狭さという意味で同じ穴の狢であったという,右翼活動家だった者の立場からの証言である...,そう読んでしまった私は間違いなく「左翼」,「右翼」のいずれからも軽蔑されるべき「ノンポリ」生活者である。

著者は面白い話を本書で伝えている。いまや信じられないことだが,昔,オカモトのコンドームの CM にこんなのがあったそうである。三島由紀夫の『楯の会』と同じ制服を着た男たちが叫ぶ:「立て,立て,立て,立て,タテの会。使用感などさらになし」。三島由紀夫はいまでは右翼にとって神に等しい存在である。しかしながら,当時は,このパロディーに見られるとおり,パンピーどもからは思いっきり皮肉に,斜に眺められていたのである。コンドームとは傑作である。「使命感」を「使用感」に転じて大笑いである。これこそ生活人の視線である。三島由紀夫を作家としてこよなく尊敬しているのではあるが,残念ながら私は,オカモト工業の下品極まりないセンスのほうにこそいたく共感を覚える,パンピー日本人である。思想バカを諭そうとしてはならない。嗤ってやるのが一番である。
 

人民元弾力化/特許庁汚職事件

中国人民元相場が「弾力化」されたという。これまで実質的に固定相場であった人民元が,変動相場に移行した,ということのようである。製造業を基盤産業とする,日本と経済構造の似た中国は,元高になると輸出不振に陥り,日本がこれまでたびたび円高で騒いで来たような事態を招くことになる。かくも格差の巨大な中国の経済事情に,為替相場に依存する不安定な構造不況が訪れる可能性が出て来るとなると,中国の成長にも陰りが具体化して来るのか。逆に投資が活発になり金融資本主義が遅れて台頭するのか。経済のよくわからない私には予測がつかない。中国の様子しだいでは,日本も円高歓迎の風潮になったりして。民主党には円高容認姿勢の強い新自由主義者が多いのではないかと思うにつけ,あながち起こりえないことでもないと思う。円高を悪と見るのは,政府自民党が大企業の言いなりだったからである。

私の会社ではソフトウェアの開発において中国に発注することが非常に多い。昔はインド,韓国が多かったが,いまや中国が他を圧倒している。しかし,人民元相場が高くなると,中国からの調達のメリットが当然下がって来る。そういう流れのなかで,いまヴェトナム調達が注目を集めている。中国人とは違い,ヴェトナム人は日本の品質管理を崇拝していて,いまや日本人以上に品質に対して真剣に取り組んでいる。しかも単価は安い。技術者は日本語も一生懸命勉強している。日本語がわかり,品質指向において日本の若者より優れ,しかも安く雇えるとなると,誰が日本の若者を雇うだろうか?

かつては品質・性能へのプロフェショナルなこだわりにおいて日本人プログラマは圧倒的に優れていた。日本人プログラマの品質の高さは,その高い単価のデメリットを補って余りあるものだった。しかし,残念ながら,いまや日本人プログラマにはそのプロ意識は失われている。だから,品質にもうるさく単価も安いヴェトナム人がさらに技術を磨いて来るとなると,日本人プログラマを使えなくなるのである。なんで無理して雇わないといけないのか? それで雇用不安になるのはいったい誰が悪いのか。「自己責任」だろうか?

ヴェトナムは 8,600 万人の人口のなんと 70% が 30 歳未満の若い人々から成るのだそうである。おそらくヴェトナム戦争による影響だろう。日本のような老人国は,こうした新興国の前にいまの地位を維持し続けることができるのか? 悲観的にならざるをえない。なんか話が曲がってしまった。

* * *

今日夕方4時過ぎ『特許庁審判官を逮捕 NTTデータ側から収賄容疑』のニュースを部下から知らされ,大いに驚いた。溜池の会社事務所を出て,目と鼻の先にある特許庁に野次馬根性で行ってみると,報道関係者が庁舎入り口に集結していた。

これ,現場関係者による悪質なチクリに間違いない。事件は特許庁の事務処理システム調達に絡むとされている。TBS が報じた,庁内事務処理システム調達情報の T 社流出問題と関連があるのかも知れない。今回の被疑者がそれに関与したということではなくて,その問題を逸らすなどの間接的な意図が働いたとか,そういう想像を起こさせるくらいの意味である。特許庁ともなると同じ仕事にたくさんの業者が関っていて,首を傾げるような風景も目にするものである。

「悪質なチクリ」と言うのは,この事件に私はまったく犯罪性の臭いを感じないからである。この特許庁審判官は業者から「タクシー代などとして計約二百数十万円相当を受け取った」収賄容疑で立件されたという。「相当」ということは現金は受け取っていないということである。これ,システム開発のトラブルで業者とともに作業が深夜に及び,その都度業者が申しわけの意味も含めて — 上長から自分のために預かった,自腹の痛まない — タクシー券を譲った,そういう状況が度重なったに過ぎない,と私は考えている。私も顧客に同じようにタクシー券を上げたことはなかったか? 顧客と呑みに行って,代金を会社の接待費で落としたことはなかっただろうか? 週 1 回,3 年くらい続けば,被疑者の自宅・小田原までのタクシー代は 200 万くらい裕に越えてしまう。確かにこれは「贈収賄」に違いないわけだが,「犯罪」として立件するほどのインパクトがどこにあるのか? またこの「贈賄」で NTT データが具体的に何の受注を得たのか,要するに贈賄の目的は何だったのか? ちょっとこの事件に今後も注目したいが,私はおそらく捜査過程でこの追及はなされないような気がしている。そして,まず間違いなく,マスコミは警察の言うことを鵜呑みにするだろう。不起訴で終わることを祈る。

