2011年11月Archives

私の書斎の Power Mac G5 Mac OS X Tiger はもう 5 年以上使っている。今日,Facebook でページ埋込 YouTube 動画を観ようとしたら,"Flash Player upgrade required" なるエラーが出てダメになった。Flash Player の新しいバージョンを入れろということだけど,もはや Adobe は Mac PowerPC をサポートしなくなっていた。買い替えるしかないってか? Photoshop や Illustrator,Acrobat などなど含めて新しくするとなると溜め息の出るくらいのカネが要る。クッソ。

* * *

田中氏を更迭 女性や沖縄を侮辱』(産經新聞配信)なる記事を読んだ。先頃,野田内閣成立直後に閣僚がオフレコで軽口を叩いてマスコミにスッパ抜かれてクビになった。この田中さんもジョーダンのつもりだったのだろうが,レイプに喩えるなんていけません。沖縄県民なら,すぐ米軍兵士の少女陵辱事件を連想してしまうはずであるから。沖縄県民は官僚に染み付いた「沖縄県に対する差別意識」を読みとって轟々たる非難。当然である。田中さん,更迭くらいでよかったですね。私が彼の立場なら怖くて夜に外を歩けなくなるに違いない。こんなセクハラ公務員は沖縄のみならず日本女性全体の敵なのだから。

ったく,日本の防衛省「役人」ってのは何でこんなに脇が甘いのか。余計なことをペラペラしゃべって「これオフレコだかんね」で暴言を吐いて,明るみに出たとたんに発言を曖昧にして責任のがれ。防衛省は軍隊である。田母神・元幕僚長(愚にもつかない「論文」によって防衛省軍人トップがいかにセンチメンタルで頭が悪いかを世界に知らしめた。ロシアのジョークに,「スターリンは馬鹿だ」と叫んだ男が秘密警察に「国家機密漏洩容疑」でしょっぴかれるというのがあるが,田母神さん「論文」は「僕は馬鹿だ」と叫んで国家機密,つまり日本国軍人トップの悲しい知的レベルを漏洩してしまったようなものである。ああ,MI6 の皮肉屋がこの論文を読んでホクソ笑んでいるのが目に見えるようだ)といい,この田中・元沖縄防衛局長といい,この口の軽さは皇国の軍属に相応しくない。去って当然である。

沖縄県知事・仲井真さんはコメントを求められて「口が汚れるから何も言いたくない」と述べた。防衛省はもう沖縄県民からセクハラ官庁のレッテルを貼られたも同然である。こんな体たらくでは,普天間問題は日本政府の画策によっては解決しない。沖縄県民の民意が結局勝つだろう。米国も最近の対中戦略としてグアムを重視しはじめており,沖縄に米軍がいて欲しくてしようがない日本政府は,思うに,沖縄県民とともに米国にハシゴを外され最後は笑者になって,辺野古移設問題は終わる。
 

付記

この問題について「オフレコ」だったのに記事にした琉球新報を批判する人がいる。オフレコであろうがなかろうが,社会的責任の大きい話者がその職務に係ることで反社会的言動(防衛上沖縄を管轄すべき責任者が沖縄をレイプされる女性に喩えるなんて,沖縄をハラのなかでナめている)をなしたとなると,社会に知らしめるべきである。そしてしかるべき筋にその反社会的言動の始末をつけさせるべきである。この失言は彼の職務に対するスタンスの現われだからだ。企業幹部が重要顧客のことをレイプ対象の女と同じだなどと第三者に対して公言したとなると,普通の企業なら社長はその幹部を懲戒解雇にし,その首をもって顧客に謝罪するはずだ。だってペーペーの一担当者ならまだしも幹部となると企業体質そのものとして発言が受けとられ,当社への重要顧客の信頼を完膚無きまでに失墜させ,もう二度と取引してもらえなくなるからである。いま政府は沖縄県に対してこれと同じ関係にある。普通の企業なら当たり前のことが通用しないこの官僚の非常識はいったい何なんだ? もうこれ以上は言うまい。口が汚れる。

オフレコなので,記事における沖縄防衛局長発言はおそらく琉球新報記者の記憶に基づいた再現なのだろうが,記者は局長発言に沖縄に対する侮りを読みとって,相当カツンと来て問題視したからこそ,オフレコやぶりをしたに違いない。
 

11.5 追記

この件についていま一川防衛大臣の引責辞任ばかりが取り沙汰されている。部下のクビはさっさと切っておいて上役はごめんなさいで済むのか,というわけである。こんなバカな責任連鎖があるものか。無意味な無限責任追求は,本当の問題の所在が曖昧になるため,無責任と同じである。一川さん自身の防衛大臣としての仕事そのものに問題があるならまだしも,田中さんは田中さん自身の人間性の個人的欠陥によって更迭されたのであって,それが何故に組織的引責問題に発展しなければならないのか私にはさっぱりわからない。米兵による少女陵辱事件について「詳しく知らない」と言った一川防衛大臣の「勉強不足」はまた別問題である。

もしこの田中暴言問題が田中さんの個人的欠陥ではなく組織構造によるものだとしたら,その構造こそを明らかにすべきなのである。これで一川さんが辞任するとなると,田中体質が防衛庁そのものの体質であると逆に認めることになる。そうでなければ辞任すべきではない。野田総理はそのへんわかっているようである。

自民党と筆頭とする野党はこんなことでしか与党を追求できないということ。自民党政権時代から田中さんは,問題を惹起こした差別意識をもって,沖縄で仕事をしてたんじゃないんでしょうか。今回の問題は潜水艦が浮上しただけじゃないのでしょうか。無限責任を追及し出したら,自民党時代のその責任はどうなるのか,ということになりませんか? そしてマスコミはこのテのスキャンダルにフォーカスすることでしか世論を醸成できないということ。元与党・自民党,マスコミのこうしただらしなさこそ政治的荒廃を生んでいる大本のような気がします。もっと政治エネルギーをかけるべき問題があるのではないでしょうか。

この件,最近また韓国で従軍慰安婦問題が騒がしくなって来ているタイミングなので,日本人は官僚ですらジェンダーや性的観念においておかしな国民であると思われかねないので,腹立たしくてならないのである。この問題は,ポルノグラフィを愛好するのとは根本的に違うのだ。「このポルノ女優が好きだ」とは言うのは大いに許されるが,「あなたはポルノに合っている」などとは決して言ってはならないのである。

十一月の霧と菊の彼方から

十一月ももうおしまい。今年もあと少しとなった。今年を象徴する漢字は何になるのか,興味深いところである。今年はとくにいろいろありました。武満徹の『十一月の霧と菊の彼方から』を聴きながらそれらのことどもをつらつら思い返してみると — この曲自体は,身の引き締まる冷たい抒情で神韻とした気分にしてくれるんだけど —,その彼方から何とも嫌なことばかりが押し寄せて来そうな気分になってしまった。

東日本大震災と福島第一原発事故は,向こう何年・何十年も日本人の心と現実に鬱陶しい影を落とし続けるはずである。世界に目を向けると,チュニジアのジャスミン革命にはじまって民主化デモがネットを通じて中東を席巻し,リビア・カダフィー政権転覆にまで至った。ウサマ・ビン・ラーディンもとうとう暗殺されてしまった。最近では,ギリシアの財政破綻に伴って,もしかするとリーマン・ショックの再来になるかといわれるくらい,ヨーロッパ EU が経済的危機に瀕している。米国も今年限りでイラクから完全撤退する。中東で米国のプレゼンスが失われる前にイスラエルがイランを空爆するのではないかとのキナ臭いウワサもある(Facebook のベラルーシ人による書込みで見たんである)。一方で米国では若者による反格差デモが頻発。日本も明日は我が身という感じである。

不穏なこうした時流にあって,いま何より私が怖いのはベトナム—中国関係である。今年,中国が出来損ないの空母を進水させ,南シナ海,東シナ海でヤクザのような振る舞いをあからさまにするにつけ,中国はわが日本のみならずフィリピンやベトナムとも緊張を高めている。6 月にベトナム海軍が実弾演習をやり,中国が(事実上?)ベトナム沖の海底通信ケーブルを切断し,中越関係がホント危ない。ベトナムは中国との戦争準備のために徴兵制を復活したそうである。米軍も沖縄の戦力をグアムに集めて明らかに中国を苛立たせようとしている(皮肉なことに,これで普天間問題が解決しそうである?)。昨年の尖閣諸島問題の大騒ぎ,今年の南シナ海・東シナ海領海侵犯問題と来て,中国は日本にとって,北朝鮮と同様,いまやはっきりとした仮想敵国である。今般の相次ぐサイバー攻撃。経済的友好関係はもうちょっとしたことで吹き飛んでしまいかねない。

ベトナムは伝統的に中国を憎悪している。日本の若者も嫌中派が多いがそれはだいたいにおいて自己満足的潔癖性から来ている(要するに,自称「先進国」に住む仕事のないナイーブなヒマ人だから)に過ぎないのに対し,ベトナム人の中国人憎悪は歴史的に染み付いた皮膚感覚であって,その凄まじさは日本人の想像を遥かに超えている。歴史的にこの北方の大国から常に痛い目に遇わされて来たからである。一方で,ベトナムは,小国であるにもかかわらず,第二次大戦後,フランス,アメリカを敵に回してもへこたれなかった偉大な国である。中国とも中越戦争で戦って負けなかった。国民の 70% が 30 歳以下という,羨ましいくらいに若いこの国は,経済力を蓄え,米国,日本と協調関係を深めたいま,いちばん中国と火花を散らしそうな気配がある。そこへもって,TPP。日本が参加を表明した TPP は中国包囲網・ブロック経済圏と言われている。ベトナムも国内の激しい賛否を経たあとで昨年 TPP に参加を表明し,共産国なのに,中国よりも米国を経済的パートナーとして選択したわけである。最近の報道によれば,来年ロシアと二国間 FTA を結んでロシアとも仲良くやろうとしている。こうした状況(何も決められない日本とは違い,何とも羨ましくなるくらい動きの素早い政府である)は,ベトナムが米国,ロシア,日本という後ろ盾をもって中国と対峙しようとしていることを明らかに示している。ベトナムと中国が軍事衝突したら — 海洋覇権が係っている以上,日米は黙ってはおれないはずである。恐ろしいことが間違いなく起こる。来年,米国,ロシア,韓国で大統領選挙があり,中国では国家主席が交代し,北朝鮮は金日成生誕百周年を迎える。2012 はそうしたイベント年でもあり,悪い花火も打ち上がりそうである。私はいま怖くてしかたがない。

でも,こういう最悪のことがらだけでなく,国内外の暗い情勢のなかでも痺れるくらい嬉しいこともありました。サッカー女子日本代表なでしこジャパンの W 杯優勝ですよ。サッカーというワールドクラスのスポーツにおいて日本のナショナルチームが世界を制覇するなんて,幼い頃,1970 年代からサッカーを見て来た私のような日本人は,おそらく自分が生きているうちに見ることは適わないだろうと思っていたはずである。この快挙は,被災地のみならず日本全国に,諦めないという心意気の大切さを痛感させてくれたのではないだろうか。

で,今年を象徴する漢字は? 難しい。もう少し考えよう。
 

武満徹 室内楽作品集成1
清水高師 (Vln), 小賀野久美 (Pf),
上村昇 (Vlc), 藤井一興 (Pf),
アルディッティ弦楽四重奏団
フォンテック (2005-04-21)
 

11.29 付記

大震災やら心を揺るがす事件やらで,今年は「震」かとも思ったのだけれども,これは神戸の震災があった 1995 年の「今年の漢字」になっている。繰返しは何とも東北大震災のインパクトを弱めてしまうように思われる。うーむ。「激」かな。今年ほど日本人としてのプライドを感じた年も少ないので,「絆」というのもありかな。

いずれにせよ,『今年の漢字』は 12 月 12 日に清水寺で発表される。

さてさてさて

維新の会が下馬評通り圧勝しましたね。投票率も 6 割を超えたらしい。金儲けしか頭にない(大阪に住んでいた私の勝手な偏見)ノンポリの大阪にしては珍しい。私の故郷・大阪がこれから元気になってくれるといいんだけど。幕末の薩長のように,地域独自の経済政策・行政改革で「おもろい地方自治」を見せてほしいものである。サッカー五輪予選の試合直前,19 時過ぎに NHK BS ニュースを見たら,まだ開票前なのに NHK 出口調査結果で橋下さんの当選確実が報じられていた。平松さんこれまでご苦労様でしたと笑うしかなかった。

橋下さんは府・市の行政組織(要は九時五時の地方公務員)と険悪な対立関係にある。勝負はこれから。既得権益に守られた行政組織に対して血も涙もない首長・議会の権力というものを,一度私は見てみたいものである。ハシズムに期待。霞ヶ関と,ヤクザ以上に汚いマスコミとに足を掬われないことを祈ります。
 

* * *

サッカー五輪予選。日本が勝ちましたね。シリアは意外とパス回しもうまいし,10 番もキレキレで確かに手強かった。どちらのホームなのかと思うこともしばしば。おまけに日本代表は,後半,運にも審判にも見放されたようだった。「こりゃチョーまずい雰囲気」とハラハラして見ていたんだけど,若い代表チームはメンタルの強いところを見せつけてくれました。5 番の左サイドバック(と 16 番のボランチ)がどうしようもなくヘボだなあと思っていたのに,最後の最後で決定的な仕事をしてくれました。左サイドの大津選手が右のファーサイドから走り込んでヘッドでゴールを上げるなんて,ゴールへの執念・嗅覚の鋭さで唸らせてくれました。

これで 2 位に 3 点差をつけて後半戦を迎えることができる。1 勝 1 分以上で 1 位が確定する。今日の 1 位争いでの 1 勝はホント大きい。おまけにシリアの DF にイエローカードを 2 枚握らせたので,年明け 2 月のアウェイでのシリア戦では相手 DF との競り合いで有利になりそうである。

さてさて

柏レイソル VS セレッソ大阪の試合を NHK-BS1 で観戦。終盤レイソルは,水野選手(かつては日本代表として期待されたのに,いまやレギュラーですらないのは何でだ?)が右サイドに入って活性化し,同点に追付いてから圧倒的に試合を支配したのに,どうもフォワードがいまいちで決めきれず。柏フォワードの林・田中選手,途中出場なのにゴール前でボーっと突っ立っているばかりで,まったく動きが悪い。結局,1-1 ドローで J1 優勝争いは最終節に持ち越された。レイソル,ホームで勝っておかなけりゃ最終節での優勝はきついぞ。ま,今日のようにドミンゲスとワグネルがなんとかしてくれるさ。柏は,残念ながら,ここぞというときの外国人頼みなんである。優勝してくれよ!
 

