musica: 2012年1月アーカイブ

D. Smirnov "Space Odyssey" 初演

D. Smirnov から写真がメールで送られて来た。1 月 26 日,リッカルド・ムーティ指揮/シカゴ交響楽団の演奏会で,彼が作曲した "Space Odyssey" が初演された。写真はそのときのものである。かねてメールで演奏会の案内をもらっていたのだけれど,シカゴに行くのは無理である。

リッカルド・ムーティと並んだスミルノフの笑顔は,演奏会が成功だった証のようである。インターネットで調べたら,私がもらった写真と同じものが flickr.com にも掲載されていた:http://www.flickr.com/photos/chicagosymphony/6770768611/

"Space Odyssey" がどんな曲か聴いてみたい。そのうち Facebook にビデオがアップされることを期待するばかりである。

Brahms Klavierkonzert I Op. 15

今日のお休み,久しぶりにブラームスを聴いた。ブラームスはドイツ人の真面目でウブな感情の塊のようなイメージがある。事実,ドイツ人は本当にブラームスの音楽が好きである。冗談が通じないあの重厚さは,ときに聴いていて煙たくなるときがある。それでも私はブラームスが好き。弦楽四重奏曲,交響曲,ヴァイオリンとピアノのための協奏曲,ピアノ曲,ヴァイオリン・ソナタなどなど,どれも不用意に聴くとホロリとさせられる絶品ばかりである。

ピアノ協奏曲第一番ニ短調作品 15 がいちばんのお気に入り。これ,しかしながら,彼の若書きで,その管弦楽法にケチを付ける人が結構いる。最初はピアノ・ソナタとして書きはじめられたのに,どうも構想がでかくなり交響曲に改変されたと思いきや,ベートーヴェンの亡霊に脅かされたのか(?),完全主義者だったからか,途中でピアノ協奏曲に変更された。どうも威勢はいいが優柔不断な経緯を感じさせる。第一楽章のマエストーソは厳粛で,ヒロイックで,大上段に振りかぶった気合いがあまりに大げさなので,後年の円熟したブラームスを好きな人はちょっと引いてしまうかも知れない。でも,やっぱりロマンチックでよいんである。

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交響曲に相応しい歌い出しだからかピアノがなかなか入って来られない。オーケストラの厳粛な力強い演奏が 90 小節も続き,やっと一段落したところで,独り言のようにさりげなくピアノ独奏がはじまる。「え? いまごろかよ? 孤独な悩めるヒーローの登場か!」みたいな進行が面白い。

緩やかな第二楽章は打って変わって,天上的な優しく清らかなテーマと,思い出したような突発的激情とが,ホント,堪らなく美しい。亡くなったシューマンへの哀悼か,残されたクララ・シューマンへの恋慕か,そのどちらもひしひしと感じられるいい楽章である。涙がチョチョギレます。

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第三楽章はそれまでの厳粛,清らかな情愛と比べると,逃げて行くような軽やかさがあり,「ちょっとバランス悪くね?」という感じが否めない。

私がこれまで聴いたピアノ協奏曲第一番の演奏でもっとも感動的なのは,ダニエル・バレンボイムのピアノ独奏,ズビン・メータの指揮,ニューヨーク・フィルハーモニックの管弦楽によるものである。アナログ・レコードの時代から聴いて来た。以下に第二番とのカップリング CD のリンクをあげておく。
 

Brahms: Piano Concertos 1 & 2
D. Barenboim (Pf)
Z. Mehta (Dir), New York Philharmonic Orchestra.
SONY (1998-05-29)
実際の CD ジャケットは左画像と異なります。

A. Schönberg - Streichquartette

アルノルト・シェーンベルクは十二音技法による無調性音楽を確立した現代音楽の創始者として知られている。しかし,彼の無調音楽はきわめて抒情的であり,感情,官能,頽廃に満ちていて, 20 世紀「現代音楽」というよりもむしろ 19 世紀のロマン主義のほうにより近いと思う。初期の弦楽四重奏曲第一番などは,ブラームスを思わせる熱情が聴かれる。