私も仕事の上で国家公務員との付き合いが多い。彼らは本当によく働く。一緒に仕事をしていると彼らとのヘンな一体感に捕われ,「便宜供与」まがいの行為を知らず知らずやってしまう可能性は否定できない。公務員倫理法施行以来,一緒に呑みにいくなんてことはとんとなくなった。それでも,こんなつまらないことで罪に追いやられる彼らとの付き合いにおいて,改めて慎重にしなくてはと肝に命じた。

ぷっつん,北朝鮮

C 組,ポルトガル VS 北朝鮮の試合がつい先ほど終わった。7--0 でポルトガルが強豪国の余裕を見せて大勝した。北朝鮮は,立ち上がり押し込むシーンも見せたが,1 失点するやとたんに守備の集中力が切れ,2 失点目を喫するともはやすべてがぷっつん状態となり,目も当てられない状況となった。

んー,残念。上から目線丸出しのポルトガルに対して,北朝鮮はアジアの意地を見せてほしかった。今日の試合は,異例にも,北朝鮮で生中継されたそうである。ブラジルに噛み付いた勢いのまにまに,北朝鮮の当局も期待したのだろう。北朝鮮は政治的には許せない敵国ではあるが,W 杯というスポーツのグローバルな大会においては,アジアの同胞である。なんとか存在感を世界に見せつけてほしかったのに。これが現実。

この試合を観ていて,わが日本代表がオランダに 1 失点しかしなかったことに,改めて敬意の念を覚えた。短期間に課題の守備的集中力をよくぞここまで高めたものと感心させられた。皮肉な予想をしてすみませんでした。次は決死のデンマーク戦。格上相手にしっかり守って,スキを突く,緊迫した闘いを繰り広げてほしい。4 年前の屈辱を晴らしてくれ。バイキングを鉄兜もろともブッタ切ってくれ(おいおい)。

映画『ザ・コーヴ』上演自粛騒動

アカデミー賞受賞作の米国映画『ザ・コーヴ』は,日本のイルカ追い込み漁を批判的に描いたものという。上演を予定していた映画館が,右翼の街宣による付近の迷惑を怖れ,相次いで上演を自主的に取りやめており,騒動になっている。

インターネットの情報から知る限り,『ザ・コーヴ』は,食文化に関る西欧人らしい偏見が「ドキュメンタリー」として提示されたなんとも偽善的なアホらしい映画である,という印象を私は受ける。ただし,この映画を観ていない以上,それは印象でしかない。この映画を「反日的」と極め付けて右翼が騒いでいるのもわからないではない。でも,上演自粛に追い込まれるのも悲しい話である。関心のある人がこれを観て,イルカ漁に反対するにせよ,イルカ漁を擁護するにせよ,別に構わないではないか。

この映画の「反日的」プロパガンダ性を問題視するならば,公開された映画そのものを論評し,具体的映像表現を採り上げて批判すればよい。西欧人は概してクジラ漁や,イルカ「虐待」に対して批判的ではあるが,彼らのなかには異文化を理解しようとする良識人もたくさんいる。絶対数としては少数の人たちではあるが,文化を支えているのは,そういう少数の人たちである。彼らに日本の食文化への理解を深めてもらうには,表現を抹殺するのではなくオープンにして,きちんとそれに反論する姿勢が大事なんじゃなかろうか。そして彼らに理解されるのならば,あとの有象無象の情緒的偏見(この映画を撮った人たちは,おそらくその部類であり,米国のアカデミー賞もどうやら有象無象の頂点のようである)は無視してよいと思う。映画館も,想定される右翼の街宣をただただ怖れるのではなく,それで具体的な被害が発生した段階で,しかるべき対応を取ればよいのではないかと思う。

ものごとを入り口で締め付けてしまうやり方は,たとえ「自粛」という自由意志に基づくものであれ,意見が「空気」で圧殺される「なんともいやな社会」になりつつあるような寒気を覚えてしまう。

P.S.:
まあ,映画『YASUKUNI』同様,いずれレンタル DVD で出るんだろうから,この手の作品を観に映画館にまで行く気はしない。『YASUKUNI』はというと,「反日的」呼び声がかしましかったが,よい作品だった。

蜂の巣駆除

ベランダの軒下にアシナガバチが巣を営んだ。そう大きなものではないが,妻が怖がって駆除してくれと言う:「だって洗濯物の始末のとき,気が気でないもの」。「えぇー,やだよー,こぇーよー」。駆除業者に見積もりをとったところ,15,000 円もするとのこと。しようがない,やります。

というわけで,ググって駆除計画。蜂の駆除には『スーパーハチジェット』という殺虫剤が有効。これは 1,080 円也。巣の周りには見張り蜂がいて,危険を察知すると,攻撃フェロモンを分泌して仲間に一斉攻撃を促すので,まず見張り蜂から仕留めないと危ない。蜂の活動は夜間停止するので,実行は夜明け前あたりがよい。あと,刺されたときの対策などいろいろ調べた。

会社の帰りに川崎ラゾーナのホームセンターで殺虫剤を買った。子供が使い潰した補虫網,コンビニのビニル袋,荷作り用紐で,蜂の巣を捕獲するための器具を作った。蜂の巣をビニル袋口で覆ってから紐を引くと袋口が閉まってなかに閉じ込め,軒からもぎ取る案配であった。