* * *

出版社に勤務する妻が,いま担当している編集作業で,新字体を旧字体に変えないといけないという。俳句・短歌の世界ではいまだに旧仮名遣いが主流だけど,旧字体にこだわる人は少なくなっているようである。

そこで「オレのツール使えよ」と misima の ID とパスワードを教えてやった。趣味で拵えたこのツールは,新字体・新仮名遣いテキストを旧字体・旧仮名遣いのそれに機械変換するもので,いまは基本的に自分のためだけのものであり,私は基本的に使わないので,要するにいまは誰も使っていない。妻の実務で役に立つなら,それこそ意味があったというべきである。

妻は俳句・短歌の本を担当している。原稿はたいてい手書きであって,電子データによる入稿なんてほとんどないようだ。だから私のツールを使うにも,著者からの電子データを期待できず,自分で入力して文字を確認するだけの用途になる。電子入稿の場合は,計算機で文言の統一や文章の校正ができるし,組版スピードもおそらくケタ違いにアップでき,出版経費を落とすことができる。私が LaTeX 本の出版をお手伝いしたとき,訂正稿 LaTeX ファイルをメール送付したら,すぐさま出版社から,イメージセッタに掛けられるトンボ付版下 PDF が確認用に送付されて来て,それを見た妻はびっくりしていた。私なら電子入稿と紙入稿とで著者への支払いに大いなる差別をつけてやるんだけど,この出版社のように短歌・俳句の場合じゃそうもいかないようである。
 

* * *

朱川湊人の小説を二冊読む。『わくらば追慕抄』(角川書店,2011 年)と『本日,サービスデー』(光文社,2011 年)。ほぼ一年ぶりの朱川読み。残念ながら,最初に読んだ『かたみ歌』,『わくらば日記』ほどのインパクトはなかった。でも,『本日,サービスデー』のコミカルで心温まる物語は,いつ読んでも退屈しない部類に入る。
 

わくらば追慕抄 (角川文庫)
朱川 湊人
角川書店(角川グループパブリッシング) (2011-09-23)
* * *

明日 27 日は大阪府知事・大阪市長ダブル選挙,サッカー W 杯アジア予選ホーム・シリア戦がある。『Yahoo! みんなの政治』の大阪都構想への賛否に関するインターネット投票結果(11.26 17 時ころ)をみると,賛成が他を圧倒している。
 

20111126-osakato-bote.png
 

回答者の都道府県がわかっているのなら,大阪府の回答だけによる集計結果も提示すべきではなかろうか,という気がする。そういう集計上の不満は措くとして,この結果が選挙を占う根拠となるなら,橋下さんの維新の会の圧勝ということになる。もちろん,ネット住民には大いなる偏向があるので,選挙結果と見比べてみたいという思いの方が私には強いんだけど。

それにしても,この投票者の内訳は面白い。支持政党に関して,無党派層が半数以上であり,日本の政党のだらしなさが否応なく読みとれてしまう。日本の政党がいったい誰の利害や思想を代表しているのかまったくわからないのである。また,「正社員」という職業分けには笑ってしまう。「正社員」+「派遣・契約社員」がいわゆる一般の会社員・サラリーマンとすると 36% であり,「会社役員・経営者」+「自営業・自由業」の 34% とほぼ同じ。この数字は果たして日本の社会構造を反映しているのだろうか? 「10 代」の回答者が 0 なのに,「無職」+「その他」が 17% もいる。「自営業・自由業」なんてのも「自称」が多そうであって,そのじつ「無職」に近いのではと私なんかは思ってしまう(それくらい 18% という数値は大き過ぎるように思われるんである)。なんかいびつな回答者層という感じである。ここにも「ネット住民の大いなる偏向」が現われているように思われる。

さて,選挙結果やいかに。ま,都道府県中で幸福度も,子供の学力も最低の大阪。生活保護者数最多の大阪。なのに,「いまの大阪を壊していいのか」なんてホント暢気なことを言っている現職・平松さんが仮に当選するとなると,私なんかには「世も末」に思われる。一方,橋下さんは「独裁者」と言われ,彼のやり方はファシズムに掛けて「ハシズム」などと揶揄されている。地方自治の独裁なんてなんぼのもんじゃ。警察・軍事権力と結びつかない独裁なら大いに結構である。私は公務員に厳しい政治家が好きである。何でも民営化したがる政治家が好きである。

麻雀点数集計プログラム

サッカー五輪予選を観ながら,Web 無料麻雀ゲームをした。われらが日本代表が一生懸命アウェイで頑張っているというのに,観ている方はなんと暢気なものか。半荘を 10 回もやり,珍しく一人勝ち。
 

20111120-majan.png
 

バブル時代の高レート勝負だったらいったいいくら稼いだのかちょっと知りたくなって,プログラムを書いて計算してみた。プログラムは mjcalc。Perl である。

mjcalc -u [ウマ] -b [ビンタ] -k [レート] < 点数データ
ここで,[ウマ] は "数字1-数字2" の形式で指定し,"数字1" は 3 位から 2 位への,"数字2" は 4 位から 1 位へのウマとなる。省略すると 10-20 が仮定される。[ビンタ], [レート] は数値を千単位で指定する。省略すると,それぞれ 100, 2 を仮定する。点数データは空白文字区切りの 4 つの整数値である。

計算の考え方は次のとおり。25000 点持ちの 30000 点返し。オカは 20000 点とする。入力データは,1000 点 1 ポイントとして換算された各プレイヤの点数が空白文字で区切られているものととする。入力の点数を合計し,0 の場合はすでにウマ,オカが反映されているものとしてレート計算のみ行う。入力点数の合計が 100 の場合は,半荘終了時の持点として,指定されたウマ,オカを計算に反映する。指定されたビンタ,レートで金額計算を行う。ビンタとは下位のプレイヤが上位者に支払う差ウマのことで,ビンタ 10 万の取り決めならば,上位者に 10 万,自分が配給原点以下の場合,配給原点以上の上位者にはその倍額の 20 万を支払わなければならない。独り沈みの 4 位者ならば 60 万のマイナスというわけである。

さて,mjcalc で計算してみる。デカリャンピン (1000 点 2 千),ビンタ 10 万の気違いレート。データは上に示した 10 回のデータ (point.txt) である。この Web 麻雀ゲームの集計値はすでに 10-20 のウマ,20 ポイントのオカ,30 ポイントとの差分が集計済みである。

% cat point.txt 
60      -20     2       -42
18      -21     -52     55
63      9       -20     -52
52      -21     3       -34
11      -16     42      -37
-29     67      6       -44
10      -32     -21     43
63      -21     2       -44
40      5       -28     -17
70      -30     -41     1
% ./mjcalc -u 10-20 -b 100 -k 2 < point.txt 
ウマ1: 10; ウマ2: 20; オカ: 20(以上pt); ビンタ: 100(千円); レート: 2(千円/1pt)
----------------------------------------------------------------------
  Input Points     ;  Calculated Points ;   Amount of Money (k-en)   ;
   A    B    C    D;    A    B    C    D;      A      B      C      D;
----------------------------------------------------------------------
 +60  -20   +2  -42;  +60  -20   +2  -42;   +720   -240     +4   -484;
 +18  -21  -52  +55;  +18  -21  -52  +55;   +336   -342   -604   +610;
 +63   +9  -20  -52;  +63   +9  -20  -52;   +626   +318   -340   -604;
 +52  -21   +3  -34;  +52  -21   +3  -34;   +704   -242     +6   -468;
 +11  -16  +42  -37;  +11  -16  +42  -37;   +322   -332   +584   -574;
 -29  +67   +6  -44;  -29  +67   +6  -44;   -358   +634   +312   -588;
 +10  -32  -21  +43;  +10  -32  -21  +43;   +320   -564   -342   +586;
 +63  -21   +2  -44;  +63  -21   +2  -44;   +726   -242     +4   -488;
 +40   +5  -28  -17;  +40   +5  -28  -17;   +580   +310   -556   -334;
 +70  -30  -41   +1;  +70  -30  -41   +1;   +740   -260   -482     +2;
----------------------------------------------------------------------
+358  -80 -107 -171; +358  -80 -107 -171;  +4716   -960  -1414  -2342;

うん。半荘 10 回で 471.6 万を獲得したというわけである。でも,なんでこんな意味のないことをやっているのか。で,プログラムを書きながら計算の確認のため,やっぱりこの麻雀ゲームをやっていたら,なんと四暗刻を,しかもピンズ一色・嶺上開花(意味無し)でツモってしまいました。
 

20111124-suanko.png
 

一応,プログラム mjcalc のコードを掲げておきます。ヒマなときにこんなことしかしない,私のような方のために。

#!/usr/bin/perl -w
# -*- coding: utf-8; mode: cperl; -*-
#  Mahjong Points Calculator
#  -------------------------
#  Usage: mjcalc -u 10-20 -b 100 -k 2 < data
#    -u 10-20: ウマ 10-20 (ワンツー)
#    -b 100: ビンタ 100K円
#    -k 2: レート 1000点 2K円
#  2011(c) isao yasuda.
 
use strict;
use utf8;
use Getopt::Std;    # command line processing
use File::Basename; # get file basename
binmode(STDOUT, ":utf8"); binmode(STDERR, ":utf8");
 
# command line
my %opts = ('u' => "0", 'b' => 0, 'k' => 0);
Getopt::Std::getopts('u:b:k:', \%opts) ||
    die "Usage: " . basename($0) .
    " [ -u uma-range -b binta-k -k k-en ] \< (stdin)\n";
my $umai1 = 10; my $umai2 = 20; my $okai = 20;
my $uma1 = 0; my $uma2 = 0; my $oka = 20; my $kaesi = 30;
my $binta = 100; $binta = $opts{'b'} if ($opts{'b'});
my $krate = 2;   $krate = $opts{'k'} if ($opts{'k'});
if ($opts{'u'}) {
    unless ($opts{'u'} =~ /^[0-9]+-[0-9]+$/) {
        die "-u operand invalid.\n";
    }
    ($umai1, $umai2) = split(/-/, $opts{'u'}, 2);
    $uma1 = $umai1; $uma2 = $umai2;
}
if (($uma1 == 0) && ($uma2 == 0)) {
    $oka = 0; $kaesi = 0;
}
if ($oka != 0) {
    print STDERR "ウマ1: $uma1; ウマ2: $uma2; オカ: $oka(以上pt); ";
}
print STDERR "ビンタ: $binta(千円); レート: $krate(千円/1pt)\n";
my %totalpt = ('A' => 0, 'B' => 0, 'C' => 0, 'D' => 0); # ポイント総計
my %totalmn = ('A' => 0, 'B' => 0, 'C' => 0, 'D' => 0); # 金額総計
my %totalin = ('A' => 0, 'B' => 0, 'C' => 0, 'D' => 0); # 入力ポイント総計
print
    "----------------------------------------------------------------------\n";
print
    "  Input Points     ;  Calculated Points ;   Amount of Money (k-en)   ;\n";
print
    "   A    B    C    D;    A    B    C    D;      A      B      C      D;\n";
print
    "----------------------------------------------------------------------\n";
 
# Main
while (<STDIN>) {
    utf8::decode($_); chomp($_);
    my @tensu = split(/\s+/, $_, 4);
    my $sowa = $tensu[0] + $tensu[1] + $tensu[2] + $tensu[3];
    unless (($sowa == 100) || ($sowa == 0)) {
        print STDERR "点数総和 $sowa は矛盾します。無視します。\n";
        next;
    } else {
        if ($sowa == 100) { # 持ち点
            $oka = $okai; $uma1 = $umai1; $uma2 = $umai2; $kaesi = 30;
        } else {            # すでにオカ・ウマ計算済
            $oka = $uma1 = $uma2 = $kaesi = 0;
        }
    }
    # プレーヤ-点数 配列
    my %plpt = ('A'=>$tensu[0],'B'=>$tensu[1],'C'=>$tensu[2],'D'=>$tensu[3]);
    # input print
    printf("%+4d %+4d %+4d %+4d; ",
           $plpt{'A'}, $plpt{'B'}, $plpt{'C'}, $plpt{'D'});
    $totalin{'A'} += $tensu[0];
    $totalin{'B'} += $tensu[1];
    $totalin{'C'} += $tensu[2];
    $totalin{'D'} += $tensu[3];
    my @ptord; # 点数昇順リスト (last, pt4, pos3, pt3, .., top, pt1)
    foreach my $key (sort { $plpt{$a} <=> $plpt{$b} } keys %plpt) {
        push(@ptord, ($key, $plpt{$key}));
    }
    # ビンタ計算
    my @bbuff = (0, 0, 0, 0); # 点数やり取りバッファ
    # 4
    if ((($sowa == 100) && ($ptord[1] < 25)) ||
        (($sowa == 0) && (($ptord[1] + $umai2) < -5))) {
        # to 3
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[3] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[3] + $umai1) < -5))) {
            $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[3] += $binta;
        } else {
            $bbuff[1] -= ($binta * 2); $bbuff[3] += ($binta * 2);
        }
        # to 2
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[5] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[5] - $umai1) < -5))) {
            $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[5] += $binta;
        } else {
            $bbuff[1] -= ($binta * 2); $bbuff[5] += ($binta * 2);
        }
        # to 1
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[7] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[7] - $umai2) < -5))) {
            $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
        } else {
            $bbuff[1] -= ($binta * 2); $bbuff[7] += ($binta * 2);
        }
    } else {
        # to 3
        $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[3] += $binta;
        # to 2
        $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[5] += $binta;
        # to 1
        $bbuff[1] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
    }
    # 3
    if ((($sowa == 100) && ($ptord[3] < 25)) ||
        (($sowa == 0) && (($ptord[3] + $umai1) < -5))) {
        # to 2
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[5] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[5] - $umai1) < -5))) {
            $bbuff[3] -= $binta; $bbuff[5] += $binta;
        } else {
            $bbuff[3] -= ($binta * 2); $bbuff[5] += ($binta * 2);
        }
        # to 1
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[7] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[7] - $umai2) < -5))) {
            $bbuff[3] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
        } else {
            $bbuff[3] -= ($binta * 2); $bbuff[7] += ($binta * 2);
        }
    } else {
        # to 2
        $bbuff[3] -= $binta; $bbuff[5] += $binta;
        # to 1
        $bbuff[3] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
    }
    # 2
    if ((($sowa == 100) && ($ptord[5] < 25)) ||
        (($sowa == 0) && (($ptord[5] - $umai1) < -5))) {
        # to 1
        if ((($sowa == 100) && ($ptord[7] < 25)) ||
            (($sowa == 0) && (($ptord[7] - $umai2) < -5))) {
            $bbuff[5] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
        } else {
            $bbuff[5] -= ($binta * 2); $bbuff[7] += ($binta * 2);
        }
    } else {
        # to 1
        $bbuff[5] -= $binta; $bbuff[7] += $binta;
    }
    # ポイント,ビンタ,レート計算
    # プレーヤ-点数 配列
    my %ptrslt = ($ptord[0]=>0, $ptord[2]=>0, $ptord[4]=>0, $ptord[6]=>0);
    # 4
    $ptord[1] -= $uma2; $ptord[1] -= $kaesi;
    $ptrslt{$ptord[0]} = $ptord[1];
    $ptord[1] = $ptord[1] * $krate; $ptord[1] += $bbuff[1];
    # 3
    $ptord[3] -= $uma1; $ptord[3] -= $kaesi;
    $ptrslt{$ptord[2]} = $ptord[3];
    $ptord[3] = $ptord[3] * $krate; $ptord[3] += $bbuff[3];
    # 2
    $ptord[5] += $uma1; $ptord[5] -= $kaesi;
    $ptrslt{$ptord[4]} = $ptord[5];
    $ptord[5] = $ptord[5] * $krate; $ptord[5] += $bbuff[5];
    # 1
    $ptord[7] += $uma2; $ptord[7] -= $kaesi; $ptord[7] += $oka;
    $ptrslt{$ptord[6]} = $ptord[7];
    $ptord[7] = $ptord[7] * $krate; $ptord[7] += $bbuff[7];
 