私は彼の室内楽が好みで,弦楽四重奏曲,木管五重奏曲,ヴァイオリンとピアノのための二重奏曲,声楽曲のどれもが素晴らしい。いつもは CD で楽しむんだけれども,今日のお休みは,古いアナログレコードで彼の弦楽四重奏曲全集を聴いた。ジュリアード弦楽四重奏団の演奏による,1975 年録音の CBS 盤である。CD の時代になってからは,アルディッティ四重奏団演奏 CD をもっぱら掛けているんだけれども,演奏の質,抒情的節回しにおいては,いまだに私はジュリアードの盤が最高の録音だと思っている。この盤の CD 化がなされないのが大いなる不思議なんである。

ヒロイズムすら感じさせる第一番ニ短調,シュテファン・ゲオルゲの二つの詩を第三楽章・第四楽章にフィーチャした第二番嬰ヘ短調は,ブラームス風の悲劇的旋律に無調性の新しい音響を融合させた,ロマンの香り高い作品である。第三番,第四番は十二音技法と特殊奏法の多用によるまったく新しいソノリティに根ざしているため,古典音楽に聞き馴れた耳には異様に響くかも知れないけれども,新しい時代に相応しい感情が横溢している。

私は 1927 年に作曲された第三番がいちばんの好み。ウィーンのウニフェルサール・エディツィオン社 Philharmonia Partituren スコアを片手にいつも聴くんである。第一楽章 Moderato がよい。ヴァイオリンが奏する音域の広い第二主題は,優雅で,官能的で,悠然として美しい。主題が基礎音列の逆行形,反行形という形で不断に変奏されつつ,楽曲が進行する。再現部でチェロが息の長い主題旋律を歌い上げるところが私にとっての最大の聴き所である。
 

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ジュリアードによるシェーンベルク弦楽四重奏曲全集はもう入手困難である。CBS によって CD 化されるのを期待したい。以下に,アルディッティ弦楽四重奏団による仏 Montaigne 盤のアマゾンリンクを掲げておく。
 

Schoenberg;String Quartets
Arditti String Quartet
D. Upshaw (Soprano)
Disques Montaigne (2000-11-14)

門光子 plays FAZIOLI.『風の記憶』

寝正月。この年末年始は,堕落の一言。大掃除の手伝いもせず,芭蕉の俳句と北村薫『街の灯』を少し読むばかり。さすがに愛用の Mac くらいはキレイにすることにした。買ったばかりの Mac は,まるで美人の皓歯か雪肌のような眩しい白で持主をうっとりとさせてくれるが,使い倒すとヤニで汚れた歯でニタニタされるくらい鬱陶しく変貌してしまう。

Mac US キーボードをウェットティッシュでゴシゴシ拭きながら CD を聴いた。門光子の演奏による現代日本のピアノ曲集『風の記憶』。M·A Recordings レーベルから 2002 年に出たレコード。吉松隆,三木稔,武満徹,西村朗,藤森守,柴山拓郎のピアノ小品が納められている。門光子はここで,知る人ぞ知るイタリア製ピアノの名器 Fazioli F278(猫も杓子もコンサートグランドピアノは Steinway & Sons,じゃ困ります)を弾いている。

『風の記憶』という題名に相応しく,夢の中で海浜に坐ってただひたすら風に吹かれて遠い彼方を見つめている,そんな,まるで映画のインプレッシブなシーンにいる感覚にさせてくれる。何と言っても,吉松隆『プレイアデス舞曲集』からの 5 曲がめっぽう愛らしい。Fazioli ピアノの特長なのか,門光子のタッチの気品なのか,柔らかく優しく朧な音像が絶品である。門光子演奏のピアノ曲集は,私にとって最高の現代の音の風景である。夢見るような気分にさせてくれるんである。

この CD は残念ながら品切れもしくは廃盤になってしまっており,アマゾンマーケットプレイスでも出品がない。オークションサイトや中古レコード店で探し出して,ぜひ聴いていただきたい。
 

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Mac のキーボードもキレイになりました。
 

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Moon Calendar

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ISAO YASUDA。システムエンジニア。神奈川県在住。昭和 30 年代を懐かしむオヤジ。ロシアに興味があります。
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