土曜の早朝,4 時半ごろ,ほんのり明るくなるころを待つ。それまで,溜まっていたメールの返信をしたり,W 杯スポーツ番組やネットを見たりして,時間を潰した。眠気はなかった。Lucifer(金星)明滅するころ,と言いたいところだけど,残念ながら雨がザアザア降り注いでいた。いざ実行。雨のおかげで視界が悪く,眼鏡が曇り,作業はなかなか思い通りに行きそうもなかったが,殺虫剤を数十秒噴射したら蜂がぼろぼろと落ちて来た。安全のためしばらく様子を見てから,巣を捕獲。これは首尾よく運んだ。ビニル袋の口を少し開けて覗くと,蜂の巣には幼虫が何匹もいた。ヘクサゴーノン(六角形)の集積した幾何学的オブジェはつくづく見事だと思った。

「終わったー。カンペキ!」というと,妻はただ寝ぼけるばかりであった。ビールを呑み,「あとはオランダ戦じゃ」とばかりに,すっかり明るくなってから寝た。

P.S.: 残念ながら,日本はオランダに惜敗してしまいましたね。でもまだ予選突破のチャンスあり! 関係ないけど,今日は太宰治の桜桃忌であった。

※ 2010.8.11 付記
今年は異常な暑さのためか,蜂の活動がさかんで被害も多いと聞く。スズメバチなどは獰猛かつ凶暴であって,ヘタに自分で処置しようなどとすると,えらい目に遭う可能性が高い。上記はアシナガバチの小さい巣だからこそ,素人作業でもできたわけである。このようにすればいつでも OK という主旨ではもちろんない。悩んだらプロに依頼することが基本である。

角界ピンチ

琴光喜に端を発する野球賭博問題で相撲界全体に激震が走っている。一人二人ならともかく親方を含んで,いったい何人が関与しているのかわからない状況である。今年の一月,国技館でこの目でその素晴らしい投げを観せてもらった豊ノ島の名前もあがっていた。

関取は,ほとんど相撲とそのための肉体作りだけで生活がなりたっている,つぶしのきかない,そういうプロフェショナル中のプロフェショナルである。てめぇでてめぇの尻すら拭けないくらいの徹底ぶりなのである。あの図体じゃ,お忍びで女遊びもできやしない。勝負事の好きな人が多いらしい。だから,野球賭博くらいで彼らを責め立てる気に,私にはまったくなれない。別にいいじゃねえか。麻雀で金を賭けないやつがいるだろうか? 官僚のお歴々も麻雀卓を囲んで一晩でウン十万負けた,などと聞こえて来ても,世間はなんとも思わないではないか。サッカー W 杯でトトカルチョをやったことのないサッカー・ファンがどこにいる? なんで野球で賭けをやったことに目クジラをたてるのだろうか。ああ,プロフェショナルたちがハナクソのような無名の人たち(マスコミ,テレビばかり観ている人たち)に,よってたかって辱められるこの不幸な国,不幸な時代。

この問題が仮に野球賭博そのもので騒がれているとしたら,お笑い以外の何ものでもない。この問題意識は,偽善的清潔漢・マスコミが覚醒剤市場の巨悪にはまったく踏み込まずにノリピーなどの芸能人個人に焦点をあてて面白がっていたのと,まったく同じ構造である。問題は,賭博行為そのものではなく,この賭博ではどうやらヤクザが胴元になっているらしく,相撲界のヤクザとの結びつきのあり方にこそあるのではないか。琴光喜を脅迫したとされるヤクザは,上顧客をハメたことになって,どうだろう,ヤキを入れられるんではないだろうか。プロ・スポーツ界,芸能界はヤクザと常に隣り合わせである。

ま,確かに賭博は法律違反です。やっちゃいけません。運が悪かったと思って,ヤクザといっしょに,相撲界みんなでブタ箱にお入りください。

P.S.

昔,ジャニーズの未成年タレントが酒盛りをしたとかで,週刊誌にスッパ抜かれ,新聞にデカデカと書き立てられるや,警察が動きだしたという事件があった。でも,未成年者の酒盛りなんてそのへんにごろごろ転がっていて,この事件が報じられたからといって,「法律」に訴えてでも未成年者の飲酒を取り締まるべきだという人はいなかったのではないだろうか。法律でやっちゃいけないことが,世間では大目に見られ,不問に付されることがある。法律で禁止されていない,やっても罰せられないことが,世間から手痛い報いを受けることがある。これこそ「法」の原理というものだろう。法律違反が「堂々と」まかり通ると警察は法治国家理念に照らして動かざるをえない。警察は一般に「法律」とその運用との間でうまく折り合いをつけている。

ところが,今回の野球賭博事件がそれ自体で世間から問題視されているとしたら,いまの日本は「法」と「法律」の区別ができない社会になったという徴候ではないだろうか。そのうち有名人が賭け麻雀容疑で逮捕される時代が来るかも。怖。

暑かったー

今日は暑かった。

韓国はアルゼンチンにボロ負け。それでも 1 点もぎ取って一矢報いるところが韓国である。明日は我が身か。必勝を期してデンマーク戦に全精力を注力しようとするあまり,明日のオランダ戦はラッキー狙い,手抜きの不真面目な試合にならないか,気がかりである。まあ戦略としては理解できるけど,後悔しないよう頑張ってほしい。本田君ばかりが持ち上げられていますけど,中村俊輔もぜひ観たいなー。