    # プレーヤ-金額 配列
    my %mnrslt = ($ptord[0] => $ptord[1], $ptord[2] => $ptord[3],
                  $ptord[4] => $ptord[5], $ptord[6] => $ptord[7]);
    printf("%+4d %+4d %+4d %+4d; ",
           $ptrslt{'A'}, $ptrslt{'B'}, $ptrslt{'C'}, $ptrslt{'D'});
    printf("%+6d %+6d %+6d %+6d;\n",
           $mnrslt{'A'}, $mnrslt{'B'}, $mnrslt{'C'},$mnrslt{'D'});
    foreach my $key (keys %ptrslt) {
        $totalpt{$key} += $ptrslt{$key}; $totalmn{$key} += $mnrslt{$key};
    }
}
 
# 総計出力
print
    "----------------------------------------------------------------------\n";
printf("%+4d %+4d %+4d %+4d; ",
       $totalin{'A'}, $totalin{'B'}, $totalin{'C'}, $totalin{'D'});
printf("%+4d %+4d %+4d %+4d; ",
       $totalpt{'A'}, $totalpt{'B'}, $totalpt{'C'}, $totalpt{'D'});
printf("%+6d %+6d %+6d %+6d;\n",
       $totalmn{'A'}, $totalmn{'B'}, $totalmn{'C'}, $totalmn{'D'});

※ 11.27 付記
最初の版には,ウキの判定とビンタ計算のバグがありました。訂正しました。

あと一点。同点者がいることを考慮してません。一局目の一巡目でいきなり役満放銃で一発ハコ一人沈みみたいな場合でない限り,こんなことはなかろうと思い,無視しました。

サッカー・バーレーン戦ほか

昨日は夜遅くだったので,五輪サッカー・アジア予選・バーレーン戦のテレビ観戦ができました。とにもかくにも,日本はアウェイで 2-0 で勝利した。この結果こそが大事。初招集の大津選手は,見た目には,へたくそなギターを弾いているチャラチャラしたイカ天お兄さんみたいなのに,キレのあるいい動きをしていましたね。

それにしても,ケガや欧州クラブ事情,A代表との兼合のために充分な布陣が組めない関塚隆監督が可哀想になりました。マレーシアやバーレーンという相手にあれじゃ,先行きが不安です。ボランチと左サイドバックがヘボ過ぎて,ちょっと見ていられない時間帯がありました。ゴール前でどっちらけのぬるい相手ゆえ無失点で凌げたからよいものを。山田直が下がってボランチの仕事までさせられていたのは,バーレーンのヤクザに顔を踏みつけられたこと以上に不憫であった。いずれにせよ,27 日,ホームでのシリア戦,敗れるなんてことは許さねぇぞ。なでしこがアジア総当たり戦だったのに比べると,また,韓国,オーストラリアというガチンコのライバルたちの対戦環境と比べると,日本 U-22 チームはラクなグループにあるんだから,アジア予選突破程度は当然の期待なんである。

どうだろう,オリンピック出場権を穫れたとして,本大会には香川,宇佐美,宮市などの才能を招集できるのだろうか。チームの成熟度合い如何なんだろうけど,いまのチーム力がアジアの外ではまったく通用しないのは明らかである。ボランチにオーバーエイジ枠(遠藤選手とか)を使うのは最低限の選択のような気がする。
 

* * *

韓国国会で米韓 FTA がとうとう批准された。これで,米国との貿易では日本は韓国に先を越されたわけだ。与党と野党の激しい対立の挙句,与党の数にモノを言わせた強行採決によって決せられたそうである。催涙弾まで飛び出す熱血ぶりだったとか。でも,まだ政党政治が機能しているだけ,韓国は健全である。これに比べりゃ,日本では TPP 参加表明が首相の決断でなされたわけだけど,民主党,自民党のなかで対立している状況である。なんで政党がこんなふにゃふにゃしているのか。民主党も,自民党も政治政党ではなくただの権力党,同じ穴の狢でしかないからだろう。とくに自民党が馬鹿みたいな内紛劇を繰り広げていて,こいつらやっぱり「死に体」だと改めて印象づけられてしまった。

この調子じゃ,TPP の意義ある議論はもちろん,決めるべき TPP 関連法案を通すなんて夢のまた夢のようである。マスコミも,日米首脳会談後の米国の声明文について野田さんが言った言わないのバカみたいな議論にばかり終始していて,この政治にこのメディアあり,という感じである。

右翼はいつまでたっても「米国のいいなり」などと賛成派を責め立てるだろう。TPP は米国ではなくその他諸々の参加国の総意で成り立つのであって,たとえ強大な米国であっても参加国の総意にいちじるしく反する独善的主張は通らない。いかに外交無能の日本政府でも,日米 FTA なんかに比べればよっぽど,「米国のいいなり」になる心配は少ないと思う。

ホークス日本シリーズ制覇

福岡ソフトバンク・ホークスが中日ドラゴンズとの日本シリーズ対戦で 8 年ぶりに日本プロ野球の頂点に輝いた。ホークス・ファンの皆様おめでとうございます。第 7 戦までもつれ込んだ今シリーズは,中日 2 連勝のあとソフトバンクが 3 連勝と,波のある闘いだったけれども,投打のバランスに秀でた後者が最終勝者となった。中日,相変わらず打てませんでしたなー。それでも,守り勝つ素晴らしいチームであるところを,日本シリーズでも見せつけてくれました。落合監督,渋い(中日といえば落合さんしか話題に上がらないところが,中日ドラゴンズの最大の不幸。落合さんのいない来年がどうなるのか,ホント楽しみである)。

それにしても。ここ最近のポスト・シーズンの盛り上がりの欠け様はいったい何なんだろうか。ジャイアンツやタイガースが出て来ないとダメなんだろうか。テレビの視聴率は過去最低ではなろうか。もちろん中部地方,北九州地方では大いに視聴率を稼いだんだろうけど,関東では 10% 程度ではなかったかと思う。ヘボなテレビドラマに負けててどうする。かつては日本シリーズならば平均視聴率 30% は当たり前だったのではないか。あの馬鹿馬鹿しい時間差中継で白けさせられた女子バレー・ワールドカップ中継よりも低視聴率だったのではないか。シリーズ中なのに巨人のアホみたいな内輪揉めのほうが注目度が高かった(「清武」って文字をみてサッカー日本代表をまずは思い浮かべてしまった私には,この笑劇が「ごく当然の成り行きで」元巨人球団代表・清武氏のクビで幕を閉じたのがまったく大笑いなんである。「コンプライアンス」も何も — ナベツネ会長が球団人事に口出しすることのどこにコンプライアンス上の問題があるのか私にはサッパリわからない —,企業の内情を記者会見で暴露するなんて,そもそも「会社のしくみ」というものが,ヘンな正義感の強い元新聞記者の清武氏には,どうやらわからなかったようである。この人,サラリーマンなのに誰にメシを喰わしてもらっていると思っていたんだろうか?)なんて,日本野球はスポーツというより芸能にどうも近い。

でも,この事態は感覚的に充分納得出来る。プロ野球の日本シリーズは出場チームのファン以外は少し冷めた感じで遠巻きにみているようなところがある。それに対し,サッカーやバレーの試合は,基本的に国際試合ばかりが放映され,何といってもナショナリズムを掻立ててくれるので,テレビ観戦に力も熱も入る。野球はサッカー,ラグビーなどと比べるとどうしようもなくダラダラしていて,サッカーのしびれる国際試合を見せつけられたあとでは,プロ野球選手が何故に J リーガー,なでしこリーガーの何十倍,何百倍もの高給を取っているのか,日本という国の不条理にクラクラしてしまうわけである。5 万人もの観客が応援に来ているってなかで目に入って来る阪神タイガースの「また明日があるさ」的ノホホンで,しょっちゅう怒り心頭に発している私なんかは,とくにそうなのである。

ま,国際試合で観客の関心を掻立てることのできないいまのプロ野球界のガラパゴス体質が続く限り,TPP が日本経済にもたらす影響と同じように,そのうちプロ野球の「既得権益」はサッカーに奪われて行くと私は思っている。毎年日米韓で真の「ワールド・シリーズ」を企画してほしいものである。国際的に弱いスポーツは国民の関心を失って行く — 日本のスポーツ界にもこういう TPP 現象が来ることを私は強く望んでいる。

今日のお休み,雨に塗り込められた午后,CD 2 枚を聴く。

A. Schönberg - Weihnachtsmusic & Transcriptions。フランスのレーベル・Naïve から出た Arditti String Quartet その他の演奏による盤である。シェーンベルクは,作曲法の研究のためか,楽しみのためか,マーラーやヨハン・シュトラウスを何曲も室内楽向けにアレンジしている。そのなかでも,F. ブゾーニの «Berceuse élégique» op. 42(『エレジー風の子守歌』)の編曲は,ハーモニウムの音色の心に沁みる,夢見るような名曲である。この盤は,その他,シェーンベルク自身の Weihnachtmusik,マーラーの Lieder eines fahrenden Gesellen(『さすらう若人の歌』),ヨハン・シュトラウスの Kaiserwalzer と Rosen aus dem Süden を収録している。
 

Arnold Schoenberg: Weihnachtsmusic & Transcriptions
Arditti String Quartet,
J. Chaignaud (Vo), M. Moraguès (Fl), P. Meyer (Cl), et ali.
Naïve (2002-07-09)
 

二枚目は W. A. Mozart - Serenade B-dur «Gran Partita» K. 361。ブリュッヘンの指揮,十八世紀オーケストラの演奏による Philips 盤。モーツァルトのグラン・パルティータは,思うに,明るい音色と優雅な旋律で,木管アンサンブルの楽曲のなかでもピカイチである。今日のような雨の日にはあんまり相応しくないんだけれど。
 

Mozart: Serenade K361 Gran Par
F. Brüggen (Dir)
18th Century Orchestra.
Polygram Records (1990-10-25)

吉永南央『萩を揺らす雨』

吉永南央『萩を揺らす雨 — 紅雲町珈琲屋こよみ』(文春文庫,2011 年)という,美しい表題の短篇集を読んだ。これは妻が朝日新聞書評で見出した本。

主人公・杉浦草(そう)が人生最後の事業としてはじめた珈琲と和食器の店『小蔵屋』の日常で起こる物語である。老人の視点から物語が語られ,老い,連れ子への虐待,親子の絆,老いらくの恋心など,現代日本にあって身につまされる問題がテーマになっている。テーマが真面目なんだけど,文章もまた生真面目なのである。吉永南央は私より二つ年下なだけで,決して若い作家というのではないけれども,私は何故か,バブル崩壊後にハッと覚醒しもう一度地道にやり直しはじめたというような,そんな新生日本の若い生真面目さを感じた。衒いや気取りがまったく,どこにもない。ちょっと生真面目過ぎるのもどうかな,なんて思ってしまうくらいである。

五篇収められているが,表題作の『萩を揺らす雨』が,雨に濡れる老人を視るように,切なくて切なくて,哀しい好篇だった。老いた政治家・大谷が,亡くなったかつての愛人・鈴子の葬儀に幼なじみ・草を遣わし,彼女から鈴子の骨を受けとる。すると彼はそれを食ってしまう。

 大谷の手のひらの白いハンカチに,鈴子の骨片があらわれた。たぶん箸で拾い上げたのと同じ,手の指だろう。[ ... ]
「かえってそばに置くのが辛ければ,わたしがお寺さんに供養してもらう。どうしようか」
 大谷は強く首を横に振った。そして,誰にも取られまいとするように,鈴子の骨片を口に含んだ。束の間,口元を軽く緩ませると,こもった鈍い音を立ててゆっくりと骨を噛み砕き,飲み込んでしまった。飲み下しきれないのか,数回,たるんだ皮膚をのせた喉仏が上下する。
 一瞬眉をひそめはしても,草はそんな大谷に微笑むしかなかった。骨はどんな味なのだろう。苦い後悔の味か,鈴子の優しさに似た味なのか。草にはわかりようもなかった。
 松葉に雨が滴り,萩の葉には銀色の水滴が散っていた。ジジッと鳴いた蟬が,木から木へ飛び移る。
「これで,ずっと一緒だ」
吉永南央『萩を揺らす雨 — 紅雲町珈琲屋こよみ』文春文庫,2011 年,pp. 258-9。

このくだりはビビッと来る。骨になった鈴子。忘れられない鈴子の骨を食う大谷。秘かに大谷を好いている草。この三者の思いはそれぞれ交わることがないが,この雨の風景のように静かに響き合う。萩は秋の花。なのに銀の雨が潤す夏の嫩い葉に焦点を当てた微妙な季節感のズレが,骨を噛み砕く老人と彼を思う老女を,いよいよものあわれにする。

作品は老女・草の和装描写でも心憎いものがある。老いてなおも抱く恋心で,着て行く着物を草が選ぶくだりを引用しておく。なんとも味がある。こういう細部の描写を的確にして心憎いと思ってしまう俺ももう年か?

