YouTube で音楽関係の動画をよく観る(音楽メインなんで「静止画」がほとんどなんだけど)。今日,20 世紀初めのロシアの作曲家ニコライ・ロースラヴェツの『ノクターン』を見つけた。ハープ,オーボエ,チェロと二つのヴィオラのための室内楽の小品である。ロースラヴェツはソヴィエト時代のアヴァンギャルドの鬼才であったが,その斬新な音楽性ゆえにスターリン時代の当然の成り行きとして弾圧され 1944 年に亡くなった。
それにしても,この『ノクターン』の叙情性には陶然としてしまう。夜の波の上を漂うような,夢見るような,質の高いリリシズムがある。『ノクターン』は 1913 年ヤルタで作曲された。この地は,北方のロシア人にとって異国情緒溢れる暖かい地方である黒海・クリミヤ半島にある。この曲のロシアらしからぬ軽やかさはこの地方がもたらす特別な憧憬に因って来るのだと私は思う。
私はモスクワ現代音楽アンサンブル(ドイツのアンサンブル・モデルン,フランスのアンサンブル・アンテルコンタンポランと並び称される現代音楽のエキスパート集団である)による素晴らしい演奏 CD(残念ながらいまはもう入手できないようだ) を所有しているけれども,YouTube の Ensemble Vozvrashenie (直訳すると「アンサンブル帰還」)による演奏も見事である。以下にエンベッドしておくので,ぜひ堪能いただきたい。