なんとスペインがスイスに負け。こういうこともあるわけである。でも,すでに一試合やって勝っているオランダ相手じゃ,この手のフロックはまずないだろう。

いよいよアツくなりそうじゃ。

* * *

小林千代美議員,辞職願提出…衆院議長が許可』だそうである。「北海道教職員組合(北教組)の違法献金事件などの責任」を取ったわけである。立小便(この議員は女性なんだが)のような問題で,国会議員を辞める道理はない。何人の票をもらって国会議員になったと思っているのか? 次の選挙で審判が下されない限り,投票した人のために頑張るべきなのだ。国会議員に不逮捕特権があるのはなぜか。国民に選ばれた者だからである。

* * *

事業仕分けでの発言「二番じゃだめなんですか?」で有名になった蓮舫議員が,この発言の独り歩きに反論したらしい。どうでもよいこと。「世界で一番より,世界でオンリーワンであることに価値がある」などという SMAP のあのヒット曲の歌詞もどうしようもない自己欺瞞だと思うけれど(「オンリーワン」のどこに価値があるのか? 世の中は冷たいじゃないか?),「世界で二位でだめなのか」というのも,これまたずいぶんな「自惚れ」というものである。日本国,日本人はそんな位置には,残念ながら,いません。

スーパーコンで世界一になりたいと税金を無駄遣いする役所も,「二番じゃだめか」という蓮舫さんも,どちらも現実が見えていない。一番を目指したいがまず一番にはとてもなれず,しかも僕と同じような人間がゴマンといる,僕の「価値」って何? — この問いこそが生きるということなんじゃないのでしょうか。

W 杯のウラで

W 杯初戦の日本の勝利で日本が浮かれているその一方で,キルギスでは民族間紛争が問題になっている。いまのところ「列強」のチャチャは目立っていない。どうしていまこういうことが起きるのか,新聞を読んでもいまひとつわからなかった。

* * *

韓国が勝ち,日本が勝ち,いよいよ北朝鮮がどうなるのか,やはり私も W 杯期間は「バカ亭主」である。北朝鮮がブラジルを降す,なんてまず想像もできないけれど,勝ってほしい。チョン・テセが見せてくれるのを期待したい。

韓国では日本の勝利が「アジアの反乱がはじまった!」と報じられた。このアジアの三国がそこそこ奮闘して,アジアの地位をぜひとも上げてもらいたい。韓国も放映権云々で目くじらを立てないで,同胞の北朝鮮国民にテレビを見せてやればよいと思う。

* * *

参院選を前に各党の街頭演説がはじまった。右翼の街宣も繁くなって来た。自民党・谷垣総裁の街頭演説の様子がテレビで報道されていた。思ったとおり,「選挙のことしか考えていない国民不在の民主党に民意の裁きを!」と叫んでいた。民主党に言わせれば「あんたらに言われたくない」というところだろう。選挙のことしか考えないのは,民主主義の端的な姿であって,どこにも悪はない。「民意の裁き」にまたもや平手打ちを喰らうのはどっちだろうか? 

今日も霞ヶ関,赤坂溜池付近では右翼の街宣車がうるさくてしようがなかった。全共闘の菅直人,毛沢東主義者の菅直人を支持するのは,ヒットラーを支持するのと同じだそうである。うんうん,心情的にはよく理解できる。知性のカケラもなさ気の右翼は,かくして行動を起こしているだけ,いまや存在すらしない「サヨク」を仮想し,PC のキーボードを叩いて口先だけの悪口に終始する「ネット右翼」とは雲泥の差がある。知性を装う理論派右翼よりよっぽどマシである。そのクレイジーさは賞讃に値する。でも,なんで鬼畜米英に対してそのクレイジーさを発揮してくれんのか,私には理解できない。ああ,中国の台頭で損をする誰かに雇われていやがる,という風に白けてしまうのである。

すごい日本勝ちました

紫陽花の咲くころとなった。雨の季節。

日本はカメルーンに勝ってしまいました。岡田監督,ラッキーがあったとはいえガマンの守備が結果に結実してよかったねー,というのがいちばんの思いである。いやぁ,終了のホイッスルが鳴ったときは,シアワセな気分になりました。ありがとうございました。岡田監督に心情土下座である。1 ゴールですべてが変わるのがサッカーである。

日本チームは全般を通して浮き足立ったところがまったくなかった。贔屓の松井選手が素晴らしいクロスをあげ,ビッグマウスの本田選手が期待に応えて冷静にゴールを決めた。本田選手,セリエ A のストライカーみたいなゴールでした。後半攻めまくられながら持ち堪えたこの勝利は,価値が高い。無失点は凄い。

闘莉王がエトーにケリを入れてレッドカード,なんていう私の心配も,ありがたいことに,現実にならなかった。息子の話では,闘莉王がまたもやオウンゴールをするだろう,といういじわるな予測がミクシィで盛り上がっていたらしい。ほっとしたサポーターが多いのではないか。「ブルームフォンテーンの喜劇」にならなくてホント,私もほっとした。勝利が決り,日本代表選手が集まって大喜びしている横で,闘莉王が独りピッチに跪いて神に感謝の祈りを捧げていたのが感動的であった。

初戦から,負の期待を裏切られて大いに得した気分の人が多かろう,と私は確信する。

* * *

昨夜,他人をないがしろにするような長男のつまらないひとことで,私はブチ切れてしまった。近所が何事かと思うくらい興奮した大声で,子供たちを叱責してしまった。半年に一度くらい,子供のウソや独善的発言に対して,私は喚き散らすことがある。妻は私が暴力を振るうのではないかとブルブル震えていた。オレが手を挙げたことがあるか?