 店の奥が草の自宅になっている。麻の日傘を居間の上がり端に用意して,隣の和室に行く。少しよそゆきにしたくて,さっと紗の博多八寸帯に替えようと,草は姿見の覆いをはね上げ,帯締めを外し,動きやすいヤの字に締めた縞の半幅帯をほどき始めた。長襦袢は着ているので,帯をお太鼓にすればきちんとした印象になる。
 しかし,伊達締めだけになったところで,はたと草は手を止めた。
 — 馬鹿馬鹿しい。
同書,pp. 209-10。

このように,本書には和装,和食器の渋い描写が鏤められている。しかもまったくこれ見よがしなところがない。そうはいっても,森茉莉の『ドッキリチャンネル』を読んだあとだからか,ひとつだけひっかかったところがある。蕎麦猪口の「猪口」に「ちょこ」とのルビ(p. 13)。モリマリさんの堅苦しいイビリ声が聞こえる:「最近の若い人は蕎麦猪口を『そばちょこ』なんてしたり顔して読むんだけど,これは『そばぢょく』。将棋は打つのではなく『差す』,弁当は食べるのではなく『使う』。日本語のプロならきちんとしなさい」。
 

 

お草さんの物語を読んだら,和食器を愛でたくなった。久しぶりに和風創作カップで珈琲をいただく。これは 20 年くらい前に,京都河原町の和食器ショップで見つけて 2 脚買求めたもののひとつ。素焼きのごつごつした手触りに暖かみがあるんである。
 

20111120-wacup.png

D. Smirnov - Kubla Khan

D. Smirnov から,"Kubla Khan, or A Vision in a Dream" を YouTube に公開したとのメールをもらった。『クーブラ・ハーン,あるいは夢の幻影』は S. T. コールリッジの詩。コールリッジは夢で幻影とともに詩が湧き起こり,目覚めたのちにこれを書き取った。その作品がこれという。プレロマン主義時代,詩人はフィクションを生きたようである。詩人は「霊感」に突き動かされていなければならない。詩のテクストとは何の関係もない創作物語がテクストに意味を与えている。

さてビデオの音楽。作品はヴォーカル,ヴァイオリン,チェロとバヤン(ロシア式アコーディオン)のための室内歌曲である。ドミトリー・スミルノフ,エレーナ・フィルソヴァ,アリッサ・フィルソヴァの三人による共作となっている。 11 月 12 日,ハノーヴァー現代音楽協会コンサートでの初演である。ソフィヤ・グバイドゥーリナに献呈されている。演奏は Simon Bode (Tenor), Elsbeth Moser (Bajan), Grzegorz Kotow (Vln), Reynard Rott (Vlc)。フィリップ・フィルソフによる東洋風絵画がフィーチャされている。

現代音楽としてはわかり易い,夢幻的な旋律・音響の作品である。アコーディオンとヴァイオリンの重奏部が東洋風の神韻とした雰囲気を醸し出していて,コールリッジの風景があたかもタタールのくびきにあるロシアに変じたような幻を感じる。

1. The Brocken Vision (D. Smirnov)
2. The Pleasure Dom (E. Firsova)

© D. Smirnov

 

3. Down the Green Hill (D. Smirnov)
4. The Shadow of the Dome of Pleasure (E. Firsova)
5. A Damsel with a Dulcimer (A. Filsova)

© D. Smirnov

米をもらう・TPP

今日,会社から早めに帰宅した。炊飯ジャーを覗くと少しばかりご飯が残っていた。これを食って,今日の晩ご飯のためにご飯を炊くことにした。出版社で編集作業をしている妻が,できあがった本のお礼とのことで,著者の先生から新米をいただいた。奈良県産・吐田米(はんだまい)という銘柄である。経営する田んぼで穫れた新米だという。モチモチ感のある,たいへん旨い米である。2 カップを磨ぎ,その 1.2 倍の水で炊飯を仕込んだ。

残っていたご飯は,自分でおにぎりを結んで食った。塩と海苔だけのおにぎり。米はおむすびにするとまた違った食感・旨味があり,感心する。おにぎりにはどこどこの,こうこうして炊いた米がよい,などと言う米にうるさい人もあるらしい。ありがたいことに,私には米のブランドの違いはよくわからない。米はうまく炊いてすぐ食うのがいちばん旨い。ただそれだけである。

新米が出回る季節になった。テレビでも北海道米『ゆめぴりか』の CM なんかが流れている。これ,5 kg で 3,380 円もする(コシヒカリの 1.5 倍くらいの値段ではなかろうか)というのだから,どんなに旨いのかと興味が湧く。というのも,私が学生だった 30 年近く前は,北海道産の米はまずいというのが定評だったからである。それがいまやコシヒカリよりも高い値をつけている。技術革新のなせるわざか。札幌にいたころ,米屋に行くとコシヒカリ,ササニシキなどと並んで道産米代表選手・キタヒカリが並んでいた。まずい米。そして恐ろしく安い。貧乏学生だった私は,当然ながら,いつもキタヒカリであった。それでも,金に困って,米だけで 1 週間凌いだことがあり,さすがにそのときはキタヒカリのありがたみが身に沁みたものである。

福島県産の米に基準値以上の放射線量が検出され出荷停止となった。いよいよかという感があるけれども,米は日本人の食の原点でもあり,ホント哀しくなる。「風評被害が心配される」なんて記事にあったけど,ここまで来ると,もう「風評」ではなく厳然とした「事実」である。なのに政府もマスコミも福島第一原発事故との因果関係をぼやかすのにやっきになり,この期に及んでも「風評被害」の心配を全面に出す。東電を庇ってこんな隠蔽をするから,不信感に駆られた市民が自治体任せにせず独自に放射線量を計測しはじめる事態になり,いまや「風評」が「不信」に転じてしまっている。政府・自治体はこれを重く受けとめるべきなのである。こんなことじゃ TPP 以前に福島県周辺の農業が壊滅してしまう。日本産というだけで海外では売れなくなっている。日本産の「食の安全神話」はすでに崩壊している。その現実をきちんと認めるところから再出発すべきなんである。TPP はこの悪い状況に拍車をかけるに違いない。
 

20111117-onigiri.png
 

* * *

TPP といえば。野田総理が APEC で TPP への参加を表明した。閣内・民主党内でも意見がバラバラで,最終的に野田首相の決断でここに至ったということになっている。本当に大事なことは議論で決められないというのがこれまでの日本の政治のお定まりのパターンである。そこで,野田首相がある意味で「強引」な行動に出たことを,私は評価している。これはドジョウが泥のなかで何やってのかわからんというような陰険なやり口ではない。思うに,野田さんはこれで男を上げた。日本の政治では,こうして「既成事実」にしてしまうことが局面を打破するブレークスルーになるのである。日本人は存在を賭けて行動を決するのは苦手だが,決まってしまったことに順応するのはきわめて得意だからだ。米国との間の認識違いについて,やれ「二枚舌」だとかバカがいま騒いでいるけれども(そもそもこれ,野田さんの二枚舌問題ではなく,通訳すなわちコミニュケーションの責任をもつ外務官僚の語学レベルの問題じゃなかろうか),もう後戻り出来なくなった。

日本が参加表明した瞬間に,酪農自由化を怖れるカナダすらも参加を表明した。これ,乗り遅れるととんでもない事態になるという各国の危機感を如実に表している。米韓 FTA 批准で目下大揉めに揉めている韓国も,日本の TPP 参加表明で,早く批准しなくちゃと焦り出した。中国も日米経済圏から締め出しを食らうことにびびり出して,ASEAN+6 こそに拘るよう日本を牽制している。意外にも,日本の経済的影響力の凄さを改めて認識させられた。

TPP は二国間 FTA と大きく異なり,参加国が多いだけに個別国の事情で除外品目を設けるには,相当高いハードルがある(だから韓国は参加をやめたのだ)。「すべての」というキーワードは TPP の TPP たる所以に近い。となると,これからの日本では,脱退するか否かの議論,「すべての」品目条件を受入れた上で国内産業の競争力強化をいかに果たすかの議論の二つに一つ。そして後者がメインになって行くと思う。これでよいと思う。

ニコニコ動画で,渋谷駅交差点での若者たちによる TPP 断固反対のデモ動画をみた。何故に反対か。演説者曰く「自由化で人的資源の往来が活発になったとしても,東南アジアの貧乏人が大量に日本に来るだけだ。東南アジアに行きたい日本人っているか? え? いるわけねえ! だから日本にとって TPP は何のメリットもない」。何を言っているのかさっぱりわからない。労働力を集めることで日本が豊かになるならいいじゃねえか。

足手まといの子供を生みたくない現代日本では,ただでさえ労働人口が減少に転じ,急速に老人の絶対数が増え続けているのである。たくさんいる団塊の世代がまったく子供を作らなかった恐ろしいツケがいま出ているのである。あと数十年したら一人の労働者が一人の老人+コンマ何人かの子供を養わなければならない時代が来る。それこそ皇国日本の終わりである。そう考えると,若い東南アジア人が日本に住み着いてくれれば言うことがない。治安が悪くなるって? 「伝統」文化が失われるって? それはまた別問題である。日本でお行儀よく暮らすことが外国人の魅力になるような,フェアな社会造りをすればよいのだ。そして,彼らが何年か立派に働いて日本に住み着いたのであれば,ポンポン日本国籍を与えればよいのである。そうやって日本人を殖やすのだ。日本人とは,根拠のない日本民族なんぞではなく,日本国籍をもっている者のこと,でよい。

いまただでさえ職がない日本の若者は,外国人流入でさらに競争が厳しくなる — これは喫緊の確かな問題である。おそらく渋谷で TPP 反対を大合唱していた若者右翼は,そうしてセブンイレブンやすき家で中国人に仕事を奪われた一群なのだろう。ならば,そもそも日本語という言語の圧倒的アドバンテージをもって,技能を身につけ,競争に勝てばよいのである。この言語障壁のため外国人のできる仕事は限られて来る。あるいは日本の若者も海外に出ればよいのである。ブツクサ言ってないで,若いんだから競争に勝つために勉強しろ,仕事の質を高めろ。

元首相・中曽根康弘氏がフジテレビのニュース番組に出演し,「(野田首相の)判断は正しかったと思いますね。[ ... ] これからの経済の発展、国力の伸長、そういうものを考えると,世界に目を開いた,太平洋に窓を開けた日本で行かなきゃ駄目だと。幕末の時の尊王攘夷みたいな考えでは,もう通用しないと思います」と述べた。TPP 開国への反対を幕末の尊王攘夷運動に喩えるところ,現在の政治情勢が末期江戸幕府に似ていると大局的に捉える老大家ぶり。さすが一国の首相を経験した人である。

TPP は民主党,自民党の二大政党を党内二分するくらいの大問題になっている。でも製造業をはじめとする大企業・経産省の後押し,それにへつらうマスコミの情報操作で,まず間違いなく TPP 推進派が勝つと私は思う。その前に総選挙で状況は変わるかも知れないけれど。「アンタは農家でも,医療関係者でも,中国人の安価な労働力に負けた単純労働者でもないからそんなことが言えるんだ」と言われるかも知れない。そう。その通り。自分の仕事・生活にとってよい方向に導いてくれる政治こそ支持すべき政治,そして,それが数の論理で推進されることこそ民主主義 — それのどこが悪い。私は野田首相を支持します。

D. Scarlatti - Keyboard Sonatas

今日は会社をサボって家でぼっとしていた。大学に通う息子がフランス語の勉強をする横で,YouTube 動画を観まくり,Facebook にそれらのうちの気に入ったものをシェアしまくっていた。

夕方 5 時にもなるともう真っ暗になる寒い時候になった。こんなときはちょっと小粋なピアノ小品集で心を暖めよう。Domenico Scarlatti のソナタ集。アンドラーシュ・シフの演奏による英 Decca 盤。スカルラッティのピアノ曲はシンプルで,小粋で,チャーミングで,私の勝手な印象で言えば,寒い冬の夜の薄明るい橙色のともし火のような,ほっとする音楽なんである。
 

Scarlatti:15 Keyboard Sonatas
András Schiff (Pf).
Polygram Records (1990-10-25)

サッカー北朝鮮戦。日本はあっけなく負けてしまった。残念ながら仕事の都合でテレビ観戦できなかった。本田も香川も遠藤も川島もいない布陣では,いくらランキングに大差があるといえども,ダメだったようである。五万の画一的な敵国群集に呑まれたのか。試合そのものを観てないので,ただ残念という感じ。

でも,最終予選進出という結果を出したのだし,あくまで W 杯で活躍することが最終目標なのだから,その過程でこういう悔しい思いをすることもある。じつはいちばん心配された選手のケガはなかったようだし(北朝鮮の選手は日本戦に敗れるとタダではすまされないので文字通り命を賭けている。日本が先制なんてしちゃったりなんかしたら,念力でも眼力でも腕力でも敵をつぶしにかかる。スポーツが国威発揚の道具になっているガサツ国家の常道である),また出直せばよい。がんばれ日本,なんである。

11.16 付記:
日本が超格下の北朝鮮に敗れたと思ったら,韓国もアウェイでレバノンに敗退。何やってんだよ。アジアの強豪なんだから最終予選に必ず進んでもらわないと困るんである。アジア予選のアウェイの恐ろしさ。
 

* * *

森茉莉の『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』(ちくま文庫,1994 年)を読む。本書は,1903 年生まれの女流作家による 1979 〜1985 年の芸能エッセイである。森茉莉は,「あの」大作家・森鷗外の長女であり,... と,ま,こういう「親の七光り」的紋切型が必ず付いて回る不幸な作家である。そして結論から言ってしまえば,本書はその不幸がよくわかる本である。「これがあの森鷗外大先生の娘さん,— いやもう婆さんなんだけど,— の本?」てなもんや。

この本の面白さは皮膚感覚に基づく悪口にある。ここまで己の好き嫌いを徹底し,歯に衣着せず芸能人の悪口を堂々と書く人がいるものだろうか,という驚きだけがじつに新鮮なのである。つまるところ「あいつの顔がキライ」ということを何百頁も滔々と書くことの出来るスゴさ。

本書はきわめて「難解」な本である。何を言っているのか私は一行も理解できなかった。いや,述べられている俳優,芸人,歌手がどうも誉められている,貶されているというのだけはわかるのだけれども,でもどうして?,そういう評が何を(例えば,近年の舞台演劇の特徴とか)意味しているの?,何のために(例えば,時代劇にこれこれの要素はそれ自体の質的低下を招くことを示したいため,とか)その評が必要なの?,などといった要素がまったく示されず,ただ誉められている,貶されているだけだからである。読みを総合しようとする意志がことごとく裏切られるからである。森茉莉の「皮膚感覚」というしかないんである。要するに「あいつの顔がキライ」という生理の叙述なのである。

 タモリが私との対談を望んでいるそうだ。多分,私の年を知っているからだろう。いかに彼が臆面なしでも私が出たばかりの若くて綺麗な小説家(女)だったら,あれだけ気持ちの悪い顔だと書かれていれば,私の前に出て来る勇気があるわけない。タモリの顔が何故気持ち悪いかについてこの際明確書いておく。人間は誰でも顔の皮膚の下に皮下脂肪があるが,タモリの顔の皮下脂肪はひどく黄色くて,普通の人間の皮下脂肪を練りに練って詰めたようなところがある。顔の皮はかなり厚いのにも係らず,その練った皮下脂肪がよく透き徹って見えるのだ。なんともいえぬ感じなので私は,彼の顔が画面に出るや,スイッチを切り換える。
森茉莉『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』ちくま文庫,1994 年,p. 167。

これが小説のような芸術的散文ではなく評論文のような何かを相手に理解させたいテクストであると仮定する場合,こんな難解な文章を私は読んだことがない。何を何のために書いているのか,どうしてそんなことが言えるのか,皆目わからない。そして,昔の作家の特徴である長大なパラグラフが,そうした共有困難な感覚的「エクリチュール」(フランス文学者の好きな,わけのわからない,和臭ぷんぷんの言葉を使わせていただきますが)で満たされているんである。小説テクストと認知できるならばこの言説は「練った皮下脂肪」を「醜い顔」に結びつけることで顔の身体感覚表現ともいうべき印象を「創造する」エクリチュールになるんだろうけれども,ここではタモリという現実的表象が先に出て,書き手の「皮膚感覚」しかインプットされない。強いてここに価値感情のエクリチュールを見出そうとすると,「じつはアンタ,タモリが好きなのね」,ということになるのである。このように「醜い」が「じつは美しい」に化学反応を起こしてくれないと,「文学」じゃねぇよな,と。でも,この文章からでは,それも無理がある。

モリマリさんの評言は徹頭徹尾この調子である。これを「毒舌」という人があるかも知れない。違う。毒舌とは皆が薄々思っていることをぐさりと言うことの謂いである。モリマリさんの悪口は皆どころか彼女だけの皮膚感覚的空想なのだ。気持ちいいくらいである。も一つ行ってみよう。

 チェリッシュの二人は,白石かずことの対談でも言い,かずこも「そうね」と言ったし,前にも一度書いたと思うが,いくら男は柔しいのがよくて,女は可哀いのがいいと言ったって,チェリッシュの男のいやな柔しさと,女の方のいやな可哀らしさは,なんともかんともいえない,いやさである。
同書,p. 300。

これがテクストの全部である。チェリッシュは,ご存知の方もおられようが,男女二人組の歌手である。ま,歌手だって声の技以外に「見た目」も大切なんだけど,ここではその藝については一言も触れられず,理由のよくわからない「柔しさ」とか「可哀らしさ」が出て来たり,またなんで「いやな」それなのかも何も提示がない。これを読んで「なるほどわかった」という人がいたら,スゴい。私には前衛現代詩のように難解である。いや,エクリチュールとして読みとれることが一つある。「白石かずこも私のような人なのよ」ということである。つまり,ここで化学反応の結果出て来るのは,じつは「白石かずこもどうも理解を超えた人である」ということなんである。こういう悪口の書き方もあるのか!

