W 杯閉幕

スペインが優勝した。これで 4 年に 1 度の熱い一ヶ月が終わった。サッカーはたかがサッカーだけど,されどサッカーであって,今回もいろいろな人たちの人生の断面を見せつけられるような感動があった。「無敵艦隊」は,オランダ同様,これまで W 杯ではなかなか下馬評どおりの実力を発揮できず,強いチームであることは誰の目から見ても明らかだったにも拘らず,悔しい思いをして来た。そういう意味では,スペイン,オランダのこれまでの屈辱は,日本が 8 強に入れなかった,あるいは予選突破できなかったその屈辱と比べると,遥かに深刻なものだったのである。強い/弱いの曖昧な,出たとこ勝負のチームが味わう悔しさよりも,本物の強者が敗れる厳しい現実のほうがドラマになる。スペインとオランダの決勝戦を思うにつけ,日本チームの敗戦がただの現実ではなく悲劇になるような,そういう闘いを早く観たいものだと痛感した。

先ほど帰宅して,Yahoo! スポーツ・ニュースを見ていたら,『オシムが見た決勝戦 今後はスペインのサッカーがモデルに』という記事があった。イビチャ・オシム前日本代表監督のコメントである。「イニエスタやシャビに似ている選手も日本にはいるが,日本人が得意とするコピーをすることがサッカーでは通用しない」とのこと。日本人の心性に対し「コピーが得意」という辛辣な批評を,愛情籠めて語れるこの人の厳しい優しさに,いまさらながらにその退任が悔やまれる。日本のサッカーを,肉体的観点だけでなく文化・社会性の側面からも考えて,代表チームの強化に取り組んだオシムの姿勢。これこそが,思うに,結果だけで判断されることを免れた彼の人間的魅力だった。なぜ日本人監督にはそれがないのか(岡田監督じゃダメというのではもちろんありませんが,結果だけで判断されたという意味で,英雄視されているいまの彼にこそ哀愁漂うものを私は感じる)。

これに関して面白いのは,W 杯が終了し日本サッカー協会が次期代表監督を選考中であるわけだが,やはり外国人監督が検討されていることである。なぜ日本人でないのか。どうも日本人は「指揮官」には向かないらしいのである。さらに,日本のサッカー・ファンはこれにまったく異論を唱えていないのではないだろうか。これ,私にはいたく面白い現象である。なぜか。「JFA はなんたる賣國奴か! 日本のナショナルチームの監督に外國人を据ゑるとは! 敵對國に我國の弱點・戰術的祕密を賣渡すかも知れぬではないか!」と言うバカ右翼/「売国奴」罵倒好き単細胞がいてもおかしくないと思われるのに,あんまりそういうことが聞こえて来ないからである(多分,間違いなくいるだろうけど。どの時代にも,どの国にもバカはいる,との言がオシム語録にもある)。技術論に特化していて,たいへんよいことだと思う。外国人監督によって日本のサッカーは強くなったし,これからも強くなるはずである。それはなぜなんだろうか。サッカーというスポーツの奥深さを思い知る。ま,これくらいで。

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ISAO YASUDA。システムエンジニア。神奈川県在住。昭和 30 年代を懐かしむオヤジ。ロシアに興味があります。
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Written by isao at 2010年7月12日 20:33.

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