今日夕方,「昨日は言い過ぎた」と子供たちにメールで詫びた。夜は,家族皆で W 杯日本初戦を観戦した。うちのガキどもは,クラブ活動で叱られ慣れている。切り替えが早い。親にとっても救いである。

* * *

溜池,外堀通り沿いに白い紫陽花が咲いていた。

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神奈川県高等学校バレーボール

今日,日曜日,高校一年になる娘のバレーボールの試合を観に行った。神奈川県大会。中学のとき娘は,小学校からバレーボールに取り組む同僚になかなか付いて行けず,レギュラーになるのに大いに苦労した。ところが,高校に入ったら,進学校ゆえか,バレーボール部員がほとんどおらず,新入一年生二人を入れてもたった四名。チームを組織できないくらいのありさまである。引退した三年生二人を無理矢理引き入れて,大会に臨んだわけである。

それでも一回戦は 2 セット連取して勝利した。二回戦は昨年県ベスト 4 の強豪・県立山北高校と対戦し,まったくよいところなく敗退してしまった。

サッカーにせよ,バレーボールにせよ,青春時代をスポーツに捧げた者は幸いなり。プロに進み 20 代を試合と練習に集中した者に栄光あれ。高校時代は授業をサボってアイドルやお笑い芸人に現を抜かし,学力もないのに少子化のおかげで大学に滑り込み,好き勝手に遊んで,卒論も書かずに卒業し,皆がやるので就職する。おっと,いまやどんな企業もこのような子弟を雇う余裕はなくなってしまった。これこそ灰色の人生というものである。

W 杯日本代表がいかにその弱小を叩かれ,嘲られても,やっぱり尊厳ある存在なのは,目的のために純化された彼らの修道ぶりゆえでこそある。昨日素晴らしいゴールを決めた韓国代表・パク・チソンは,女子バレーボール日本代表・木村沙織との熱愛のウワサを立てられた。これは根も葉もないまったくの誤報だったのだが,これに関して彼はこう言ったそうである:「切ない恋もできぬまま 20 代を過ごした。もう熱愛説ではなく本当の恋がしたい」。こうしたスーパースターの払った代償もよくよく考えないと。

子供たちにも同じ代償を背負わせたいと,つくづく思う今日このごろ。ロシアのことわざにこんなのがある:「若いうちから名は惜しめ」。若気のいたりなんて認めるものかは。

W 杯開幕

W, W 杯が,か,かいまくしますた!

南アフリカ VS メキシコは見応えがあった。完全格上のメキシコチームに対して開催国南アチームは,なかなかボール支配ができずいつ失点してもおかしくないガマンの時間帯が多かったが,しぶとく守り,ボールを奪ったわずかの好機をものにして勝ち点 1 を獲得した。

「善戦」とはこういう闘いの謂いであって,「敗北には善戦もクソもない」ことがわからない甘い人の多さに呆れていたところであったので,いよいよ外国人チームの闘争心というものに敬意を抱いてしまった。日本もこういう試合をしてほしい。まあ,あのメンタルでは無理だろうな。でも,たった 1 ゴールで世の中が変わるのも,サッカーの過去の歴史が証明している。日本サポーターも諦めるのはまだ早過ぎ。

今夜は B 組の韓国 VS ギリシャ戦がある。韓国は確か「ベスト 16」を目標に掲げていたと思う。けれども予選で上り調子に乗れば,もっと上を目指せる組織的チームである。どこかの国の,何の計算もない,独り善がりの責任感にのみ立った,「無邪気な」目標「ベスト 4」とは,ことばの重みが違う。それは「格」の違いに依って来るものである。そう,「格」が違う。

「ベスト 4」を掲げる日本は,世界中の失笑を買っている — これは,岡田さん個人が世界を畏れない身の程知らずであるというよりはむしろ,日本の国民性の問題であろう。なんとも,竹槍で米国と戦おう,一億玉砕だなどと囃し立てて,やっぱりやめてしまった歴史を持つ国なのである。ことほど左様に,世界の誰も日本人の「ことば」を信用しないのは,いまにはじまったことではない。国連では,日本の主張はなかなか通らない。

南アフリカの試合を観て,FIFA 世界ランキングにまったく現実感がないことがよくわかった。日本は 45 位,南アは 84 位,韓国は 47 位。ここにはサッカーの実力とは無関係のインプレッション(例えば FIFA への献金の額とか?)が反映しているに違いない。国連では,日本の存在感は払っているお金だけで成り立っている。

わぁ,あと二日で日本の試合が観られる! 今夜は韓国を応援するぞ!

* * *

今回の W 杯開催地・南アフリカも,日本を基準にすれば,地球の裏側であって,主として夜中に試合がある。2002 年日韓 W 杯のときは,試合が昼間だったこと,日本代表への期待が凄まじかったことで,日本チームの試合がある日は仕事にならなかった。初戦のベルギー戦では,気になって仕方がない者がこっそりポータブルテレビを盗み見しているのを,笑って見て見ぬ振りをしていたが,次の土曜日,日本がロシアから金星を上げ日本全国がフィーバーとなったおかげで,第三戦チュニジア戦は,職場は意を決して,皆で大きなテレビで観戦しようということになった。事業部本部ビルでは,食堂に何台も設置された自社製最大画面のプラズマテレビを前に,何(百)人が大騒ぎしただろうか。私も顧客先の SE 室で,担当者,顧客といっしょに仕事を放擲して,わいわい応援したものである。あの雰囲気は悪くなかった。