解説者のお説を聞いてみよう。編者の中野翠氏によるものである。『たしかな好悪の精神』とのタイトル。「たしかな」ってどういう意味だったっけ? 上記のような前衛的難解さの謂いだったのだろうか。これもよくわかりません。「好悪」はまさに「皮膚感覚」ということなんだろう。中野翠氏曰く:

 また,当時の大平正芳首相をけなすのに,
「権勢の保持と利慾にしか頭が働かない人物で,顔と来たら又,農家のおやじで,(今夜は地主どんの家で酒と馳走が出るが,あまり早く行っても物欲しそうじゃから一寸遅れて行こうわい)と言って出かける感じだ」— と,こうである。私自身は大平氏の器量に関していささか違った印象を持っているが,このくだりは,何度読んでも笑ってしまう。異論はあっても,この「悪態の芸術的完成度」には唸ってしまうのだ。
同書,p. 372。

やはり前衛がわかる人らしい。「芸術的完成度」って何でもって計量しているのだろうか。突飛な空想が面白いということらしいが,現実に存在している人間を捉まえて為したこんな空想的な物語のどこに「芸術」があるというのか。フィクションで「その感じ」の化学反応を読者にまざまざと起こさせるのが芸術ではないのか。私には週刊誌的低俗(有名人に対して空想を逞しゅうするのは低俗週刊誌のエクリチュールである)としか思われない大平正芳・人物像物語を,中野氏は何故に「芸術」と勘違いできるのか。ま,「戯画」も芸術の一つではあるが,われわれの「大平正芳」の表象に一致しているのが絵のキャプションにある「大平正芳」という文字列に過ぎないとしたら,それは「戯画」だろうか? 中野氏は,私には理解不能の難解な文学がわかる,すばらしい読み手である。

私には本書はその難解ゆえにこそいたく面白かった。週刊誌のゴシップを読む感じで面白かった。そしてこれを「芸術」だと評する文学の専門家がいることが,さらにいたく面白かった。つまり「皮膚感覚」を臆面なく書き散らすことのできる個性と,「芸術」精神とに心底驚かされたのである。私なんかにはこんな難解な文章は「恥ずかしくて」とても書けないんだけど,森茉莉はどうしてそれをできるのか。そこが本書のスゴさである。ちょっと,容姿衰えた大年増女優が映画で大胆なヌードを披露してくれたときに覚えるような,「これ,どう受けとめたらイイの?」的驚き・わからなさ・前衛性がある。そう,最近の流行言葉で言えば,「ドンビキ」してしまうくらいの。

「これがあの森鷗外大先生の娘さん,— いやもう婆さんなんだけど,— の本?」— といま再び考えて,理解出来た。本書は『週刊新潮』に連載されたエッセイである。あの森鷗外大先生のおフランス至上主義的令嬢 — いやもう婆さんなんだけど — がなんといかがわしい週刊誌にお書きになったらしいざぁますよ。これが『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』のエクリチュールである。「低俗」もバックにある「権威」によって「芸術」に反転することがあるというエクリチュール。も一つ,私のホンネとして言うと,これこそ文化人の「老い」がもたらす臆面のなさだと思う。老人が死ぬ前に,他人のことを思いやることなく,いっぺん思いを吐き出しておきたい,ということだろうと。老人とはそもそも短気で身勝手でわがままではないか(「老いて悠々たり」なんてウソである)。自分の感覚が世界の抱く表象だと思って疑うことがない。つまり子供。古代ギリシアの俚諺に「老人は子供にかえる」というのがあるが,残念ながら至言である。

森茉莉は沢田研二,萩原健一,桃井かおりがお気に入りだったようである。忍者ハットリ君のファンでもあったらしい。私も映画のなかのこの三人の味が好きである。ジュリー,ショーケンと来りゃ,松田優作についても是非モリマリさんの皮膚感覚の前衛評が聞きたかったところである。パンと牛乳を飲み食いしながら女と性交できる,松田優作のあのぶっとんだ芸風が私は大好きなんである(「なんじゃこりゃー」ではなくて)。お,これこそ森茉莉風・松田優作評か。

P.S.
言わずともお察しだと思うが,だから私は森茉莉の『ドッキリチャンネル』が好きなのである。この人,元祖ブロガーと言ってもよい。まったく根拠無しに好き勝手なことが言えるブロガー。私自身,大いに親近感を覚えるんである(とてもモリマリさんには適わないけれども)。でも,これで彼女は金を出版社から受け取っていたわけだ。と,むずむずと怒りが込み上げて来るのは私だけか。
 

大阪市長選告示

大阪市長選挙が告示された。11 月 27 日投開票,府知事選挙と同時である。元大阪府知事・橋下さんが知事を辞してまで大阪市長に立候補するのは,知事時代の大阪市長との確執から,まずこの目の上のたん瘤・平松さんを追い落としておいてから,自身の大阪維新構想に道筋をつけようということだろう。若いからこそそういう発想ができるのだろう。私は大阪生まれだけどいまは川崎市民であって大阪市民ではないので,大阪市の地方自治などじつはどうでもよい話ではある。それでも,何にせよ話題の多い橋下さんの動向にはつい野次馬根性が出てしまう。

おそらく橋下さんが圧勝するだろう。大阪だってこの長い低迷で疲弊しているにも拘らず,「大阪市をバラバラにすると言っている人がいる。つぶすのは簡単だが,二度と戻らない」などと現状を守りたい一心の平松さんに投票するのは,おそらく,現時点でいちばん得をしている 60 代以上の年寄りだけだろう。これに対し,役所職員・議会と厳しく対立し,霞ヶ関すらを敵に回してでも,地方の自主的運営・発展をめざす橋下さんは,「少なくともいまロクなことがない」と思っている有権者には「何か変えてくれるだろう」という期待感をもたせるはずである。彼は独裁者風資質をもっているように思われる。カリスマのある政治家ということ。これも彼を魅力的にみせている。民主党も同じ「チェンジ」への雰囲気で政権を獲得したが,官僚とマスメディアとにつぶされて,いまや昔の自民党が少し気弱になったくらいに堕落してしまったが,民主党が植え付けた地方分権が橋下さんの構想で,いまふたたび問われているように思われる。

地方自治というけれども,これまでの地方自治はじつは名ばかりで,霞ヶ関のヒモがついた予算で霞ヶ関の言いなりの税金消費がなされているのが実質的な姿である。一括交付金など地方自治体の意志で自由に使えるカネを国からもらっても,地方の首長・議会・役所は住民のよりよい未来のための使い途を何も考えつかないので,もらっても困るのである。もとより自己保身最優先の地方公務員であるから,自主的にやってヘマをするより国の言いなりになるほうが大いにラクかつ安全だからである。これは私が勝手に言っているのではない。Japan Business Press 記事『「一括交付金」を欲しがらない自治体の情けない本音』をご覧ください。地域住民はおそらく唖然とするだろうが,地方自治体というものが生活の中で「政治」の影が薄いのは当たり前なのだ。

江戸幕府の末期,幕府は財政破綻寸前になり,重税ゆえに農民一揆が頻発し,海外からの開国圧力が強まり,内憂外患の果てに大政奉還となった。国家予算の 10 倍以上の政府の借金,雇用不安と若年層貧困の拡大,海外からの自由貿易圧力と安全保障不安,と上げて行くと,まるでいまの政府が抱える問題とまったく同じ構造ではないか。幕末では,各地方の藩も幕府同様に財政危機に見舞われていたわけだけど,こういうなかで長州藩,薩摩藩などは,海外との交易や特産品専売などの独自の経済施策によって財政危機を克服し,軍事力を蓄積し,幕府の中央集権的政策と対立して,結果的に幕府を倒すことになった。そしてその後の明治政府を牛耳ることになったのは,歴史の教えるとおりである。長州や薩摩などと違って自主政策を推し進められなかった藩は幕府とともに沈んだ(東北地方はその代表。いま現在も東北地方は首都圏のお上に右へ習えなのがホント興味深い)。

歴史的アナロジーはある意味で愚かなんだけれども,橋下さんの大阪都構想は幕末の長州・薩摩の自主政策の推進と同じように私には見えてしまう。薩長のように大阪から日本の未来が開けるかも知れない。そのためには大阪に国は強大な権力を委譲するのがよい。私は大阪がどうなって行くのか少々期待しているのである。

サイバー戦争

朝日新聞 11 月 7 日の朝刊 1 面トップに『サイバー戦に備えよ』との見出しで,中国山東省済南市の技術学校・山東藍翔高級技工学校が紹介されていた。この学校は中国軍のコンピュータ技術者を養成していると目されているという。

記事がわざわざ朝日のトップを飾るのには背景がある。昨年 Google が受けたサイバー攻撃の発信源が山東省済南市に特定され,さらにここ最近では衆議院や三菱重工などの国家機関・防衛産業企業へのサイバー攻撃が相次いで発覚し,その際中国のサーバが使用され中国政府ないし中国軍が事実上関与していたことは間違いないとされた — もう中国による「電脳」無法行為がいよいよ看過出来ない状況になった,という事情である。先頃刊行された平成 23 年版防衛白書・第一部・概説『国際社会における安全保障上の主な課題』項では,北朝鮮の核問題,ロシアと韓国との領土問題,中国による日本領海侵犯問題,テロ問題よりも前に,サイバー空間・宇宙空間における破壊工作問題について述べられている。

衆議院,総務省,防衛産業,新聞社その他,日本企業における被害は多く「標的型攻撃メール」によるものとされている。トレンドマイクロ社の『インターネット脅威マンスリーレポート - 2011年10月度』によれば,「10 月は,日本国内で複数の企業・団体へのサイバー攻撃が報道されました。国内における標的型攻撃の多くは不正プログラムを添付したメールを個人に送付し,バックドア型の不正プログラムに感染させることで攻撃者が外部から侵入し,個人情報や機密情報など目的の情報を窃取します。特定の対象に継続的に攻撃が繰り返される『持続的標的型攻撃』は,事前に攻撃対象を調査することや,セキュリティソフトで検出されないことを確認してからメールを送付するなど,攻撃者の手口が巧妙と言えます」。私の会社でもこの問題への注意喚起がなされている。

くだんの朝日新聞には,記者に送られて来た攻撃メールが掲載されていた。受信者の関心を惹き付けそうな内容とともに,受信者の名前が本文に書かれ,さも「専門家のあなたに判断してもらいたい」ということで添付ファイルを閲覧させるようになっている。しかし,その日本語は文体・表記・助詞用法において日本人が書いたにしては明らかにおかしいものである:「先生の中国航空母艦についでニュスを拝読したいことがあります。[ ... ] 先生の頑張るにしたがて,私たち日本人は中国海軍の実力がわかりになることがあります」。これなら大企業のたいていの社員ならば違和感を覚えて,これは何かの企みだと判断し,情報セキュリティ部門に報告するはずで,いわんや添付ファイルを開くなんて行動は起こさない。事実それで発覚したわけなのだが,それでも添付ファイルをオープンしてしまう人がいて,PC がウイルス感染し,知らないうちに PC の中味がすべて攻撃者に渡っていたわけである。

米国はサイバー攻撃に関して中国とロシアを名指しで非難した。米国だってそのスジのプロフェショナルであって,人のこと言えんのかてなもんやけど,サイバー攻撃の性格によっては宣戦布告の理由には充分である。というか,もうサイバー戦争は始まっていると考えるべきなんだろう。ま,自宅に来る迷惑メールは,おまんこメールか中国語の意味不明のメールばかりで,何の心配もないんだけど。あ,ついでにひとこと,メール・ヘッダの Subject 欄の MIME コードに gb2312 文字列が含まれるものはすべて,私は procmail レシピによってこれらをスパムとして弾いている。私に送りつけられて来る中国語簡体字のメールはすべてスパムだからである。

W 杯第三次予選突破

サッカー男子日本代表がブラジル W 杯アジア第三次予選突破を果たしました。私は残業でテレビ観戦できなかったのだが,仕事の合間に携帯 Web でニュースをチェックしていた。どうもなかなか得点できない様子にヤキモキ。前半 3x 分になんと DF 今野選手の初ゴールで先制! 後半に入ると岡崎選手の追加点。おお,アウェイで,ピッチも酷いと聞いていたけど,着実に試合を運んでいる。その調子じゃ。駒野・今野両選手がタジキスタン戦で代表初ゴールを決めたとなりゃ,よし,次はキーパー川島選手の代表初ゴールなるか!と期待。残念ながらそれはなりませんでしたが,日本は結局 4 得点をあげかつ無失点で勝利しました。帰宅してから録画ビデオで観ましたけど,清武選手が絡んで岡崎選手が決めた 4 点目のゴールは,流れるようなパス回しでこれぞナショナルチームと思わせる素晴らしいシーンであった。

次は北朝鮮だ! あの非常識全体主義国家の悪寒と吐気を催す均一的雰囲気のなかで,日本代表のプレーが観られる。平壌の夜空に君が代が流れるのだ。喜び組も観られるか? 今日で最終予選進出を決めたので,「負けられない緊張感と気迫」は無理にしても,日本代表の素晴らしいプレーと,北朝鮮代表をコテンパンに叩きのめす姿とを,われわれのみならず,北朝鮮国民と横山めぐみさんにもぜひ見せつけてほしいものである。15 日がホント楽しみである。讀賣巨人・球団オフィスの上層部の内輪揉め — くだらない「内部統制」茶番劇 — をスポルトで見せつけられるにつけても,これからはサッカーが日本の国民的スポーツになるからどうぞご勝手に,と思うばかりでありました。
 

P.S.

