娘がパソコンが欲しいというので,ネット発注した。お小遣い,お年玉に加えて,少し家計から援助することにした。まだ高校生なのでパーソナル・マシンを買い与えるのは考えものである。だけど,予備校のネット授業をいつも妻の狭苦しい PC 机で受講している。「お父さんの書斎の Mac を使いなよ」—「ネット授業,Windows じゃなきゃ動かないのよね」。しようがねぇ。Windows 安物 PC を買うことにしたんである。どうせロクでもないサイトばかりを閲覧するだろうから,Yahoo! あんしんネットのようなガキ用ブラウザを入れて邪魔してやろう。
そのあと,ネットを見ていて,『芦田愛菜,今年は『九九をがんばる』』を「あしだあいな,ことしはくくをがんばる,だって」と読み上げたら,妻に大笑いされた。「あしだまな,でしょ」。マルモリでお馴染みのこの人気子役の名は「まな」と読むんだ。「あいな」じゃ抗結核薬になっちまうか。
それはさておき,テレビを点ける度に彼女の姿を目にするにつけ思う。九九を習うくらいの子供をちょっと働かせ過ぎやしないか。産業革命時の英国の貧乏人の子供以上に働いているようにみえる。現代の女工哀史じゃ。こんなんじゃそれこそ肺結核になっちまう。妻が「クロネコのタンゴの子もその後は幸せとは言えない人生を歩まないといけなかったみたいだし」と至極まっとうな意見を口にする。
日本は,東京に一極集中で人を集めることで経済を成り立たせているように,人気者を集中的に使い倒して,稼げなくなったらあとは知らんぷりのお国柄である。それはそれで後進国特有のやり方ならしようがないが,子供でやっちゃだめでしょ。
今年成人した息子に年金手帳が送られて来た。先日も年金の支払い案内の郵便が届いた。息子の世代はおそらく,年寄りのために身をすり減らされるだけで年金なんて貰えないだろうに,国は取り立てだけはしっかりやりやがる。
いまの若い奴らは本当に可哀想である。職にあぶれた若者が,体も頭も弱い老人相手にサギやひったくりで金を巻き上げるような,目を背けたくなるような犯罪が日常化してもおかしくない。それくらい若い世代の貧困が進んでいる。年寄りが遠回しに楢山まいりを強要されるような,非情の時代がそのうち来る。
学生のころ,『三時のあなた』みたいな主婦向け番組を観ていたら,夫を亡くした老婆が恐山のイタコに口寄せをしてもらうひとくだりがあった。老婆は生前女好きだった夫の浮気に苦しめ続けられて来たという。彼女は「何で私を粗末にして遊び歩いたのか,死んでしまったいま教えてくれ」とイタコに頼む。夫の憑依したと思しきイタコはただただこう言った:「おっぺけぺえ。おっぺけぺえ。わっけえのがイイ,わっけえのがイイ」。ババアより,ピチピチした若い女がイイから。おっぺけぺえは何が何だか訳がわからんが,そういうことだろう。煩悩ってのは,寄る年波でチンチンが立たなくなっても衰えを知らない。このジジイは冥界からもそう教えてくれていたに違いない。あの世でもピチピチした肌を追い求めて彷徨っているらしかった。ヤラセには違いないが,私は大いにウケて大爆笑した記憶がある。イタコってのはやっぱり存在価値がある,と納得したんである。
何でこんな話に。あ,そうそう,歳は取りたくない。若いのがいい。そうそう,いまの若い奴らが可哀想である。ただでさえ,歳を取るとおっぺけぺえなのに,若いうちからピチピチ,ムキムキとエッチもできず,結婚も出産も二の足を踏まざるを得ず,大量の年寄りの生活を支えさせられ,そして気づいたら自分もおっぺけぺえになっている,そうに違いない,いまの若い奴らが。