いまや日本代表への期待は,この景気と同じく,最低にまで堕ちた観がある。けれども,初戦の結果ではまた大騒ぎがはじまるだろう。南アフリカまで応援に行く熱心な日本サポーターもたくさんいる。私の会社にも,98 年フランス大会以来,W 杯での日本戦をすべてスタジアムで観て来た奴が何人もいて,今回の南アフリカも例外ではない。南アフリカの治安の酷さはつとに騒がれている。開幕一週間前くらいから,総務部が南アフリカのリスク対策情報を Web だけでなくメールでも発信するようになった。「公共の交通機関は絶対に利用するな」とか,「出入りタクシーをホテルに呼んでもらいそれで移動せよ,その際,必ず事前に運賃を運転手に確認しておけ」とか,「なにかトラブルを目撃したら,一も二もなくすぐにその場から離れよ」とか,事細かな指南が書かれてあった。とくに最後のものには笑ってしまった。

W 杯の期間は,参院選の選挙運動と完全に重なる。日本が惨敗するとなると,「やっぱり海外は元気でいいなあ」などという,指を銜えた子供のような気分で投票日を迎えるはずである。その影響やいかに。

菅直人内閣発足

菅直人総理・新内閣が発足した。菅総理の自称によれば「奇兵隊内閣」。幕末ロマン主義なんてやめてくれ,というのが第一印象。菅さんは己を棚に上げて自民党閣僚の年金未納付などという本当につまらない問題を責め立てた人だから,鳩山さん以上に脇が甘いのではと,私は心配ではある。でもこんなハナクソのような問題で己を棚に上げられるくらい,自分のクリーンさを疑わない方であることも間違いなさそうである。いずれにせよ,私は「全共闘世代」は信用しないことにしている。

何事も「結果」だけで判断しよう。この政権の目標はズバリ,参院選における民主党の過半数獲得である。それができたら,まず「奇兵隊内閣」を評価してもよいと思う。

自民党,旧自民党の人たちは,民主党がただただ参院選を勝つためだけのイメージ戦略行動に終始していると批判している。小沢・鳩山降ろしも,小沢色を薄めた組閣・党役員人事も,ほぼ 100% その意図だろう。しかし,参院選でも勝利することではじめて政権安定の基礎固めができるわけで,おそらくそれなくしては民主党本来のポリシーを実行に移せないと民主党は考えているのである。それは正しい考え方であり,それが国民の期待に応えるために必須であるならば,そのために何をおいても参院選の準備に注力するのも納得できる。

民主党が参院選に勝利したら何が起こるのだろうか。はっきりしているのは,公明党が露骨に民主党にスリ寄りはじめること,くらいしかいまのところ予想できません。私は民主党が勝とうが負けようがあまり気にしない。勝ってくれた方が「まだマシ」,くらいである。それよりも何よりも,幸福実現党などの独裁主義的ファッショ政党からは絶対,一人も当選者を出したくない。「日本の国を大掃除する」なんて怖いことをポスターに堂々と掲げる政党は,できるだけ早いうちに解散いただきたい。それに尽きるんである。

日本テレビの調査によれば,鳩山・小沢辞任/菅新政権発足で内閣・民主党支持率がともに V 字回復したらしい。「なんか現金だなあ」という印象もあるけれども,鳩山さんの軽口と小沢さん自身のカネの問題こそが支持率低下のいちばんの要因だったのは誰の目からみても明らかだったのだから,それが取り払われた以上,もとのサヤに納めてあげるのはまったく正当な立場である。でも民主党,参院選まで持ちこたえられるのかなあ。

あの政権離脱したバカ正直の — というか,参院選を睨んでヘタな計算をしたんだろう — 社民党の支持率はどう推移したのか私は知りたかったが,日本テレビの調査結果からそれは読みとれなかった。どうでもよいということらしい。

* * *

W 杯の特集番組がいたるところでわんさか放映されている。あと数日で開幕。いよいよワクワクしてきました。なんだかんだ言っても,我らが日本代表の健闘を祈りたい。彼らもようやく南アフリカ入りした。キャンプ地の人たちから暖かい出迎えを受けたとのニュースも読んだ。日本のことをよく思ってもらえるような外交活動にも頑張ってほしいと思う。

ところで,日本代表は,5 月 26 日(?)に日本を出発してから,少なくとも W 杯予選が終わる 6 月 25 日くらいまでの一ヶ月の間は,ほぼ「従軍モード」を強いられている。アルプス観光を少しはしたらしいけど,ほとんど休日らしい休日はなさそうである。出征したわけでもないのだから,もう少し選手にリフレッシュさせてあげたい気がする。

岡田監督もイングランド戦のビデオばかりでなく,違うビデオも選手たちに見せてあげればどうでしょうか(税関を通過できるか知らん)。選手たちは男盛りの男であるわけなのだから,「そっちの方」の世話ないし配慮もしてあげないと。ただでさえ日本のマスコミ/サポーターからの無責任なバッシングやら「国を背負ってるんだ」式の無意味なプレッシャーやらで精神的にもヘトヘトになっている上,人間としてのリフレッシュもないとなると,彼らが不憫でなりません。従軍なんとかもいない彼らは,帝国軍人よりも可哀相な待遇である。それじゃ,たしかに闘う元気も出んわな。

溜池散歩

昨日,金曜日のお午どき,職場の溜池周辺をぶらぶら散歩した。

六本木通りから赤坂インターシティビルへの道を入り,坂道を登る。ビルの裏側にお洒落で緑豊かな小径があり,ベンチで OL がお弁当を食べていた。ここは米国大使館にも隣接する。治外法権地帯をちょっと眺めようかと思ったが,高い塀のためばかでかい館屋以外はまるで見えず。