北朝鮮戦でも中村憲剛選手がトップ下で先発するだろう。北朝鮮代表には川崎フロンターレの彼の元僚友チョン・テセがいる。どちらが勝利しても試合後に二人が肩を抱いて健闘を讃え合う姿を北朝鮮国民に見せてほしいものである。私はスポーツの国際試合に関しては超国家主義者になってしまうのだけれども,また拉致問題と核開発・ミサイル問題においてにっくき敵・北朝鮮国家なのだけれども,スポーツというウラのない勝負では対戦相手がお互いをリスペクトするというスポーツマンシップを,北朝鮮との間であっても共有したいものである。

ハガキ宛名差込印刷

あと少しすればもう年末。年賀状を書かなければならない時期が来る。住所録から LaTeX を用いてハガキ宛名印刷用 PDF を生成するツールを作ってみた。これは昔 UNIX 系の雑誌にあった記事の工夫なので,ネットで探せば同様のツールが見つかるかも知れないが,私自身の好みでレイアウトをカスタマイズできるよう,スクラッチから(すべてを一から)自作してみた。mkpostaddr-201111102344.tar.gz アーカイブを掲載しておくので,関心のある方はダウンロードしてお使いください。無保証です。

処理方式は次のとおり。住所録 CSV ファイル(address.csv),LaTeX プリアンブル・ファイル(preamble.tex),ハガキ差込フォーム・ファイル(form.tex),ハガキレイアウト定義ファイル(post.conf)を読込んで,住所録の宛名の数だけハガキ宛名組版の LaTeX ソースコードを出力する。この際,日本語は OTF パッケージを用いて Adobe-Japan1-6 コードの広範囲の漢字を出力出来るようにする。この処理は Perl スクリプト mkpostaddr で行う。出来上がった TeX ファイルを eplatex 及び dvipdfmx で処理して PDF を生成する。これらのファイルはすべて UTF-8 エンコーディングでなければならない。サンプルの住所録 CSV ファイルで組版した結果 PDF 画像を以下に示す。
 

20111110-hagaki.png
 

住所録 CSV ファイルは,項目をカンマ区切りで記述した,いわゆる CSV ファイルである。このツールでは,1:宛名-姓, 2:宛名-名, 3:宛先郵便番号, 4:宛先住所(番地まで), 5:宛先住所(ビル,マンション情報), 6:会社名, 7:部署名, 8:宛名連名-姓, 9:宛名連名-名 の 9 項目からなるデータを前提としている。5 〜 9 は無ければ空データもしくは空白としておいてよいが,カンマは必ず全部で 8 必要である。Microsoft Excel などで住所録を作成し,区切り文字カンマ,文字コード UTF-8 指定で CSV 出力すればよい。このデータはハガキ差込フォーム・ファイルで記述された所定の変数位置に埋め込まれ,ハガキ宛名 LaTeX コードとなる。郵便番号の出力位置と差出人情報をハガキレイアウト定義ファイルに書いておく。郵便番号の出力位置については,日本郵便社お年玉年賀ハガキ向けにすでに調整してある。掲載ファイルにはサンプルが記述されているが,差出人は変更するか,不必要なら空にしておく。

住所に英文字以外の外国語,たとえばロシア語を使いたい場合は,{\selectlanguage{russian}キリル文字} と書いておけばよい。両端のブレースは必須である。Babel パッケージをプリアンブル・ファイルに宣言してあり,仏・独・露語が使用可能である。もちろん利用者で追加・訂正してよい。

少し長大になるが,各ファイル内容を掲載しておく。
 

住所録 CSV ファイル(サンプル)

あくまでサンプル。必ず,自分用に CSV 形式で作成してください。

# -*- coding: utf-8; mode: text; -*-
# 住所録CSVファイル(サンプル)
# 1:宛名姓,2:宛名名,3:郵便番号,4:住所1,5:住所2(建物),
#     6:会社名,7:部署名,8:宛名(連名)姓,9:宛名(連名)名
\CID{13706}田,太郎,1020082,東京都千代田区一番町一--二--三,一番ビルヂング地下一階,株式会社 ヨシダ商事,営業部,,花子
鈴木,花子,1020072,東京都千代田区飯田橋四--五--六,,,,,
高橋,一郎,2100808,神奈川県川崎市川崎区旭町一--二三--四,大日本マンション一〇一号,,,,\hspace*{.5zh}桜\hspace*{.5zh}
   

ハガキ差込フォーム・ファイル

LaTeX コードにおいて住所録の数だけ繰返し出力される宛名印字頁整形用の雛形である。:数字: の部分が,住所録 CSV ファイルの情報で書換えられる。印字の位置,文字の大きさなど,気に入らなければ適宜修正ください。基本的には弄る必要はない。

% -*- coding: utf-8; mode: latex; -*-
% ハガキ差込フォーム・ファイル(TeX form 原稿)
% 2011 (c) isao yasuda.
\begin{picture}(100,148)(3,3)
 
    %% 宛先郵便番号
    \Huge
    \put(\cntTOX,\cntTOY){\makebox[6mm][c]{:1:}}%第1桁
    \advance\cntTOX by \cntTOW
    \put(\cntTOX,\cntTOY){\makebox[6mm][c]{:2:}}%第2桁
    \advance\cntTOX by \cntTOW
    \put(\cntTOX,\cntTOY){\makebox[6mm][c]{:3:}}%第3桁
    \put(\cntTTX,\cntTTY){\makebox[6mm][c]{:4:}}%第4桁
    \advance\cntTTX by \cntTTW
    \put(\cntTTX,\cntTTY){\makebox[6mm][c]{:5:}}%第5桁
    \advance\cntTTX by \cntTTW
    \put(\cntTTX,\cntTTY){\makebox[6mm][c]{:6:}}%第6桁
    \advance\cntTTX by \cntTTW
    \put(\cntTTX,\cntTTY){\makebox[6mm][c]{:7:}}%第7桁
 
    %% 住所
    \put(70,30){%
      \makebox(20,94)[rt]{%
      %\framebox(20,94)[rt]{%
        \begin{minipage}<t>[t]{94mm}
            \Large
            :8:\\%住所1
            \vspace*{1mm}%
            \hspace*{5mm}%
            :9:%住所2
        \end{minipage}
      }%
    }%
 
    %% 会社名・部書名・連名
    \put(45,30){%
      \makebox(30,88)[rt]{%
      %\framebox(30,88)[rt]{%
        \begin{minipage}<t>[t]{88mm}
            \hspace*{3mm}%
            \vspace*{-7mm}%
            {\large :10:\\}%会社名
            \hspace*{7mm}%
            \vspace*{-3mm}%
            {\large :11:\\}%部署名
            \vspace*{-3mm}%
            \def\lastname{:00:}%
            \settowidth{\namelen}{\lastname}\addtolength{\namelen}{1zw}%
            \makebox[\namelen][l]{\lastname}:01:~様\\%宛名
            %\hspace*{20mm}%
            \makebox[\namelen][l]{:12:}%
            :13:%連名
        \end{minipage}
      }%
    }%
 
    %% 差出人住所・氏名
    \put(10,32){%
      \makebox(30,58)[rt]{%
      %\framebox(30,58)[rt]{%
        \small
        \begin{minipage}<t>[t]{58mm}
          {\large :20:}\par%住所1
          \vspace*{3mm}%
          {\Large
          \hspace*{5mm}%
          \makebox[3.5zw][l]{:21:}\qquad :22:\\[2pt]%差出人姓名
          \hspace*{5mm}%
          \makebox[3.5zw][l]{:23:}\qquad :24:}\par%連名姓名
          \vspace*{3mm}%
          \hfill{\large :25:}%
        \end{minipage}
      }%
    }%
 
    %%% 差出人郵便番号
    \large
    \put(\cntFOX,\cntFOY){\makebox[4mm][c]{:30:}}%第1桁
    \advance\cntFOX by \cntFOW
    \put(\cntFOX,\cntFOY){\makebox[4mm][c]{:31:}}%第2桁
    \advance\cntFOX by \cntFOW
    \put(\cntFOX,\cntFOY){\makebox[4mm][c]{:32:}}%第3桁
    \put(\cntFTX,\cntFTY){\makebox[4mm][c]{:33:}}%第4桁
    \advance\cntFTX by \cntFTW
    \put(\cntFTX,\cntFTY){\makebox[4mm][c]{:34:}}%第5桁
    \advance\cntFTX by \cntFTW
    \put(\cntFTX,\cntFTY){\makebox[4mm][c]{:35:}}%第6桁
    \advance\cntFTX by \cntFTW
    \put(\cntFTX,\cntFTY){\makebox[4mm][c]{:36:}}%第7桁
 
\end{picture}
 

ハガキレイアウト定義ファイル(サンプル)

Perl プログラムの変数定義の形式で記述する。差出人情報は必ず修正しなければならない。宛名面に差出人情報を印字したくない場合は,ごっそり削除すればよい。郵便番号を出力する位置は,ミリ単位,整数で指定しないといけない。すでに日本郵便社お年玉年賀ハガキ向けに私が調整してあるので,修正する必要はないと思う。

# -*- coding: utf-8; mode: cperl -*-
# ハガキレイアウト定義ファイル
# 2011 (c) isao yasuda.
# 宛先郵便番号
$POSTNUMT1POSX =  46;  # 1桁目X位置
$POSTNUMT1POSY = 131;  # 1-3桁目Y位置
$POSTNUMT1WIDTH =  7;  # 1-3桁目送り幅
$POSTNUMT2POSX =  67;  # 4桁目X位置
$POSTNUMT2POSY = 131;  # 4-7桁目Y位置
$POSTNUMT2WIDTH =  7;  # 4-7桁目送り幅
# 差出人郵便番号
$POSTNUMF1POSX =  10;  # 1桁目X位置
$POSTNUMF1POSY =  26;  # 1-3桁目Y位置
$POSTNUMF1WIDTH =  4;  # 1-3桁目送り幅
$POSTNUMF2POSX =  23;  # 4桁目X位置
$POSTNUMF2POSY =  26;  # 4-7桁目Y位置
$POSTNUMF2WIDTH =  4;  # 4-7桁目送り幅
# 差出人
$FROMADR = '横浜市港北区綱島一--二--三'; # 住所
$FROMPCD = '1234567';   # 郵便番号
$FROMLN1 = '田 中';     # 姓
$FROMFN1 = '達夫・律子';  # 名
$FROMLN2 = ' ';        # 連名・性
$FROMFN2 = '一郎・次子'; # 連名・名
$FROMOTH = '012-345-6789'; # その他(下寄せ)
 


LaTeX プリアンブル・ファイル

生成されるハガキ宛名印刷 LaTeX コードの先頭に出力されるコードである。もしフォントなどを変更したい場合は,パッケージ,デフォルト・ローマン書体の指定を追加すればよい。Babel パッケージが指定されているが,外国語が不要なら削ってもよい。

% -*- coding: utf-8; mode: latex; -*-
% LaTeX プリアンブル・ファイル(TeX preamble 原稿)
% 2011 (c) isao yasuda.
\documentclass{jsarticle}
\special{papersize=100mm,148mm}%はがき大きさページサイズ
\usepackage[T2A,T1]{fontenc}%
\usepackage[utf8x]{inputenc}%
\usepackage{plext}%pTeX縦組ツール
\usepackage[russian,english,french,german,japanese]{babel}%多国語
\usepackage[deluxe,expert,multi]{otf}%
\setlength{\textwidth}{100mm}%ハガキ幅
\setlength{\textheight}{148mm}%ハガキ高
\setlength{\oddsidemargin}{-25.4mm}%左横マージン0
\setlength{\topmargin}{-25.4mm}%上マージン0
\setlength{\headheight}{0mm}%
\setlength{\headsep}{0mm}%
\setlength{\unitlength}{1mm}%picture環境単位mm
\pagestyle{empty}%ページ番号なし
\newlength{\namelen}%宛名幅用
\parindent=0pt\relax
 


mkpostaddr はがき印刷用住所差込 Perl コード

Perl プログラム。現在の Perl 処理系ならモジュール追加なしに実行できるはずである。よほど印刷様式が気に入らない限り,修正は不要のはずである。

#!/usr/bin/perl
# -*- coding: utf-8; mode: cperl; -*-
#
#  mkpostaddr はがき印刷用住所差込
#  2011 (C) isao yasuda, All Rights Reserved.
#
#  SUMMARY
#  ------
#  アドレスCSVファイルを読込み,はがき宛名印刷用TeXファイルを生成する
#
#  DESCRIPTION
#  -----------
#  1. preamble ファイルを読込み,出力する
#  2. コンフィグファイルを読込み,TeX 形式で出力する
#  3. 明細フォームファイルを読込み,form 配列に行展開する
#  4. アドレスcsvファイルを一行ずつ読込み,form パターンに差込み,出力する
#
#  USAGE
#  -----
#  1. address.csv, post.conf, preamble.tex, form.tex は UTF-8 であること
#  2. コマンドラインは以下のとおり
#     % mkpostaddr -c post.conf -f form.tex -p preamble.tex \
#       < address.csv > hagaki.tex
#     % eplatex hagaki.tex
#     % dvipdfmx hagaki.dvi
#
use strict;
use utf8;
use Getopt::Std;
use File::Basename;
 
binmode(STDOUT, ":utf8");
# コマンドライン引数処理
my %opts = (
            'c' => 'post.conf',    # configuretion
            'f' => 'form.tex',     # form.tex
            'p' => 'preamble.tex'  # preamble.tex
           );
Getopt::Std::getopts('c:f:p:', \%opts) || usage();
 
# プリアンブル出力
open(INP, "<:utf8", $opts{'p'}) ||
    die $opts{'p'} . " file not found.\n";
print $_ while (<INP>); close(INP);
 
# コンフィグ初期値 単位 mm
# 宛先郵便番号
my $POSTNUMT1POSX =  48; # 1桁目X位置
my $POSTNUMT1POSY = 132; # 1-3桁目Y位置
my $POSTNUMT1WIDTH =  6; # 1-3桁目送り幅
my $POSTNUMT2POSX =  68; # 4桁目X位置
my $POSTNUMT2POSY = 132; # 4-7桁目Y位置
my $POSTNUMT2WIDTH =  6; # 4-7桁目送り幅
# 差出人郵便番号
my $POSTNUMF1POSX =  10; # 1桁目X位置
my $POSTNUMF1POSY =  16; # 1-3桁目Y位置
my $POSTNUMF1WIDTH =  4; # 1-3桁目送り幅
my $POSTNUMF2POSX =  24; # 4桁目X位置
my $POSTNUMF2POSY =  16; # 4-7桁目Y位置
my $POSTNUMF2WIDTH =  4; # 4-7桁目送り幅
# 差出人
my $FROMADR = ''; # 住所
my $FROMPCD = ''; # 郵便番号
my $FROMLN1 = ''; # 姓
my $FROMFN1 = ''; # 名
my $FROMLN2 = ''; # 連名・性
my $FROMFN2 = ''; # 連名・名
my $FROMOTH = ''; # その他(下寄せ)
 