竹を植えた階段を降りて,米国大使館の門に出た。警備が厳しく,大使館の塀に沿った歩道は,9.11 以降歩行が禁止されている。大使館前の三叉路辺りの飲食店でメシにしようかとも思ったが,この付近はランチですら 2,000 円くらいする界隈なのを思い出し,やめ。北海道新聞支社,共同通信社のビルの前を外堀通りの方向に進む。北海道新聞社は,間違いなく,札幌の本社よりもこの支社の借料に金を掛けているであろう。

JT ビルが誇らしげに高々と屹立している。その向こうには霞ヶ関ビル。幼いころ,霞ヶ関ビルの建設をテーマにしたプロジェクト X 風映画を観たことがある。そのためか,小学校 4 年にはじめて東京を訪れたころの私には,東京タワーとこの霞ヶ関ビルこそが日本の首都の象徴であった。10 年ほど昔,ある業界団体の集まるある会合が霞ヶ関ビル 2X 階・M 化学本社,官庁街を一望できるミーティングホールであった。私はこの会合に,ある省庁システムの設計者として参加した。情報公開法に伴う実験システムを死ぬ思いの一ヶ月で子分と作り,そこでデモをした。日本の製造業を代表する錚々たる企業の部門代表者と,私は名刺交換した。霞ヶ関ビルは日本の企業オフィースの象徴だと,その時も強く感じたものである。霞ヶ関ビルは日本でもっとも古い高層建築ではあるが,その歴史に見合うだけの立派な内装に私はびっくりした。

JT ビルの前にある喫煙エリアで一服。木漏れ日が涼やかだった。煙草税増税反対の垂幕はもうなかった。喫煙者の肩身が狭くなる一方のこの時代,増税でさらに売り上げが落ち込むことの予想される JT は,この高層ビルを維持し続けられるのだろうか。ビル全面禁煙が当たり前のご時勢,このビルの中もやはり禁煙なのだろうかと想像しておかしくなった。

外堀通りを赤坂方面に歩く。特許庁。4 月末,TBS ニュース 23 が,どこから嗅ぎ付けたのか,特許庁新事務処理システムの入札において庁内仕様情報が T 社に流出していたとの問題を,これまた何故か,3 日連続の特集として報道した。その際,TBS は経産省・増子副大臣が厳正な調査を指示したと伝えた。番組は陰謀めかした雰囲気をこれ見よがしに発散していたが,その後音沙汰がない。今般の菅新内閣での首のすげ替えで,おそらく忘れ去られるのだろう。

昼飯は結局,溜池交差点のラーメン屋『由○』溜池山王店で豚骨担々麺を食った。胡麻の風味と強いラー油の辛みが効いた豚骨スープ,博多独特の細麺が旨かった。
 

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ブツブツブツブツ

コートジボワール戦。日本は,予想通り,先日のイングランド戦で「善戦」した際に味をしめた付け焼き刃の布陣を,ほぼそのままここでも踏襲し,予想通り,70 分で足が止まり,予想通り,史上最強の DF のおかげで負けてしまいました。岡田監督はいよいよどうすればよいのかわからずに(自分で掻き回しているようにすらみえる)本大会に臨むことになったわけである。それにしても,私はオウンゴールというものは 20 試合に 1 ゴールあるかないか,くらいに思っていました。2 試合続けて,しかも W 杯出場国代表たるディフェンダーがやってしまう,ということに,正直,ショックを受けた。

この DF は,おまけに,コートジボワールのエース・ドログバに膝蹴りまで食らわせて退場を余儀なくさせた。カンフーでもその最強を証明した。この結果,もし「ドログバ,本大会欠場」なんて事態になったら,闘莉王選手は,コートジボワールのみならずアフリカ諸国民の呪詛を一身に背負うことになる。明日にでも岡田監督はドログバ選手の容態を確認すべきである。そして,診断が思わしくなければ,闘莉王選手を代表から外し,日本に帰国させた方がよい。それは日本代表チームのためではなく,闘莉王選手自身の身の安全のためである。これは真面目な話。

ブツ,ブツ,ブツ,ブツ,と書いていたら,そこにニュース。なんと「サポートメンバーの」永井選手のゴールでその後の「練習試合には」日本が勝ったらしい。どこまで面白いことをやってくれるのだろうか。「サポートメンバーってどういうこと,試合を観てて頭に来た日本のサポーターが飛び入りしたってこと?」と妻が横から真面目に聞いてくる。「どうもそうみたいよ。福岡大学の学生さんだって」と教えてあげた。岡田監督はこの光明を見逃すはずはない。この練習試合のメンバーでカメルーン戦に臨むかも知れません。そうそう,松井選手が観られるのは嬉しい。おっと,期待のハードルは,いよいよここまで落ちちゃったってわけ?

※ 6.5 付記

今野選手が倒され怪我を負ったことでドログバ選手の問題はチャラになった,とヌケヌケと言うバカがいるようだ。「世界を畏れない」日本人の典型。世界の人々がどう思うか,ということを考えないようである。今野選手とドログバ選手を並べて「チャラ」なぞというのは,AKB48 の特製豪華グラビアとピカソのタブローを交換できる,というのと変わらないように私は思うんですけど。そりゃあ,同じ人間ですけど,「格」が AKB48 とピカソくらい違う。え,AKB48 のほうがカワイイって?