# コンフィグ定義読込
open(INC, "<:utf8", $opts{'c'}) ||
    die $opts{'c'} . " file not found.\n";
eval($_) while (<INC>); close(INC);
 
print <<"EOM";
\\newcount\\cntTOX \\cntTOX=$POSTNUMT1POSX
\\newcount\\cntTOY \\cntTOY=$POSTNUMT1POSY
\\newcount\\cntTOW \\cntTOW=$POSTNUMT1WIDTH
\\newcount\\cntTTX \\cntTTX=$POSTNUMT2POSX
\\newcount\\cntTTY \\cntTTY=$POSTNUMT2POSY
\\newcount\\cntTTW \\cntTTW=$POSTNUMT2WIDTH
\\newcount\\cntFOX \\cntFOX=$POSTNUMF1POSX
\\newcount\\cntFOY \\cntFOY=$POSTNUMF1POSY
\\newcount\\cntFOW \\cntFOW=$POSTNUMF1WIDTH
\\newcount\\cntFTX \\cntFTX=$POSTNUMF2POSX
\\newcount\\cntFTY \\cntFTY=$POSTNUMF2POSY
\\newcount\\cntFTW \\cntFTW=$POSTNUMF2WIDTH
\\begin{document}
EOM
 
my @frompcd = ("", "", "", "", "", "", "");
if ($FROMPCD) {
    @frompcd = split(//, $FROMPCD);
}
 
# フォーム入力/行展開
open(INF, "<:utf8", $opts{'f'}) ||
    die $opts{'f'} . " file not found.\n";
my @form = <INF>; close(INF);
 
# 住所CSVファイルを読み込み,行毎にはがき整形する
while (<STDIN>) {
    utf8::decode($_);
    # コメント行(\#),空行は読み飛ばす
    next if /^#/; next if /^\s*$/; chomp;
    my @addr = split(/,/, $_);
    next if ($addr[0] eq "");
    my @postnum = split(//, $addr[2]);
    my @formwk = @form;
    foreach my $corln (@formwk) {
        # 宛名1姓00
        $corln =~ s/:00:/$addr[0]/;
        # 宛名1名01
        $corln =~ s/:01:/$addr[1]/;
        # 郵便番号 1-7
        for (my $i = 1; $i <= 7; $i++) {
            $corln =~ s/:$i:/$postnum[$i-1]/;
        }
        # 住所1: 番地まで
        $corln =~ s/:8:/$addr[3]/;
        # 住所2: ビル・アパート・部屋
        $corln =~ s/:9:/$addr[4]/;
        # 会社名
        $corln =~ s/:10:/$addr[5]/;
        # 部署名
        $corln =~ s/:11:/$addr[6]/;
        # 宛名2連名姓
        $corln =~ s/:12:/$addr[7]/;
        # 宛名2連名名
        my $ren = $addr[8];
        $ren .= "~様" if ($ren);
        $corln =~ s/:13:/$ren/;
        # 差出人
        $corln =~ s/:20:/$FROMADR/;
        $corln =~ s/:21:/$FROMLN1/;
        $corln =~ s/:22:/$FROMFN1/;
        $corln =~ s/:23:/$FROMLN2/;
        $corln =~ s/:24:/$FROMFN2/;
        for (my $i = 30; $i <= 36; $i++) {
            $corln =~ s/:$i:/$frompcd[$i-30]/;
        }
        $corln =~ s/:25:/$FROMOTH/;
        print $corln;
    }
    print "\\newpage\n";
}
print "\\end{document}\n";
 
sub usage {
    my $prog = basename($0);
    die <<"EOM";
Usage: $prog -c config-file -f form-file -p preamble-file
       \< address-csv-file \> postcard.tex
  -c   configuration file (default: post.conf)
  -f   form TeX file with variables (default: form.tex)
  -p   preamble definition file (default: preamble.tex)
EOM
}

掲載したアーカイブには Makefile を添付しており,UNIX 系ユーザなら make とすればサンプル PDF が生成される。dvipdfmx OTF パッケージ用マップファイル otf-ptex-noembed.map も添付してあるが,これは日本語フォントを埋込まない。フォント埋込み PDF を生成したい場合は,ユーザで修正してほしい。コマンドラインを手入力する場合は,以下のとおりとすればよい。

% ./mkpostaddr -c post.conf -f form.tex -p preamble.tex \
< address.csv > hagaki.tex
% eplatex hagaki.tex
% dvipdfmx -f otf-ptex-noembed.map hagaki.dvi
 

宛名情報の出力様式(フォント,空き,出力位置)などをカスタマイズしたい場合は,form.tex を確認して,ご自分用に修正していただきたい。

休日に映画『エゴン・シーレ』(原題: Egon Schiele - Exzeß und Bestrafung)を久々に鑑賞。私は大学時代の 1983 年に,公開されてすぐ映画館で観た。今回はツタヤの DVD で何度目かの鑑賞なんである。じつは私は VHS ビデオでこのソフトを所有しているのだが,ビデオデッキが壊れてそのまんまなのだった。主演は,マテュー・カリエール(エゴン・シーレ),ジェーン・バーキン(ヴァリ),ニーナ・ファレンシュタイン(タチアナ),クリスティーネ・カウフマン(エディット)ほか。1980 年,墺・西独・仏合作,ヘルベルト・フェーゼリー監督作品。

エゴン・シーレはいまでこそ日本でも人気のある画家になったが,1983 年当時はウィーン世紀末美術の専門家でなければ知らない存在だったのではないか。私は会社に入ってから,1989 年に渋谷のセゾン美術館で開かれた展覧会『ウィーン世紀末 クリムト,シーレとその時代』展で,シーレのタブローをはじめてみた。ごつごつしたタッチの,陰毛も汚らわしい,彼のエロティック画は,グロテスクで,不吉で,陰湿で,印象派の画なんかが好きな人は恐らく眉を顰めるような部類に入る。ギュスターヴ・モローやフランツ・フォン・シュトゥック,グスタフ・クリムト,フェルナン・クノップフなど,象徴派の描くエロティック画のもつ陶酔した耽美趣味,ロマンティシズムがまるでない。彼の画を視ていると,生きること・性そのものの暗黒を見せられているような暗い病的な気分に襲われる。「頽廃」というより「病気」である。いま「病み」という「闇」に掛けた言葉が日本の青少年のあいだで使われていて,この「病み」こそがシーレ画の印象に相応しいかも知れない。でも,これこそが二十世紀の命のあり方なんだと感じさせる不思議な吸引力がある。シーレの藝術は現代ではドイツ表現主義思潮の流れにあると評されている。

映画は,少女を誘惑しモデルにして裸体画を描いたという容疑で当局に逮捕・勾留された藝術家の,滅び行く半生を描いている。シーレはクリムトの弟子で,師匠のモデルだったヴァリと同棲していた。無罪になり釈放された後,ヴァリと別れ,エディットと出会って妻とするが,夫婦ともに若くしてスペイン風邪で亡くなる。作品は,生活力に乏しい繊細な画家が,己の藝術への社会の偏見・無理解ゆえに投獄され,己のよき理解者(ヴァリ)を捨て,自滅して行く,というシンプルな物語である。邦題は『愛欲と陶酔の日々』となっているが,原題は Exzeß und Bestrafung —『やり過ぎと罰』である。陶酔なんてロマンティシズムとは無縁であって,エロティック画に対する社会的側面が強調されている(日本人は何故こういう作為 — かえって通俗的な— を好くのか。ドストエフスキイの『罪と罰』だって,原題は «Преступление и наказание» つまり『犯罪と刑罰』という散文的なものなのに,宗教的求道精神を強調したがる)。映画ポスターに Pornographie というドイツ語が印字されているポルノであり,エロティックな映像がたびたび出て来るのだけれども(私が映画館で観たときは陰毛にぼかしが入っていたが,DVD では無修正だった),俗悪な印象はない。グスタフ・クリムトの『ベートーヴェンフリーズ』の痩せぎすの裸体画とパラレルに映るジェーン・バーキンの痛々しい裸体が,病的なウィーン世紀末を感じさせてよかった。彼女はロンドン生まれなのにフランス映画でしか私は見たことがなかった。ドイツ語の役も演じるなんて,ちょっとびっくり。マルチリンガルは欧州の俳優にとっては当たり前らしい。彼女が歌手として来日し東日本大震災復興支援コンサートに出演してくれたのは記憶に新しい。
 

 

『エゴン・シーレ』を最初に観たとき,私は映像のみならず,それ以上に音楽に打ちのめされた。本作品ではシーレと同時代のウィーンの作曲家アントン・ウェーベルンの音楽が映像を支えている(その他,ブライアン・イーノ,メンデルスゾーンも使われていた)。映画では『弦楽四重奏のための五つの楽章作品 5』(Fünf Sätze für Streichquartett, Op. 5, 1909)がシーレの不安,激情,抑圧,エロティックな幻想を伴奏するに効果的に用いられていた。彼の音楽はモンドリアンの絵画にも喩えられ,高い抽象性で知られているけれども,私はこの映画でウェーベルンの音楽に触れ,いきなり過剰なエロティシズムの伴奏としてくらってしまったからか,「抽象的音楽」などという批評はまったく無意味に思われた(尊敬する詩人・鷲巣繁男は評論『エウメニデス』のなかで「抽象的殉教者ウェーベルンの詩的結晶の不幸と聖化」と書いているけれども — 『鷲巣繁男詩集』思潮社,現代詩文庫 51,1972 年,p. 146)。ウェーベルンの音楽は私にとって二十世紀精神の不安,生の血脈,病んだエロスの具体的表現になった。そしていまだに映画『エゴン・シーレ』と結びついて離れない。映画でウェーベルンの室内楽に魅了されて以降,アルバン・ベルク四重奏団やピエール・ブレーズの演奏レコードを買い込んで,オーストリアのウニフェルザール・エディツィオーンから出ていた Philharmonia スコアを眺めながら繰返し繰返し聴くようになった。この映画が日本で公開された 1983 年はウェーベルン生誕 100 年という節目でもあった。このころウェーベルンのほか,シェーンベルク,ベルクの第二次ウィーン楽派の音楽作品,シュテファン・ゲオルゲやフーゴー・フォン・ホフマンスタール,ライナー・マリア・リルケの文学作品に夢中になっていたものである。

ウェーベルンの室内楽はどれも点描的,断片的でごく短い。ひとことでいうとミクロコスモスである。すべての弦楽四重奏曲,弦楽三重奏曲が一枚の CD に収まってしまう。彼は,思うに,音楽表現において短形式とそれを支える間・無音の意義に覚醒した西欧最初の作曲家である。どこか墨絵ないし書を思わせる。もちろん日本的とはとても言えないけれども,この点に「前衛的」という表現では片付けたくない共感を覚えるのである。私はアナログ・レコード時代からジュリアード四重奏団,ラサール四重奏団,とりわけアルバン・ベルク四重奏団の演奏を聴いて来たが,CD の比較的新しい録音としては,アルディッティ四重奏団によるものがお勧めである。
 

Webern;Comp String Trios/Quart
Arditti String Quartet:
I. Arditti, D. Alberman (Vln),
L. Andrade (Vla), R. de Saram (Vlc).
Disques Montaigne (2000-11-14)
 

ヴァリオリンとチェロのための小品も堪らなくよい。アイダ・カヴァフィアンのヴァイオリン,フレッド・シェリーのチェロ,ピーター・ゼルキンのピアノによる盤が,私のいままで耳にしたもののなかで最高の名演である。
 

タッシ・プレイズ・ウェーベルン(紙ジャケット仕様)
タッシ:
P. Serkin (Pf), I. Kavafian (Vln),
F. Sherry (Vlc), R. Stoltman (Cl).
M. Krystall (T-Sax)
BMG JAPAN (2006-11-22)
 

ウェーベルンの作品全集は,ピエール・ブレーズが監修・指揮した盤が新旧二つある。1978 年 CBS 盤と,2000 年 Deutsche Grammophon 盤である。私の好みとしてはアナログ・レコードでずっと聴いて来た旧盤である。いまでは,新しいデジタル録音のグラモフォン盤のほうを推す人が多いかも知れない。
 

Complete Works, Opus 1-31
P. Boulez (Dir), I. Stern (Vln),
Julliard Quartet, London Symphony Orchestra, et ali.
Sbme Import (1991-03-26)
Complete Webern
P. Boulez (Dir), Ensemble InterContemporain,
Berliner Philharmoniker,
Emerson Quartet, G. Kremer (Vln), et ali.
Deutsche Grammophon (2000-05-09)
 

いまやウェーベルンの楽曲スコアがインターネットから PDF でダウンロードできる。IMSLP Petrucci Music Library サイトの Category:Webern, Anton から,弦楽四重奏曲も,弦楽三重奏曲も,ヴァイオリン小品集も,出版物からスキャンした総譜が得られるんである。嬉しい時代になったものである。以下は,ヴァイオリンとピアノのための四つの小品作品 7(Vier Stück für Violine und Klavier, Op. 7, 1910)から第二曲出だしの譜面である。
 

20111105-webern-op7-2.png
 

エゴン・シーレやグスタフ・クリムトの実物のタブローをまた観たいものである。1989 年の展覧会『ウィーン世紀末 クリムト,シーレとその時代』で観た,クリムトの有名な『接吻』は,そのきらびやかな幻想的装飾で息を呑むほどに素晴らしかった。ウィーン世紀末展では,絵画のほかにウィーン世紀末の工芸品,建築模型も展示されていた。映画にも出て来た『ベートーヴェンフリーズ』(コンサートホールの壁画)の同寸コピーもあった。展覧会カタログだけがそのときの感銘のよすがとなっている。
 

20111106-wien_um_1900.png

ソフトバンク日本シリーズ進出

ソフトバンク・ホークスがいましがたパ・リーグ CS ファイナル・ステージを制覇したところ。いや,痺れる試合でした。TOKYO-MX で観ていたんである。西武 1 点リードの延長 10 回裏,ツーアウト・ランナー二塁,長谷川選手がきわどい 5 球目を選んだあと右中間のツーベース・ヒットを放って,ソフトバンクは土壇場で同点に追い付いた。長谷川選手は 2,3 球目をヘボなスイングで空振りしていたので,こりゃアカンわと思わせたが,あの 5 球目のボールを見極めたところで,私は唸らさせられた。こいつ,新井くんの半分以下の年俸なのに,新井くんより肚が坐っている。好投していた涌井投手が不憫だった。一球の失投で投手が悔しさに泣き崩れてしまうこのドラマは,阪神タイガースの選手に見せてやりたかった。12 回表が終わり,この時点でソフトバンクの優勝は確定していたのに,12 回裏をプレーするのが不思議でならなかったんだけど,西武・ルーキー牧田投手は無失点で終わらせようと最後の意地を見せていた。これも隠れた見所のひとつだったと思う。今日のヒーローはもちろん同点打,サヨナラ打を放った長谷川選手なんだろうけど,10 回表に先制されたあとの絶体絶命のピンチに追加点を許さなかったリリーフ森福投手こそが賞讃に値すると私は思う。投手戦というのはホント痺れる。

ソフトバンクの孫オーナーも胴上げされていた。こういう光景がソフトバンクの社員を奮い立たせるんだと羨ましくなった。ホークスはソフトバンクという IT 系成長企業に買収されて,むちゃくちゃ強くなった。ところで,横浜ベイスターズも先日,IT 系企業 DeNA による買収が決定した。このベイスターズ買収劇では,楽天が「DeNA は実質的出会い系企業でありその参入は球界の品位を落とす」などとお笑い草を述べ立てて強硬に反対したらしい。じつはこれ,ただただ,弱いなりにも神奈川県民に愛されている首都圏セ・リーグ球団を同業他社(IT 企業という意味で)に持って行かれた「やっかみ」に違いない。新顔の楽天が紳士クラブでなに威張っていやがるのか。横浜ベイスターズは,現戦力でも得点力には優れた球団で,投手力向上と選手のメンタル管理(なにせ「負け馴れ」している集団だから執念がない)とを果たせば,充分に優勝を狙える。この点が楽天ゴールデン・イーグルス(ついゴールデン・ボールズと言ってしまうのだが)との大きな違いである。

モバゲーで稼いでいる IT 企業 DeNA は,現横浜オーナー TBS のような斜陽企業とは異なる。テレビの視聴率が年々低下する上に年寄りが多くなって,テレビ業界は先行きに明るさがない。若者は,わざとらしさ満載の通販,おばさまたちのための韓流ドラマ(工場海外移転による産業空洞化ならぬ,テレビ業界の経費節減のためのコンテンツ空洞化の象徴的現象。自分で優れたドラマを作るより,韓国から輸入したほうが安くあがりかつ視聴率が取れるんである。チャン・グンソクに勝てない高岡蒼甫が吼えるのも宜なるかな。それでフジテレビが「売国奴」ってか? ん? 「伝統番組」? ガキみたいな負け惜しみ。ワロタ),芸能ならぬ低能バラエティ,脚色どぎついニュースばかりの,面白くないテレビ番組に心底飽き飽きして,スマホのモバゲーやインターネット動画・言論ブログサイトに集まっている。横浜買収はまさにこの構造の象徴である。DeNA は,球団オーナー紳士クラブに入りたいだけだった TBS と違い,元気な成長企業として,ベイスターズが勝つことに拘るはずである。ソフトバンクのように戦力拡充の投資をするはずである。ベイスターズは来年は難しいとしても数年で優勝争いをするくらい強いチームになる,と私は確信している。あれ,ソフトバンク優勝はどこへ行った?