ドログバ選手,今野選手は本大会に間に合うのか。いまはそれを期待するしかない。

もうひとつ。「闘莉王のプレーを云々する前に中国のカンフーサッカーをどうにかしろ」なんてホザく奴もまたゴマンといる — 2ちゃんねるの読み過ぎとちゃうか。問題を別の問題ですり替えるのに得意な人があまりに多い。感心する。

闘莉王選手のプレーは故意ではなかった — これは間違いない。断っておきますが,私が言いたいのはこういうことです:そうは言っても,あのラフプレーで世界が憤り,「ドログバ壊される」という報知が,サッカー W 杯という国家的威信をかけたイベントにおいて,どんな危険な事件を引き起こすか知れないということを,岡田監督も,選手本人も,よく認識すべきではないだろうか。日本なら「オレたちはまだ弱いから負けた」で済むかも知れないが,W 杯の成績が人命を左右する国もあるのである。昔,オウンゴールを犯したコロンビア代表選手が予選落ちに怒った同国民によって射殺された,そういう事件があるくらいなのである。オランダ,デンマークを標的とするテロ計画も話題になっている。上で闘莉王選手を日本に帰すべきと書いたのは,皮肉ではなく,大真面目な話なんである。

ブツブツブツ

次は菅さんですか... お体を大切に,という感じである。誰も知らないタルトコさんなる人物が当て馬にさせられている。クリーンな政治をするそうである。「国民を満足させる」政治じゃないんでしょうか?

* * *

さっきスポルトを観ていたら,フロンターレ,北朝鮮代表のチョン・テセが出ていた。日本が予選通過するか,ばかりが話題になるわけであるが,そうだ,J リーグには韓国代表も,北朝鮮代表もいる。同じアジアの国なのだから,韓国も,北朝鮮も頑張ってほしい。日本以上の難しいグループで気の毒ではある。オーストラリアはどうでもよい。

日本代表はといえば,明日はコートジボワールとの強化試合。松井選手が観たいなー。

鳩山首相辞任

鳩山首相が今朝,電撃的に辞意を表明した。小沢幹事長も降りるという。このお二人はもう少しホネがあると思っていたのに。残念である。民主党はもう終わりですね。あとは有象無象ばかりじゃないですか。あ,他の政党はそれに輪を掛けたゴミみたいな存在だから,民主党政権はしばらく続くと思うけど。参院選で民主党が敗れたら,解散・総選挙か。

仕事から帰宅して NHK ニュースを観ていたら,鳩山辞任について拉致被害者団体の方が,首相は仕事を放り出したと苦言を呈していた。普天間問題がいかに重要な問題をなおざりにせしめたか,これだけでもわかる。「日露関係がまた進展すると期待していたのに残念」とのコメントをロシア政府が出したらしい。ロシア外交については,鈴木宗男さんが仕事を継続してくれることを願う。でも,おそらくこれもつぶされるだろう。民主党が事勿れ主義(「クリーンな政治」とはそういうこと)に走るのは,いまや目に見えているからである。

鳩山政権は誰がつぶしたのか。これこそが日本の政治のガンのような気がする。

* * *

イングランド強化試合での「善戦」のあと,なぜか岡田監督,日本代表,日本のサポーターが元気になって来た。ホントおめでたい。今回の W 杯最終予選でオーストラリア以外は W 杯に無縁の弱小国と同じグループに入ったラッキーのおかげで,日本の A 代表チームはこの 2 年の間でどれだけ弱くなったことか。どれだけ若い選手の育成を怠ったことだろうか。皆,今回の W 杯が終わったら,日本はもう当分 W 杯に出場できないかも知れないということがどうもわかっていないのではないか。「4 年に 1 度の大会なのに岡田はなにやってんだ」と口にするサポーター。これでしばらく W 杯と無縁になることまでは想像していないらしい。

次回は中国に最後の出場権(オーストラリア,韓国,北朝鮮,イラン,あるいはサウジの次のチケット)をもって行かれると思う。中国は韓国に勝利できる力を持つまでになった。日本 A 代表が韓国に最後に勝利してからいったい何年経っただろうか。そういえばあの東アジア選手権での中国戦,PK(そうそう,これも DF 長友選手の迂闊なハンドのおかげでしたね)での GK 楢崎選手のスーパーセーブがなければ,日本は中国に敗れていたのではなかったか?

今回の W 杯の結果に J リーグの存亡がかかっているとさえ私は思う。J2 落ちしたチームの試合がテレビ放映されなくなるように,「どうしようもなく弱い」とわかったスポーツはマスコミから相手にされなくなるのである。ま,この大会が終わったら岡田監督はサッカー界から引退して晴耕雨読の悠々自適生活にお入りになるようなので,あとは野となれ山となれ,なんだろうけど。

スポルト Monday Selection なんかで「今週のベストゴール」などの特集を観ていると,欧州サッカーの質の高さに見蕩れる一方で,ときおり思うことがある。「今週のどうしようもないプレー・ワースト 10」だとか「今週の戦犯 10 選手」だとか「これでプロ? 今週の 10 選」だとか,そういう負の特集をやってくれないものか。いいプレーの特集だけでなく日本人選手の「最低のプレー」を採り上げれば,まず第一に大笑いできるし,「ここにだけは登場したくない」と J リーガーのモチベーションが上がってよいではないか。日本では「恥の文化」がいまだに根強いので,これは日本サッカー界を底上げするに効果テキメンだといえないか? セルジオ越後さんあたりにナビゲーターをお願いして,フジテレビなんかでいかがでしょうか? 私が番組プロデューサーだったら絶対やります。下品極まりない番組になるだけ,高視聴率間違いなしではないでしょうか?

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ISAO YASUDA。システムエンジニア。神奈川県在住。昭和 30 年代を懐かしむオヤジ。ロシアに興味があります。
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