Vivaldi, Sonate e Concerti

今日は文化の日でお休み。散歩がてら神保町のブックフェアにでも行きたいと思っていたけど,かったるくなって,家でぼっとすることにした。キャビネットを漁り,針を落とすレコードを選ぶのが楽しみの今日このごろ。本日は,ヴィヴァルディ。二つのヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ(いわゆるトリオ・ソナタ)作品 1 と,彼の最高傑作の一つであるヴァイオリン協奏曲集『調和の霊感』作品 3。5 枚のアナログ・レコードを一気呵成に聴いた。

トリオ・ソナタはバロック室内楽の典型的な形式で,バロック音楽の愛好家はコンチェルト・グロッソよりもこちらのほうが好みではないだろうか。作品 1 は,二つのヴァイオリンによる対位法の妙で,ヴィヴァルディの隠れた名曲だと思う。8 番のニ短調がとくによい。サルヴァトーレ・アッカルド,フランコ・グッリのヴァイオリン,ローハン・デ・サーラムのチェロ,ブルーノ・カニーノのチェンバロによる演奏。1977 年録音のフィリップス盤。このころのローハン・デ・サーラムはイタリア・バロック演奏がメインだったことを知ると,その後アルディッティ四重奏団で現代音楽のチェロ・パートをばりばり弾くようになった彼の経歴が数奇に思えてしまう。

『調和の霊感』は原題 L'estro armonico。ここで「霊感」に相当する estro というイタリア語は「カプリッチオ,奇想」に近い意味だそうである。調和のとれた奇想なんて,考えてみると,統制ある無秩序のような矛盾した語結合である。要するに,こうしたところが相容れないものに美を見出すバロック的コンチェットの現われのようである。奔放なこの協奏曲集は出た当初からたいへんな評判をとったようで,バッハもここから 6 曲をチェンバロやオルガンのために編曲しており,それもまた名曲として知られているくらいである。私も,この曲集の第 11 番ニ短調 RV565(バッハはこれをオルガン協奏曲に編曲した)をこよなく愛している。二つのヴァイオリンによる掛合い・チェロの独奏からなる序奏に引続き,壮大な対位法フーガが立ち上って来る第一楽章,シチリアーノの哀切で美しい第二楽章,終末のヴァイオリン・ソロの輝かしい第三楽章。豪華絢爛というに相応しいイタリア・バロック至高の作品だと思っている。

作品 3 の録音は数あるわけだけど,私は何と言ってもクラウディオ・シモーネの率いたイ・ソリスティ・ヴェネティによる 1970 年代中期の録音・仏エラート盤をいちばんに推す。彼らは 1987 年にデジタル録音でこの曲集を最録音しているが,旧いもののほうがアンサンブルの質が高く私の好みである。残念ながら旧録音の CD はエラートの『ヴィヴァルディ作品全集』(廃盤)に収録されるのみのようである。

バッハ,テレマンに比べりゃヴィヴァルディなんぞは深みのない見せかけ美人に過ぎない,などというバロック音楽愛好家がよくいる。勝手に言わせておけばよい。ヴィヴァルディの優美さは捨て難い。イ・ムジチの『四季』が 1970 年代の荒んだ時代の日本人の間で爆発的な人気を獲得したのは理由がある。この悩みのない優美さ,華やかさ,艶やかさは掛替えがない。
 

20111103-vivaldi.png
 

作品 1 と作品 3 のいま入手できそうな CD を挙げておきます。作品 3 はイ・ソリスティ・ヴェネティの新しいほうの録音である。
 

ヴィヴァルディ:調和の霊感(全曲)
クラウディオ・シモーネ指揮
イ・ソリスティ・ヴェネティ
ワーナーミュージック・ジャパン (2011-07-20)
 

以下はクラウディオ・シモーネ,イ・ソリスティ・ヴェネティによるヴィヴァルディ器楽作品全集。作品 3 の旧録音を聴くことが出来るのはいまやこの盤のみのようである。ジャン=ピエール・ランパル演奏によるフルート・ソナタなどを含む素晴らしいセットである。ただし,「全集」というのは名ばかりで,ヴィヴァルディの声楽や室内楽などで納められていないものが結構ある。残念ながら廃盤。アマゾンで中古が入手できるようである。
 

ヴィヴァルディ:作品全集
クラウディオ・シモーネ指揮
イ・ソリスティ・ヴェネティ
ダブリューイーエー・ジャパン (1999-05-26)
 
* * *

夕方『古畑任三郎』再放送を観る。子供たちが録画してあったもの。キザな俳優の筆頭であった田村正和をコミカルな刑事役に仕立てたこのドラマを,私はその演劇調の不自然さで『相棒』よりも上に置いている。三谷幸喜のドラマはどれもユーモアがあって面白い。

この番組の途中だったか定かじゃないけど,生命保険の CM が流れた。俳優・平泉成が「おい,母さん,ニュース,ニュース,先進医療保障がついたんだって」といいながら,奥さんを家中探しまわるやつだ。本当のラストシーンのセリフはこうだ:「あー,そういえば,母さんは三年前に死んだんだった」。ウソである。でも,それくらいこの CM,どこか不吉なんである。

企業倫理

最近は職務遂行上のコンプライアンス,つまり企業倫理,遵法精神が本当にうるさい。情報セキュリティ,個人情報保護,特許・著作権保護,輸出管理とともに,仕事を遂行する上でつねに意識しておかなければならないファクターになった。談合,横領・背任,贈収賄と事件が起こるたびに会社幹部は戦々恐々として,わが社で同じことが起きないよう注意喚起をしている。講習会もたびたびである。昨日も研修会に参加して来た。

情報システムの設計・開発・保守を業務とするわが社の現場レベルにおいてつねに直面する問題として,労務管理,経理処理,調達・発注,反社会的組織・公務員への対応の四つの観点からなる危ないポイントが解説された。特に問題事例研究がいたく面白かった。私自身がハマりそうになった「事件」がいくつも紹介されていた。

われわれの仕事では,大規模事業者を顧客にしていると,一人の担当者が年間 5 億円くらいの開発作業を取り扱う。一人がいくつもの契約作業を抱えている。ある契約案件は年度末納期である。またあるものは今年度から作業を開始し来年度 9 末納期である。今年度はプロジェクトの予算を過達し余裕が出てホッとしているが,一方,来年度予算は売上・損益ともに非常に苦しい見通しである。こういう状況のとき,悪魔がささやく:この二つの契約作業のうち,来年度納期の作業工数(要員経費)を余裕の分だけ今年度完了の契約作業に付け替えれば,苦しい来年度予算の赤字幅を削減できる。私は主任のころ何度この誘惑に駆られたことか。しかし,これは税法違反であって,国税庁にバレると重加算税が課せられるのである。

また,こういう「犯罪例」があった。年間 5 億も廻していると外注への発注も 1 本 1 億円くらいの伝票を切ることがある。外注先と結託して,いくつもの作業項目の中に納品検証の難しい項目を入れる。じつはそれは名目だけであって,その小項目経費 100 万円くらいを外注先にストックさせる。納品が完了したあとに,外注先のワルに個人的にキャッシュバックさせて懐に入れる,当然,外注先のワルの懐にも幾許かが入る。発注の承認者はそんな細かいところまでチェックできない。ところが,国税庁のマルサは外注先の経理処理と付き合わせてこういうのを難なく暴いてしまい(ホント彼らを舐めてはならない),担当者は横領・背任容疑で逮捕されてしまうことになる。

反社会的組織への対応というのは,要するにヤクザとの関わりを完璧にシャットアウトするということである。暴力団排除条例が先の 10 月,沖縄県と東京都を最後として,全都道府県で施行されるようになった(この条例によればヤクザ「関係者」は,事業のために事務所賃貸すらできず,銀行融資・口座開設その他の経済活動さえできなくなる。あの「暴力団関係者」島田紳介さんが沖縄に潜伏していた背景には,沖縄ではまだ暴力団排除条例が施行されていなかった事情がある,とも考えられる)。これに伴い,当然ながら官庁等の調達条件に暴力団関係者排除の項目が入ることになり,これはたとえ受注後であっても,ヤクザとの関係が明るみに出ると契約破棄及び損害賠償の責任を負わされる条項が付くため,企業はつねにヤクザ・クリーンにしておかなければならないのである。ヤクザと関らないというのは企業イメージの保持のみならず,企業の死活上の問題になっているのである。島田紳介さんに同情している人は,残念ながら,企業人には一人もいない。

公務員対応は当然ながら贈収賄・談合犯罪を起こさないような仕組みづくりである。公務員倫理法のなかった昔は,公務員であれなんであれ,顧客を接待するのはビジネスマンとして当たり前の行動であった。私もかつては銀座や新宿の相当いかがわしい場所でお客を豪遊させたクチである。昨年起こった特許庁審判官とNTTデータ社員との贈収賄事件についても事例紹介があった。これ自体は大した事件ではなかったのだけれども,その後,NTTデータは官庁入札の指名停止をくらった。これこそがわれわれにとっての悪夢なのである。私の会社はコンピュータ商売もあれば,発電所,ビル電機設備,鉄道など,公共事業になくてはならない分野で幅広く事業展開している。ここでコンピュータ事業の一担当者がたかだか 200 万くらいの贈賄をやったがために,数ヶ月の間,全事業の指名停止処分を受けるとなると,バナナの皮で滑って転んで死ぬ以上のインパクトがある。会社幹部が戦々恐々とするのも当然なのである。

企業倫理。これを尊重しないと社会を敵に回します。絶対遵守ですぞ。
 

* * *

今夜,会社から帰宅したら,おいしいカステラが待っていました。
 

20111102-castera.png

しばらく前に,会社の品質保証部のセキュリティ情報で Apache Web サーバの DoS 脆弱性が話題になり,現場に対し担当システムを確認するよう指示がまわっていた。担当顧客システムの調査/対応が一段落したので,自宅の Web サーバもチェックしてみることにした。

この脆弱性のアドヴァイザリは『JVNTR-2011-05 Apache HTTPD サーバにサービス運用妨害 (DoS) の脆弱性 (CVE-2011-3192, JVNVU#405811)』。Apache 2.x 系すべてが対象とのこと。Range ヘッダ処理で Web サーバのみならずシステム全体のサービス不能を引き起こす問題である。

自宅の FreeBSD 8.2-RELEASE 公開 Web サーバを確認すると,インストールした Apache22 の CHANGES(修正履歴ファイル)には Fix a regression introduced by the CVE-2011-3192 byterange fix in 2.2.20. とあるので,すでに対策済みの版だとわかった。OS を組込んだ 9 月には,FreeBSD Apache22 ports は対策版に更新されていたわけである。この問題を検証できる Perl コード Apache Killer - killapache.pl が公開されている。検証のため,公開サーバをこのプログラムで攻撃してみた。

isolde:/Users/i-yasuda/var/ % perl killapache.pl beatrice
Host does not seem vulnerable

となって,確かに対策済みだとわかった。killapache.pl 攻撃コードは Perl IO::Socket 及び Parallel::ForkManager モジュールを必要とするのであらかじめ組込んでおく必要がある。ためしに,メインで使っている書斎の Mac OS X Tiger マシンを攻撃してみると,みるみるうちに CPU 利用率が 100% に跳ね上がってそれが延々と続き,操作がずしんと重くなった。

この脆弱性は有名だし,攻撃コードが公開されているくらいだから,ご自分で Web サーバを運用されている方はぜひチェックして,未対応なら Apache を最新版に更新していただきたい。インストールした Apache のドキュメントを見て,CVE-2011-3192 アドヴァイザリが対策されていればよい。

懐かしい顔

今日,ある協力会社の派遣社員が何年ぶりかで会社の私の席に挨拶に来た。5 年前,あるメーカー顧客のシステム開発が火を吹いて(要するにトラブルが出て),私は取り纏めとして投入された。彼はそのときの担当者。人を何人も投入して収拾を計り大赤字だったわけだけど,いくら人を追加してもシステムを理解しているのは彼しかおらず,何かにつけ引っ張り出されるので徹夜続き,とうとう心を病んでダウンしてしまった。彼はきわめて優秀だったし,私も責任を感じていたので,回復を待って,ある程度トラブルが終息してから彼を復帰させた。メンタルの病に倒れた者は,私の経験として,復職してもなかなか当初の力が発揮できなくなる。それでも,彼は立ち直り,その後紹介してあげた別顧客のプロジェクト作業で頑張っているようだった。11 月 1 日から私の隣の課のプロジェクトに来たという。トラブル・プロジェクトでともに苦労した社員はいつまでも忘れないものである。
 

* * *

ここのところの急激な円高の対策で,政府・日銀が大規模な為替介入をしたらしい。この為替損益は国税で負担するはめになることを考えると,さらにはこれでも焼け石に水かと考えると,どうも納得が行かない。紙幣印刷の輪転機を単純にぶん回して国民にばらまいたら,すぐ円の価値が下げられるんじゃないの? 震災復興に 50 兆円くらい刷ったらどうか? 冬のボーナス,国民一人あたり 5000 万円とか? みんな民主党を支持してくれるぞ。と,ま,いい加減なことを言いたくもなる。

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ISAO YASUDA。システムエンジニア。神奈川県在住。昭和 30 年代を懐かしむオヤジ。ロシアに興味があります。
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